見出し画像

20191129 石巻訪問②

亡き友人に会うために、石巻を訪れた。

どうしてもしんみりとしてしまう話になってしまったので、今回は趣向を変えて街歩きの話をしたいと思う。

彼女も、自分が大切にしていた土地を、悲しい思い出の場所にされるのは心外だろうから。

仙台から石巻へ

仙台から石巻へは、JRで行くのが一般的だ。

仙石線の各駅停車でおよそ1時間半弱、仙石東北ラインであればおよそ1時間の道程だ。

途中には、

日本三景のひとつ松島の最寄である松島海岸駅や、

日本酒「浦霞」の蔵本があったり、みなと祭で有名な塩釜駅がある。

私が乗った電車は、車体に「仮面ライダー」や「サイボーグ009」があしらわれていた。

いずれも漫画家、石ノ森章太郎先生の作品だ。
画像2

石ノ森章太郎と石巻

石ノ森氏は、実は石巻出身ではない。

石巻からさらに北上した、岩手県との県境にある登米郡石森町(現登米市)の出身だ。ペンネームである石ノ森も、自分の生まれた町からとっている。

では、なぜ石巻が萬画の国となり、石ノ森作品が各所に散りばめられているのだろうか?

…実のところ、そのルーツは、氏の少年時代にあるそうだ。

かつて石巻の中瀬地区に、岡田劇場という映画館があった。

江戸時代末期に建てられた「千葉座」が前身で「岡田座」に名前を変え、空襲で取り壊されたものの、再建され、映画館となるなど、約160年の歴史がある劇場だ。

東日本大震災では、直前に全面改装した建物が流されてしまうという憂き目に遭ったものの、その後は被災地で映画上映会を行う等の活動をされているそうだ、

そんな岡田劇場に、石ノ森少年は自転車で3時間かけて頻繁に通っていたのだ。後に漫画家として活躍する知識や感性を培ってくれた場所が、石巻だったんというわけである。

石ノ森萬画館

画像3

地形の似ているニューヨークのマンハッタンをもじって、「マンガッタン」と名付けられたそう。

駅からこの萬画館までが、石巻マンガロードと銘打たれており、各所で石ノ森作品のキャラクターがモニュメントになったり、建物や道にデザインされたりしている。

画像4

画像5

画像6

全部のモニュメントをめぐると、なかなかの運動になるのでおすすめである。

石巻といえば、海産物

古くから、漁業とそこでとれた海産物の加工品で有名な石巻。

友人がしきりに魚がうまいから食べさせたいと言っていたこともあって、お昼はお魚をいただくことにして、石ノ森萬画館の向かいにある、いしのまき元気いちばにお邪魔した。

画像7

1階が物販コーナー、2階がレストラン/フードコートになっている道のり駅みたいな施設

魚はもちろんのこと、地元でとれた野菜や地元のひとが作ったお菓子が売ってあるのも嬉しい。

レストランで食べたのはこちら↓

元気丼…地元でとれた魚をふんだんに使った海鮮丼、1,300円

画像8

あなごの一本天ぷら…700円

画像9

他にも、

金華山丼という2~3人前の海鮮丼

画像10

あら~麺、石巻焼きそばなど、メニューは豊富だった。金華山丼には、いつかチャレンジしてみたいような…

ちゃきん

続いて訪れたのが、石巻を訪れるなら絶対に行きたいと思っていた「ちゃきん」のお店

「ちゃきん」というお菓子を知っているひとは、相当のグルメだろう。

画像1

見た目は八ツ橋に似ている。

クレープのようなふんわりうすい生地に、素朴な甘味のあんこが包まれているお菓子。

中身が透けて見えるほどの薄皮と甘すぎないあんこが抜群の相性の、知るひとぞ知るお菓子。

訪れたのは、佐藤ちゃきん屋さん

画像11

港町にあった元のお店が津波で全壊し、新しくできた復興商店街にお店を移していたものの、それも2016年10月末に閉場を迎えたため、現在の場所に移転したのだとか。

「おばちゃんのちゃきんを食べたい」という言葉で続けることにしたという話も納得の味。

1つ70円で…どうやら増税の煽りを受けたようで、もともとは60円だったみたい…5個入りのパックを買ったがあっという間に平らげてしまった。

このお菓子にも、特別な思い入れがある。

亡き友人が、よくおやつに食べていると語っていたお菓子が「ちゃきん」だったのである。

彼女と僕との共通の好きなものに、あんこのお菓子もあった。

僕は地元日田の赤司の羊羮をしきりにお勧めしていたが、彼女から話に聞く…ときに電話口で食べていた…ちゃきんは本当に美味しそうで、絶対に食べたいと長年思っていた。

色んなことを噛み締めて食べるのにぴったりな、優しい味だった。

終わりに

悲しい旅にはしたくなかった。

時間は経って、変わってしまったのかもしれないけれど、友人が心から愛した街だから。

この日の僕と

同じ道を歩いたり、

同じように海や空を眺めたり、

同じものを食べたりしたんだなぁと思うと、

友人が亡くなったことを実感する

というよりはむしろ

彼女がそれまで生きてきたことを感じたのだ。

また、会いに行くよ。

あ、また悲しい感じになってしまった(笑)

石巻も仙台も女川も最高に楽しかった!!
また来年!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?