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らせんの本棚

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SF、ファンタジー、実用書からマンガ、画集、絵本などなど、アトランダムに紹介するレビュー集。神楽坂らせんが読んで「グッ!」と来た本を不定期に紹介していきます。もちろんネタバレはな… もっと読む
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#川端裕人

『ドードー鳥と孤独鳥』レビュー

『ドードー鳥と孤独鳥』川端裕人:著 🦤 この素晴らしい装幀でこそ包み込める、厳粛で、壮大な生物史の物語。 遺伝子、ゲノムから細胞、生物、命、生物相、土地、気候、環境、そしてすべての歴史の、めぐるめぐる堂々巡りの旅路。 これは本当に一言では説明も紹介もしづらい、心をゆさぶる物語。 そう、フィクションだからこそ書くことができた物語。しかし、とても現実的、知的、史実的で、コロナ騒動を経た「今」だからこそ書かれるべきだったのではないか。そして、川端裕人という著者の仕事歴、作品歴

『進め! なつのロケット団』①~②(他)レビュー

『進め! なつのロケット団』①~② あさりよしとお(著)🚀 ②巻まとめてご紹介です。 ①巻のころから紹介しよう紹介しようと思っていていたんですけどもー。 これ紹介しはじめるとあれもこれもとやたら広がり続ける話題なものでちょっとばかり手間を惜しんでいたら、なんと昨年末に②巻目がでてしまいました。というわけで、重い腰を上げてひょっこりご紹介なのですw なぜって、この本を紹介するときは、まず同じ あさりよしとおさん作の『なつのロケット』を紹介しなくちゃいけないキマリなのです。

『ドードーをめぐる堂々めぐり』レビュー

『ドードーをめぐる堂々めぐり』 正保四年に消えた絶滅鳥を追って川端裕人(著)🦤 ドードー (dodo) 🦤は、マダガスカル沖のモーリシャス島に生息していた絶滅鳥類。 大航海時代、1598年にモーリシャス島を訪れたオランダの探検艦隊によって初めて存在が確認された飛べない鳥で、発見されてからわずか83年後の目撃情報を最後に絶滅してしまった幻のトリです。 幻ゆえに、そして、飛べない事とずんぐりした愛嬌ある身体つき(これは初期の想像図によるミスリードだったそうですが)ゆえに「

『空よりも遠く、のびやかに』レビュー

『空よりも遠く、のびやかに』 川端 裕人(著/文) ◇ 名作『夏のロケット』で有名な川端裕人さんの久しぶり(ってほどでもないけど)の小説、それも高校生が主役のばりばり青春小説です! アツくならないこと、常に平熱でいることを自らに課している主人公・坂上瞬は、高校の入学式で不思議な少女・岩月花音と出会います。 「地学部」の入部案内を熱心に見ている彼女に一目惚れし、なし崩しに同部に入ることになった瞬。 瞬が彼女、花音にときめいているのはもちろんですが、「地と知のオリンピッ

『「色のふしぎ」と不思議な社会』レビュー

『「色のふしぎ」と不思議な社会』 2020年代の「色覚」原論 川端裕人(著) ◇ 『夏のロケット』、『川の名前』、『銀河のワールドカップ』、『雲の王』に『青い海の宇宙港』……などなど、ワタシ的に超ツボな、ぐっとくる小説の数々を書かれている川端裕人さんなのですが、最近はノンフィクションも多く出されています。ナショナルジオグラフィックで『「研究室」に行ってみた。』なんて連載もこなされていて、さすがの一言。 ◇ さて、本書は、そんな川端裕人さんがここ数年取り組まれていた