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らせんの本棚

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SF、ファンタジー、実用書からマンガ、画集、絵本などなど、アトランダムに紹介するレビュー集。神楽坂らせんが読んで「グッ!」と来た本を不定期に紹介していきます。もちろんネタバレはな… もっと読む
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2022年9月の記事一覧

『服飾師ルチアはあきらめない』レビュー

『服飾師ルチアはあきらめない』 ~今日から始める幸服計画~甘岸久弥(著)雨壱絵穹(イラスト) / キャラクター原案:景 📚 手袋や靴下、小物編み物などを一家で作るファーノ工房の娘、ルチア・ファーノには夢がある。 それは、 「自分の店と服飾工房を持ち、自分がデザインしたかわいい服で王都をうめつくすこと!」 チビで地味な見た目を男の子からからかわれ、派手な服なんてどうせ似合わないと泣いていた幼女時代、裏路地で出会った「夕焼けのお兄ちゃん」から『本当に好きなら着てしまえ、君は

『魔導具師ダリヤはうつむかない』レビュー

『魔導具師ダリヤはうつむかない』 ~今日から自由な職人ライフ~甘岸久弥(著) / 景(イラスト) ◇ 転生者ダリヤは駆け出しの魔導具師。 物語冒頭(一行目!)でいきなり婚約者に婚約解消を言い渡され、途方に暮れるところからスタート。いわゆる不幸のどん底からの再出発テンプレストーリーなわけです。 しかし、婚約時代はいつもうつむきがちで相手の望む通りにしていた彼女だったのですが、この不幸をきっかけにしてどん底を跳ね返し、もううつむかず、好きなように生きてやると決心するのでした。

『ひとの気持ちが聴こえたら』レビュー

『ひとの気持ちが聴こえたら』   私のアスペルガー治療記ジョン・エルダー・ロビンソン(著) 高橋知子(訳) 📚 アスペルガー症候群のジョン・ロビンソンさんは他人の表情、感情が読めない人でした。 もちろん、自分自身には感情があるし、他人にもあるのだろう、とは思っていても、はっきりと「言葉」で語られていない他人の感情は読み取ることができず、いつも他人からは人の気持ちがわからないやつ、無神経なやつと思われていました。 それでも、他人にそう思われていることが本人にはわからないので

『転生令嬢と数奇な人生を』レビュー

『転生令嬢と数奇な人生を』 かみはら(著)/しろ46(イラスト) 📚 転生もの、そんでもって(悪役じゃないよ!)令嬢もの。 いわゆる異世界転生ものの、なんというか定番なイメージと受け取られかねないタイトルです。 でも本作は、普通の(イージーな)転生モノとはかなり違います。 異世界であっても人生楽じゃないのよ。貴族の令嬢だって大変なんだから的な、チートなし、魔法なし(世界には魔法はあるっぽいけれど主人公はその才能なし)の、世知辛ハードモードで極太な人生ドラマが繰り広げられます