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『かっぱのねね子』レビュー

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『かっぱのねね子』

こうの史代(著・画)

元気な笑顔がとってもかわいらしい、かっぱのねね子ちゃん。

じつは、この娘、元気すぎて、超がつく悪ガキなのですw

なんせほら、マンガの一コマ目でもう

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こんなかんじ。

いきなり「わるいかっぱだった」と書かれています。その後もいたずらし放題で、立ち入り禁止って札を見れば喜んで入りこみ、「きけんとるな!」と書かれている花壇の草をさっそく取って頭のお皿の周りに飾っちゃうという暴れっぷりです。

しかしその草は「よいこ草」という草で、一度頭にくっつくと、いいことをしないと取れないというきけんな草なのでした。しかも、水の中にいると「よいこ草」が大好物な「こわい魚」が群がってくるというオマケつき。

仕方なくねね子は地上へ逃げ出してきます。いいことなんてしたくないようとだだをこねながら。

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そして、川辺で出会ったいずみちゃんとお友達になって、地上にいるために彼女の服を貸してもらうことになったのですが……

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なんでしょうこの傍若無人っぷりw

ちっちゃい子ってまだ動物みたいなもんだからワガママでこうなのよねえ。っていうか、ねね子ちゃんはかっぱなんだから動物というより妖怪だったじゃんそういえば。なんて思ったりもしつつ、それにしても、あの出会いからお友達になってくれて、世話まで焼いてくれるいずみちゃんの人間としての完成度のすごさがすばらしすぎて、この人と妖(幼?)の対比に眩暈がしてきますw

私の小さいころは、きっと緑の服のほうだったろうなあ。なんて、もちろん記憶にございませんけれど、ついつい想像しちゃいますw

さてさて、そんな人の子のやさしさに触れて、傍若無人だったねね子ちゃんもだんだんと、ちょっとづつ、なんとなくいい事をするようになってきます(なんだか偶然に良いことをしちゃったりもしていますがw)

すると、何か良いことをするとひとつづつ、頭のお皿の周りに綺麗なお花が咲くのです。

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↑かっぱなのでこんな天気も楽しいみたい

とはいえやっぱり暴れん坊のねね子ちゃん。彼女の頭に、よい子草の花が満開になることははたしてあるのでしょうか?

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こうの史代さんと言えば名作『この世界の片隅に』が有名ですね。かわいらしい絵柄と繊細な描写がほんとうに素敵です。このマンガは小学生向けの学習雑誌に連載されていたものだそうです。児童書としてもそのまま使えそうな教訓(なのかなあ?w)ものな感じですが、なにしろこうの史代さんですからちゃんとマンガとしても面白くて、大人が読んでもいろいろ楽しめますw (そしてフルカラーなのも嬉しい!!)
 あ、もちろん児童書としても良いと思います。単純なお話で子供向けだからと手抜きをしたりあまくしたりせず、作者が本気で楽しみながら描いている雰囲気が伝わってきてとてもよいです。こういうところを受け取る感受性は子供のほうがありそうですしね。きっと。

この本は「小品集」なので、表題の『かっぱのねね子』以外にもいろいろ入っています。そのまま壁に飾りたいぐらい美しいスペシャルイラストがもうほんと素敵!「ほぉぉわ~☆」ってなっちゃいますよー☆

こうの史代さんファンならばぜひ、そうでなくてもお子さん(お嬢さんかな?)向けにも、子供心思い出したい人にもぜひ。な楽しいマンガでした~☆


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