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『魔導具師ダリヤはうつむかない』レビュー

一巻表紙

『魔導具師ダリヤはうつむかない』
~今日から自由な職人ライフ~

甘岸久弥(著) / 景(イラスト)

転生者ダリヤは駆け出しの魔導具師。
物語冒頭(一行目!)でいきなり婚約者に婚約解消を言い渡され、途方に暮れるところからスタート。いわゆる不幸のどん底からの再出発テンプレストーリーなわけです。
しかし、婚約時代はいつもうつむきがちで相手の望む通りにしていた彼女だったのですが、この不幸をきっかけにしてどん底を跳ね返し、もううつむかず、好きなように生きてやると決心するのでした。

ながく人の言いなりだった婚約生活からようやく顔を上げた、そんなダリヤのもとに、文字通り幸運が飛び込んできます。

魔導具の素材を集めに王都の外へ出た彼女の前に、血だらけの男が森から転がり出てきたのです。
彼こそは王都一番の美男子と噂される魔物討伐部隊のヴォルフ。冗談でなくあまりの美しさ、美貌故に逆に女性不審になってしまっている彼なのですが、そんな彼を助けたことで友誼を結んだダリヤは、いつのまにかともに魔導具(魔剣)製作をすることになります。

女性不審のヴォルフの内情を知るダリヤと、婚約者からの手ひどい裏切りを受けたダリヤを知るヴォルフは、お互いを大切に思い距離をちぢめていくのですが、なかなかその先にすすめません。

周囲からもなまあたたく見つめられる、そんな(ある意味いらいらさせるw)関係のまま、ダリヤの作り上げる魔導具が周囲を、世界をしだいに変えていくのです。

ってなかんじのストーリー。

ちょーほほえましくて、ついにやにやしてしまう二人の関係なのですが、それだけでなく、彼らが挑戦する魔導具製作の妙なリアリティが面白いのです。異世界ならではの魔物由来の素材や、魔法を付与する過程、そして、実験・試作から量産へ、家内制手工業から各種ギルドを巻き込んだ産業への道筋。普通の異世界ファンタジーではすっ飛ばしてしまうであろう部分が丁寧に描かれています。

ものづくりが好きな女子って(意外にいるんですよ)現実世界でも変な目で見られてついついうつむきがちだったりするのですが、そんな子たちにも勇気を与えてくれる、素敵なファンタジーでした。

で、もひとつw
異様な熱量で書かれているのが異世界の「食」!
ご飯が美味しそうなお話はたいていおもしろい。というのが持論なんですけど、これ、出てくるご飯がそれぞれめっちゃおいしそう!! 
やたらお酒もでてきます。私は飲めないので(どっちにしろ異世界だし)想像でしかないですが、それでもおいしそうー。うらやましいー。と、ヴォルフ同様餌付けされる気分で読んでましたです。

現在、8巻まで出ています。
また、コミックもでてるみたい。それとスピンオフで本作に登場する「服飾師ルチア」が主人公の『服飾師ルチアはあきらめない』も刊行中。こちらも今読んでます。おもしろいですよー☆



追記:

mattakaさん、すてきなお話ご紹介ありがとうございました!(∩´∀`)∩☆

追記の追記:

スピンオフ作品『服飾師ルチアはあきらめない』もレビューしておきました

https://note.com/rasen/n/n4b5d20f83cae




#甘岸久弥 #景 #異世界物 #ファンタジー #ものづくり #らせんの本棚


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