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『大砲とスタンプ』祝完結レビュー

大砲とスタンプ

『大砲とスタンプ』

速水 螺旋人(著)

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戦争の裏方、兵站(へいたん)軍が主役という珍しい戦争マンガです。

前線近くのアゲゾコ要塞、補給廠管理部第二中隊に新任した熱血官僚主義メガネっ娘のマルチナ・M・マヤコフスカヤ。

彼女の主な任務は戦争に必要とされるあらゆる(膨大な)物資の輸送や補給、そして管理といった後方支援です。荒事は苦手だけれど書類仕事大好きでバリバリ官僚主義な彼女にはうってつけ、まさに適材適所で好適な配属なのです。
とはいえ、着任した第二中隊は、まともな書類もなく、いいかげんな伝言ゲームがまかり通るちょーカオスな状態だったのでした。

しかし、そんなことでメゲる彼女ではありません、

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逆にバリバリと仕事をこなしてしまいます。

直接敵と戦わない「紙の兵隊」と他の兵士に馬鹿にされようが振り回されようが、信念を貫く彼女は、後に「突撃タイプライター」の二つ名で呼ばれる、中隊はおろか兵站軍全体の名物士官にまで成長していくのでありました。

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もちろん架空の世界の物語(Miritally法螺マンガ、だそうですw)なのですが、兵站という珍しい切り口を、しかも東側の某大国っぽい帝国や太公国を舞台に描くという視点が新しく、また、毎回挿入される珍兵器の詳細な解説が著者のミリタリーマニアっぷりを物語ってくれます。

可愛らしい絵柄であるのに、戦争の過酷さは限りなくリアルです。正義も悪も、人々の喜怒哀楽も人生も、聖者も悪党も、美も醜も生も死も、あらゆるものを飲み込んでいく戦争という「状態」が、これでもかと語られます。

お話の方もギャグあり、お色気あり、教訓あり、人生ドラマあり、そしてロマンスにサスペンスあり、の、ある意味でなんでもありな内容なのですが、最終話まで読んでふりかえってみると、どの瞬間にも無駄な物はなく、丁寧に作り込まれた、まるで映画のようなお話であることが分かります。

ところで、戦争ものって、私、苦手なんですよ。バリバリ人死にでるじゃないですか……。感情移入していた好きなキャラがあっさり死んじゃったりするの、かなりキツイです。

このマンガも、後半でシリアス度が増してくるにしたがって、読んでいてもうびくびくものでした。わかっちゃいるのですけど、戦争ってほんと、嫌なものですね。

ネタバレはしないでおきますけれど、特に最終の9巻は、覚悟して読んでください。とはいえ、8巻まで読んでしまったら先を読まずにはいられないのですがー><

もちろん、めちゃくちゃ面白いことは、私が保証いたします。戦争もの、嫌なんですけどねぇ(ぉぃ)

ちなみに、公式サイトでは

無料で1話をWebで読めるほか、

Amazonさんでは電子書籍版の一巻が無料キャンペーンをやっています。

https://www.amazon.co.jp/dp/B00FEBD8H2/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1

この機会にぜひどうぞです。おすすめです☆

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