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エラトステネス(科学:十一日目)

以下の本を1日1ページ読むだけで、世界の教養が身につくらしいので、本当かどうか試してみます。

十一日目はエラトステネスについて。

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前3世紀、エラトステネスは簡易な測定と計算によって地球の全周を導き出しました。

世界が丸いと分かっているなら、太陽がまっすぐ差し込む場所と、そこから少し離れた場所で刺した棒にできる影の角度を測り、その角度が360度の何割を占めるかを計算し、二箇所の距離をその割合の逆数倍すれば全周が出てくるという寸法です。

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数学的には難しい考え方はありません。三角形の相似によって角度を導き出し、その角度が円の(つまり360度の)何分の一を成しているのかさえわかれば、あとは二箇所の距離を掛け算すればOKです。

ただ、この発想自体が大胆ですし、二箇所の距離を測るために専門の「測量士」(常に同じ歩幅で歩くことで二箇所の距離を導く人)をわざわざ雇ったというエピソードも彼の特異さを表しています。普通は、計算できそうだぞと考えても、そこで止まってしまうでしょう。彼は違ったわけです。きっと、実際にやってみないではいられない人だったのでしょう。

もっと驚くのが、彼がアレクサンドリア図書館の館長だったことです。というか、アレクサンドリア図書館に館長がいたのだ、というのが私には驚きでした。そりゃ図書館なんだから、館長くらいはいますよね。でも、あまりそのイメージがありませんでした。実に不思議です。

もちろん、エラトステネスはその職務に抜擢されるに足りる知識の持ち主だったのでしょう。なにせ「エラトステネスの篩(ふるい)」と呼ばれる素数抽出法も考え出しているのです。しかし、彼は当時の学者たちに軽んじられていて「ベータ」と呼ばれていたそうです。

エラトネテネスは興味の範囲が広く何にでも手を出す素人と見られていて、彼らからすればエラトネテネスは一流ではなく二流、つまりアルファではなくベータだったのである。

しかし、興味が広く、何にでも手を出す素人だからこそできる柔軟な発想というのはありますね。というか、ここで「素人」と呼んでいるのはディープな専門家ではない、という意味だけで、広い知識とそれを応用する知性を持ち合わせている「素人」こそがなせる貢献がある、というのが正確でしょう。

ぜひとも、そういう人物になりたいものです。



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