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らせんの本棚

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SF、ファンタジー、実用書からマンガ、画集、絵本などなど、アトランダムに紹介するレビュー集。神楽坂らせんが読んで「グッ!」と来た本を不定期に紹介していきます。もちろんネタバレはな…
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2020年11月の記事一覧

『Winny 天才プログラマー金子勇との7年半』75%ぐらいオフ。今日だけかも?

ファイル共有ソフトの「Winny事件」 弁護団代表の壇俊光弁護士による7年半の記録です。 本日日替わりでkindle版75%くらいオフ中とのこと。 とりいそぎおしらせです。 日本がどんだけの産業価値とチャンスを自ら棒に振って天才を犯罪者扱いしたのかが良くわかるめっちゃ悔しいやらなさけないやらな本です。 日本の司法組織の悪辣さやK察のサイバー犯罪に対する無知っぷりを世界に知らしめた有名なえん罪事件と個人的には思っています。。これが無かったら世界はどう変わっていたのかなあ

『いさましいちびのトースター』&『いさましいちびのトースター火星へ行く』レビュー

『いさましいちびのトースター』 『いさましいちびのトースター火星へ行く』 トーマス・M. ディッシュ (著) / 浅倉 久志 (翻訳) / 吾妻ひでお(イラスト) ◇ 今回は2本立てのレビューです。 タイトル通り続き物。 そもそもタイトルで出オチ感満載なのですがw (もちろんグリム童話『いさましいちびの仕立て屋さん』がタイトル元ですね) グリム童話になぞらえていますが、これがまたしっかりした童話になっています。いちおう、子供向けなのですが、十分オトナが読んでも楽

『なんでもPythonプログラミング』レビュー

『なんでもPythonプログラミング 平林万能IT技術研究所の奇妙な実験』 平林 純 (著) ◇ Hirax.net というサイトをご存知でしょうか。この本の著者の平林先生が昔からやられている奇妙な科学と好奇心情報サイトです。私がインターネットに住み着いたぐらいのころからすでに老舗だった、いろんな実験や科学的な考察が繰り広げられているちょー素敵な知性派サイトなのです。 ここの「できるかな?」コーナーがとっても大好きだったのですよねー。しばらく更新がない(たぶん平林先

『光の塔』レビュー

『光の塔』今日泊 亜蘭(著) ◇ 読みにくいけれどなんだか洒落た語感のある著者名は(きょうどまり あらん)と読みます。 あの伝説の同人誌「宇宙塵」に設立より参加し、長い間日本のSF界の最長老として知られた御方です。(2008年に97歳で没。南無><)そして、その「宇宙塵」に連載され、1962年(昭和37年)に刊行されたのが本書。 これ、知る人ぞ知る国産本格長編SFの第一号なのです。 もちろん、何をもって日本SF第一号とするかとかいろいろ議論はあるとおもいます。戦前

『ボイジャーの海王星トラベルガイド』つまみ読み(宇宙機姿勢制御編)

以前ちら紹介した、1989年にNASA(JPL)が公開した冊子(と言っても291ページもある立派な本!) The Voyager Neptune travel guide ↑を、DeepL翻訳さんのパワーで翻訳しながらみりみり読んでるんですけど、 この本、ほんっと良いですよ。めちゃくちゃ面白い。そして、ここまで公開しちゃっていいの? ほんとに? 誰か真似したらボイジャー作れちゃうよ?? (無理だけどw) っていうぐらい真っ正直に当時の宇宙機に詰め込まれたテクノロジーの数々

『メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち』レビュー

『メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち』 シオドラ・ゴス(著)/鈴木 潤(翻訳) ◇ ヴィクトリア朝時代のロンドンで、父に続いて母も失くし、途方に暮れた令嬢が、屋敷に残るメイドや召使いたちに(もうお給料が出せないからと)これ以上世話をしてくれなくてよい、と、解雇を知らせる場面から物語はスタート。 この令嬢こそ、誰あろう、本書のヒロイン主人公のメアリ・ジキル。あの、ジキル博士の娘なのです。ジキルがいるならハイドもいる、ということで、彼女は殺人犯として指名手

『ブラックホールの飼い方』レビュー

『ブラックホールの飼い方』 ミシェル・クエヴァス(著) / 杉田 七重(訳) ――― なんと、あのブラックホールをペットにしてしまった女の子のお話です。 ブラックホールって、アレですね、極めて高密度で、強い重力のために物質だけでなく光さえ脱出することができない天体。そう、白鳥座X-1とか、我々の天の川銀河の中心にあるのではないかとされている、アレです。 それが、暗い夜道で11歳の科学・天文好きの女の子、ステラの後ろをついてきちゃうのです。 それを、恐ろしがりなが