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らせんの本棚

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SF、ファンタジー、実用書からマンガ、画集、絵本などなど、アトランダムに紹介するレビュー集。神楽坂らせんが読んで「グッ!」と来た本を不定期に紹介していきます。もちろんネタバレはな… もっと読む
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2022年2月の記事一覧

『150年前の科学誌『NATURE』には何が書かれていたのか』レビュー

「150年前の科学誌『NATURE』には何が書かれていたのか」 瀧澤 美奈子(著/文)――― 前回紹介したファラデーの『ロウソクの科学』は今から160年前、1860~61年にイギリス王立研究所で行われた講演が元になっていました。 そのファラデーの講演から約10年後、1869年に、同じくイギリスで産声を上げた科学雑誌がご存じ『NATURE』です。 NATUREって150年も続いてる雑誌だったんですね!!(びっくり) そんでもって、ファラデーが始めたイギリス王立研究所の金曜

『「ロウソクの科学」が教えてくれること』ほかレビュー

『「ロウソクの科学」が教えてくれること』~炎の輝きから科学の神髄に迫る、名講演と実験を図説で~マイケル・ファラデー(原著), 白川英樹(監修), 尾嶋 好美(編集 翻訳), ウィリアム・クルックス(原著) 🕯 🕯 🕯 科学の本の世界に『ロウソクの科学』という歴史的名著があります。 これは、電磁誘導の法則や電気分解の法則などの発見、モーターやブンゼンバーナーの発明、そのほかさまざまな偉業を成し遂げて、科学史上最も影響を及ぼした科学者の一人とも言われている偉人、マイケル・

『吾輩ハ複働四七ノ内火機械デアル』レビュー

『吾輩ハ複働四七ノ内火機械デアル』横須賀海軍工廠造機部(著) / ヤンマー株式会社百周年記念出版 ――― いきなりですが、今回はかなり入手困難なレア本の紹介ですすいません>< こちら、耕運機で有名なヤンマー株式会社の100周年記念出版(2012年)の本。ヤンマーなので、耕運機のエンジンの話かとおもったらそうではなく、今からおよそ90年前(昭和9年)の、当時のヤンマー副社長、近藤市郎氏が海軍時代に携わった、潜水艦用ディーゼルエンジンの開発記録です。帝国海軍内にディーゼルエ

『猫のゆりかご』レビュー

『猫のゆりかご』 カート・ヴォネガット・ジュニア (著) / 伊藤典夫 (訳) 🐈 ご存じカート・ヴォネガット・ジュニアの出世作であり代表作。 世界を破滅させる超発明『アイスナイン』をめぐる物語であり、『ボコノン教』という疑似宗教の伝道書でもあります。 まず、超兵器アイスナインとは、簡単に言えば水を常温で固体化(氷)にする発明。凝固点が常温で、融点が45.8 ℃という不思議な水=氷です。 通常、水が氷点下の気温で凍り付くときは、最初に結晶構造を決める「結晶の種」から同様

『アートで魅せる数学の世界』レビュー

『アートで魅せる数学の世界』岡本 健太郎 (著) ◇ 数学×アート! 数学というやつはどうしても数式が最初にでてきて(それはそれで美しい世界なんですが)なにかと難しいイメージがまとわりついてきちゃいます。 でも、その数式であらわされた幾何学的な模様はとても美しくて見入ってしまいます。タイトルどおり「魅せ」られてしまうんですねー。 この本は、アートと数学の交差点。 数学の美しさをグラフィカルなアートで分かりやすく示してくれます。 フルカラーで紹介されている数学なアート