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ラスコー洞窟の壁画(視覚芸術:三日目)

以下の本を1日1ページ読むだけで、世界の教養が身につくらしいので、本当かどうか試してみます。

三日目は『ラスコー洞窟の壁画』について。

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1940年、フランス中部の村モンティニャックの近くで四人の少年によって発見されたラスコー洞窟とその壁画。1万5000年から1万7000年前に書かれたというその壁画は、数百の動物たちや人間が大量に描かれていたそうです。

へぇ〜そんな大昔の人たち(実際はクロマニョン人)も絵を描いたんだな〜、という単純な感想はさておくとして、そもそもなぜ「1万5000年から1万7000年前」ってわかったのでしょうか。その少年たちのいたずらかもしれないのに。

もちろんそこには科学的な測定が行われていて、たとえばC-14年代測定法なんかが使われたのでしょう。炭素原子のうち0.00000000012%ほどしか存在しない放射性の14Cは半減期が5730年なので、その数を数えていって半分になっていれば5730年経っている、4分の1なら11460年経っている、みたいな感じで推測していくわけです。

イメージとして言えば、ものすごく小さい穴が空いている風船があるとして、空気が抜ける速度が一定なら、どのくらい萎んでいるかで、穴が空いてからどのくらい時間が経っているのかが計算できますよ、という感じ。もちろん、相手は原子ですし、しかも0.00000000012%しか存在しないのですから数えるのは簡単ではありませんので、作業の難易度は桁違いです。結構な誤差もあるでしょう(なにせ「1万5000年から1万7000年前」でもBC(BCE)と同じくらいの差があるわけですから)。

それはさておき、そんな昔の人たちがなぜそんな絵を描いたのか、という点が気になります。

いずれにせよ先史時代の人々は、動物の絵を非常に正確に描くことで、動物を自分たちの思いどおりにしたり、数が減ったときには増やしたりできると考えていたようだ。

さすがにこの推測を科学的に支援する材料はなさそうですが、もしそうだとしたら面白いものです。絵を書くことで、対象を支配下に置こうとしていた。領土化。つまりこれは先史時代の「リスト」であり、また科学心の萌芽だったと言えるのかもしれません。

現代でも私たちは、対象そのものではなく、それを正確に表す情報をデータベースに記載することで、対象を「思いどおり」にしようとしています。しかし、その成果は、1万5000年前のそれとあまり変わってはいないのかもしれません。

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