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『脳は世界をどう見ているのか』レビュー

表紙

『脳は世界をどう見ているのか』
知能の謎を解く「1000の脳」理論

ジェフ・ホーキンス(著) / 大田 直子(翻訳)

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2004年に書かれた『考える脳 考えるコンピューター』

あれから17年。
ジェフ・ホーキンスさんが、ご自身のライフワーク『知能』研究の最新成果をひっさげて帰ってきました。以下、レビュー半分、ワタクシのテキトー理解メモ半分でお送りしますw

前作同様、脳の新皮質が知能のカギなのですが、さらなる研究の結果、3つの新発見があったそうです。

3つの新発見

  1. 新皮質の各層を縦断する機能ブロック「皮質コラム」

  2. 予測はニューロン内部で起こる

  3. 外界を知覚してマッピングされる「座標系」モデルの存在。

ものすごく乱暴に、私理解で要約してしまうと、前回書いた『慣れ』とは、新皮質の各層を縦断するニューロンが学習した過去の情報と、新たに入力された外界からの情報との差のあるなしなわけです。

(→予測と入力に差があったら新しい情報、つまり違和感が発生してようやく注意を引くわけ。→論理式で言ったほうがわかりやすかったら、情報のXORを取っているというわけね。→たしかにそれなら高速な理由がわかります。)

この、過去の情報をもとに先読みしているのが『予測』。それはニューロン内部で行われる基本中の基本機能。予測は学習によって成り立っていて、入力情報が予測に当たっているかどうかだけを常に見ている。そんな感じです。(ニューロン自体はその入力信号が何かは理解していません)
で、ニューロンが束になった機能ブロックが新皮質には約15万個敷き詰められていて、そのブロックを「皮質コラム」と命名したそうです。

コラム。おそらく原文では column ですね。エクセルのマスだと思えば理解しやすいかも? それが新皮質シートに約15万個敷き詰められていて、それぞれが学習と予測を行い、相互に連絡しあっている。ということのようです。

今エクセルの例を出しましたが、ヒトの脳内でも表計算ソフトの行列のように座標がマッピングされていて、その「座標系」をつかってヒト(の脳(の新皮質))は外界を認識している。もちろんその認識は『予測』と『判断』と『行動』の基礎になっている。

ということが、本書の前半の新発見&新理論コーナーの超要約(ワタクシ理解なので間違ってるかもですがw)です。

面白いのは、ヒトが理解しているあらゆる事象がこの『座標系』が元になっているはずであるという理論です。体内・体外の物理的な事物のすべて、あらゆる有情非情うじょーひじょーだけでなく、音楽や数学、民主主義や人権といった概念まで、ヒトはすべてを、実は座標系で理解して、予測して判断しているのだよ。という。超シンプルで強力な理論。

複雑すぎて理解できないと従来思われていた脳の構造と仕組みが、じつはシンプルな理論によって成り立っていた。(そして、それはヒトの知能の仕組みそのものである)というのは、驚くべき発見で、めちゃくちゃわくわくしますね。

「1000の脳」理論

さて、「座標系」で世界を認知し、予測・行動を行う理論の先、『知能』について。15万個ある「皮質コラム」たちが連携することで知能はうまれるのか、どこに意識は宿るのか? という問題。

結論から言ってしまうと、我々の知能とは、『コラムたちの投票』なのだそうです。15万のコラムの集合が意識をもつ、のではなく、投票によって到達した『合意』こそが知覚であり、そうした合意事項(知覚)が経験として学習され、座標系にマッピングされたものこそが意識であり、時系列空間座標に蓄積されたものが人格である。というわけですね。
単一の脳というよりも、多くの脳ブロックが投票する、それを「1000の脳」というわけ。(べつに15万の脳でもいいとおもうけれど、サウザンド・ブレインのほうがいいやすかったのでしょうかw)

コンピューター知性

本書の後半では、こうして解明されてきたヒトの知性をいかにシリコン(とは限らないけれど)の上のデジタルなコンピューター知性(AI)にするか、するべきか。という話題が書かれています。
今現在のAIはどうしたって局所的で単機能。たとえ囲碁が人間の世界チャンピオンより強かったとしても、囲碁に特化したディープブルーさんは、おそらく逆立ちしたってヒトの5歳児のように近所の八百屋さんにはじめてのお使いには行けません。

ヒトのように応用力に長けた、一般的な問題を対処できる、いわゆる『強いAI』は実現可能なのか?
それは、(現状のAI開発のままの方向性では無理だろうけれど、)ヒトの脳をモデルにした新しい設計思想で作られたAIであれば可能であろうし、きっとそうしたモノが作られるに違いないと書かれています。

ただし、コンピューターやインターネットが現れる前にスマホの使い方を想像すらできなかったように、現段階ではそうして生み出されたAIがどんなカタチをしているかははっきりと予想はできないとしています。

また、マインドアップロードについても技術的に相当困難であると。(まあそりゃそうですが)。
もし技術的に可能になったとしても人はそれを望むのだろうか? と疑問符がつけられていました。
ただまあ、『たとえ「わたし」ではない「わたしのコピー」が生み出されるだけ』だとしても、ワタシのように望むところであるとやってみたい一派は一定数いるとはおもいますけどねーw

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以上、つらつらと個人的メモのようなレビューとなりましたw

表紙のオビにもあるようにビル・ゲイツさんも絶賛されていますし、SF作家の元ネタにもたいへんよさげですw

※『われらはレギオン』とか、『三体』を思い出させる話題ものってましたねw

また、訳者さんのあとがきはそのまま

↑こちらのnoteに転載されてますね。私の半端なレビューよりもしっかり書かれていますので、ご興味ありましたらこちらもどーぞーw

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#ジェフ・ホーキンス #大田直子 #らせんの本棚 #情報  #コンピュータ #知能 #AI

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