競争とは異なる原理において:『「分かち合い」の経済学』を読んで
「世界を愉しむ」というテーマでさまざまな本を読んでいく題読の二回目は、「生きのびるための岩波新書」フェアから神野直彦氏の『「分かち合い」の経済学』を取り上げる。
まずは概略を辿ろう。現在は資本主義まっさかりであり、しかもその危機が叫ばれているが適切な処方箋は見当たらない。すべてがそれによってうまく調整され、適切な資源の分配が(まるで見えない手に導かれるように)行われると言われていた競争原理は、むしろ貧困などの格差を悪化させる症状を隠すことなく生み出し続けている。
では、ど