見出し画像

元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜㊴

俺は彼女と剣を交えることになるのだが正直言えば、
「流石に強かった……。今まで出会った中では間違いなく最強レベルの強さを誇る敵……」
だと思うほどだった。
そのため俺は苦戦を強いられながらも隙を見つけると攻撃を行い反撃に転じていたんだ。
そしてしばらくしてついに勝負は決することとなったのだ!
「はあっ!」
そして剣を振るったのだがそれは彼女に当たらずかわされる事になった。
「ふぅーん。なかなかの腕の持ちのようだ……。まあいい……。
私の攻撃を避けるとは……。でも、そんなものかな?」
と呟き攻撃体勢に移る。
彼女の動きは速く……一瞬の間に俺の背後に移動してくる……そして、
そんな攻撃が来る事を予想していた俺は
「……そうはいくか。俺はここで負けてる場合じゃないんだ……!!」
その言葉を発した俺はなんとかその攻撃をかわせることに成功する。
俺はそのチャンスを逃さず彼女の背後をとり彼女の首を斬る事に成功する。
「はあ……なんとか勝てたか……でも流石に疲れたぜ。はぁ……は、早くいかなくてはな……!」
そんなことを口走りその場を離れようとしたが、俺に倒された筈の彼女の体がいきなり煙を上げ消滅する。
そしてその奥からあの勇者が現れる。
俺はそんな姿を見て絶句してしまう……。
「ははははは! 流石に驚いたみたいだねぇ~。今のは君が倒したのではない……幻なんだからさ!」
「な……!? どういう意味だ……!」
その発言を聞いた俺。
そして、そんなことを言っている間にもその勇者は俺に急接近して来たのだ。
剣を構え向かってきた相手に対し、俺もすぐに応戦。
激しい攻防戦を繰り広げる事になったのだ……。
そして…… 遂に決着が着く事になったのだが、その時だ……。
突如あの光に包まれ意識を失うことになる。
意識を取り戻した後……。
目の前で繰り広げられている戦いを見ながら考える事にしたんだが、この戦いを見てわかった事は……。
相手側は、やはり魔族のようで……。あの男の方が勇者だったんだ。
つまり……あの女の正体こそが魔王ということになるんだろう。
……でもよく見ると女の方の方はそんな感じの雰囲気ではなくて
普通の女性のように思えたため戸惑ってしまったんだよな。
132.
「まぁ……どちらにしても、あんなに強い魔族がいるってことは間違いはないのだろう。
さっさと片付けてエルミアを助けに行かないとなりそうだ……俺の可愛いお姫さま……か」
そしてそう思う事で、俺の中に眠る強大な力を覚醒させることにより、圧倒的なスピードを手に入れ、
敵の勇者を倒すことに成功し……さらに続けてもう一体にも勝利する事ができた。
そして最後の一体には逃げる余裕を与えるために俺から戦いを挑んだのだった……。
そして見事に勝利を収めることに成功。
その魔族は俺に怯えて逃げ出すこととなったんだ……。
これでひとまず、危機を回避できた。
ただ気になる事があるとすればエルミアのことだな!
無事でいるのかどうか……早く探しに行かないとか……。
「エルミアー!! どこにいるんだ……!? 返ってくれば……俺は大丈夫だ……。頼む……。
出てきてくれ……! そして一緒に村に帰らないか……!? 俺は君のいない日々を送るのはとても辛かったんだ……。
もう俺は一人には耐え切れないんだ……。俺はお前を愛してるんだよ……! だからこんなにも心乱れている……」
「ゆ、ユウト……。
わ、わたし……。ご、ゴメンなさい。こんな所にいたのに、何も言わずに勝手に村から出てしまって……」
すると突然……エルミアの声がしたのに反応する俺……。
そしてそちらを見るとそこに……彼女の姿を確認した。
そして俺の元に駆けつけてくる。
俺はそんなエルミアを抱きとめるようにして受け止めると……強く抱きしめ合う……。
もう決して離さないかのように……そして……キスもした……。
お互いの心が繋がった……。
そんな実感を得ることが出来た……。
「よかった……生きててくれていて本当に良かった……エルミア……」
俺はそう言い涙ぐむと再び唇を重ねる……愛しあう男女の姿をそこには見せつけた俺達だったが、
いつまでもそうしている時間は無かった。
なぜなら俺が先程まで相手をしていて逃げ出した相手が仲間を連れ帰ってきてしまったのだ……。
「よくも私の仲間を殺しておいてのうのうと逃げ出せたものね……。絶対に許せない……」
と怒気を放ち怒りの形相で俺の前に立つ彼女。
「いや待ってください。確かに彼は死にましたがあなたのせいではあるはずが無いんです。
それにあなたの命を狙うつもりでやった訳ではないです。
俺は彼に勝つことが出来ればそれで良いと思っていましたが結果として、
そうなり、結果的に殺めてしまいましたが……。そもそも彼が逃げたせいでもあるわけですし、
彼を責めるのは間違っています。悪いのは全て彼を殺したこの俺です」
と頭を下げながら言う俺。そして俺はそのまま話を続ける。
俺はこの人を助けることが出来るのならなんでもするつもりであると……。
そして俺は……彼女に対してエルミアと同じ想いを持っているということを伝える……。
俺は彼女へのプロポーズの言葉を口にし結婚を前提に付き合って欲しいと告げたんだ……。
そしてそれを聞き受け入れてくれるエルミア……。
133.
「私は最初からずっと貴方のことが好きだったの……。これからよろしくお願いします。
ユウトは私が守らないといけない存在……。それに私にとっても特別な大切な男性……」
と照れくさそうにしているので可愛く思い頭を優しく撫でてしまう。
ただ、こんなことを続けていても話が先に進まない為俺は彼女を落ち着かせようと
頭を撫で続けながら話しかけることにした。
「そうだったのか……。なんか、お互いに変な雰囲気になってしまったみたいだ。
すまん……。じゃあそろそろ行こう」
と俺が立ち上がって歩き出すとその服を後ろから掴まれて後ろに引っ張られてしまう。
俺はそのまま転んでしまうのを避けるために足を前に出しブレーキをかけようとしたのだが
俺のズボンの股の部分が伸び切ってしまう結果となってしまった。
(これは恥ずかしい……。
「おい。エルミア何をやってるんだよ……。全く……。俺は今急いでるんだけど……」
そんな風に呆れる俺……。
だがそんな俺の様子を見たエルミアは、俺が怒ってしまわないように
慌ただしい手つきではあったが必死に謝罪してくれた。
そして俺はそんな様子を見てから彼女の方に視線を戻すと俺はつい彼女の頭にポンっと手を乗っける。
俺の行為に驚きつつ嬉しそうな表情を見せてくれたのを確認し俺はまた彼女の方を見る。
そして、今度は俺が立ち上がり彼女の前に歩いていく。
そして、また何かを言いたげにしてこちらの様子をチラリと見る彼女に
「そんな顔をしてどうしたい? 言ってみろよ」
と言ってみる俺。
「うん……。えへぇーとぉ……」
モジモジとしている彼女を見守り続ける。
俺をちらと見て下を向いて黙ってしまい俯き始める彼女の顔に俺はそっぽを向きつつ
顎を持ち上げる形でこちらを向かせ目線を俺に向けさせじっと見つめた後軽く額に
手を当てた後にデコピンをする俺であった……。
(うぅー痛いぃ……。でも嬉しいから文句を言っちゃダメなんだよね……我慢しないと)
と思っている様子だ)
「ふぅ……」
と息を大きく吐いて覚悟を決めると彼女の口からは思わぬ言葉が出てくる。
それは彼女が初めて口にする自分の名前であるものだった。
そしてそれを耳にするだけで幸せを感じてしまう俺。だから思わず笑ってしまう。
それから彼女はもう一度、改めて自己紹介を行うのだが、彼女の様子が少しおかしい事に
気がついて声を掛けようとすると彼女は俺の顔に向かって自分の右手を伸ばしてきたので、
とりあえずはその行為をさせることにする。
ただ彼女の手が触れる瞬間、
「あぁ! やっぱり私の名前忘れちゃったのかな……そんな筈無いもん!
きっとわざとだ! 意地悪されたの私……。ひどい! 悲しい……」
と彼女は泣き出してしまう。
そしてそんな姿をしばらく眺めていたが次第に罪の意識に耐え切れなくなり謝る事にした。
素直で嘘のつけない性格の為、
「ごめん……。あまりにも真剣過ぎて可哀想なくらいだったので、ついからかいたくなってさ……。
まさか、ここまでとは思わなかったから驚いてもいるんだよ。だってさっき魔法名刺を渡してあげたじゃないか?」
俺の発言を聞いた途端目を輝かせこちらに笑顔を向けてくるのがわかる。
その態度を見て 少しほっとしたような気分にもなった俺。
そしてその後しばらく雑談を続けた。
そんなやり取りをした後俺達は森を抜け出そうと移動を始める。
134.
「ねぇ……。私の村にこないかしら……。そこならば安全だと思うの……。
もちろん無理には言わないし嫌だという理由もあると思うけど……。
そこは小さな村の筈だけど設備はしっかり整っているつもりだし……生活する上では
困ることは何もないと思うわ……。どうかな……考えてもらえたらありがたいの……。
もし来れないというのであれば仕方がない……。
どこか遠くに行くのも良いかもしれません。
そして、しばらくの間は二人だけの生活を楽しませて欲しい……。
寂しいけれど、これも運命だと信じて今は一人で頑張ります!」
と言った彼女の申し出を受け入れ共に村へと帰ることにした。
村に戻って来た時にはすっかり夜となっていたのだ。
そんな時、門番をしていた衛兵さんの一人に見つけられ慌てて連れて行かれることになる。
その道中では色々な話を聞いていたりする俺なのだ。
「お前……その娘はどこの子だよ。しかもその子と一緒にお前の姿はあったって報告も受けているんだぞ。
説明しろ。さもなくば大変なことになるかもな」
と、そんなことを口走っていたのをしっかりと確認していた。
なので俺は、
「はは。まぁそんな感じですよ。色々あって彼女と知り合えたんですよ。
俺が助けたんだからその辺は問題はないだと思いますが……?」
と言うものの、やはり信じてもらう事は出来ないらしく俺は拘束され牢獄のような場所に入れられたのである。
俺は、エルミアが無事なのか心配になっていた。
すると突然牢屋の中に入ってくる人物が……その人は俺にこう言ったんだ。
そう……あの勇者だと。
その発言を聞くだけでもその人の気持ちを読み取る事が出来たので俺は勇者との話を進めることにする。
「君が……あの男を倒してくれたのだったな……。助かったよ。
あいつはこの辺りで一番の勇者と呼ばれる奴だったらしいんだ。
俺は正直もう終わりだと思い込んでいた……。君が現れなければな……。
それに君は、とても強い力も持っているようだな。だからこそ聞きたかったことがある。
何故俺を助けたりしたんだ……あの魔族を倒す事こそが目的だったというように見えていたんだが……。
俺は、お前の事を気にかけているんだよ。だから教えてくれ……」
と言われた。
俺は答えられる限りの事を言うことに決めていたので話し始める。
「確かに俺が求めていることの一つはそれになり得るかもしれないのです……
魔王軍の幹部の1人であるその男の抹殺……ただ俺はそれだけを考えていた。
その目的は果たしましたが結局のところあなた達を助けることになりまして……。
その男を倒すことはできませんでしたから。しかし、その男がいなくなったからこそ、
その分も働かないといけなくなった訳ですし……。
それが本当の意味で俺がやろうとしていることであり、勇者のパーティーの一員であることを辞めてもなお、
こうして勇者に頼られているからにはその期待には応えたいと強く思ったのもありましたから……」
と、
「……そういうことか……。やはり……そうか……。俺の考えに間違いはなかったんだ。
そうでなければこんなに強い力は持ってないだろうから……。
しかし、この世界で俺が知っている人物なんて殆どいないんだ……。
だから……その力を……俺のために使ってくれ。俺を助けてほしい。
俺は……もう疲れてしまったんだ……。本当はこのまま消えてしまうべきだった。
俺はそう考えていた……。だが……君の言葉で救われることができたんだ……。
俺はその借りがある以上それ相応のことをするつもりでいる。
ただ俺の力の事は誰にも内緒にしてくれ。
それにまだ終わってなどいない……。
俺は、今すぐにでもこの国から逃げ出したいんんだ……もう限界に近付いてきてる……。
そう思うのには、それなりの理由はある。だから頼む……。協力して欲しい……」
と俺の手を握ってきたのを見ていた俺は咄嵯に手を引き離すと彼は、
俺に対して怒りをぶつけて来たので、仕方なく彼の言う通り従うことにした。
そして俺は今……村に戻り平和に暮らして行った。

宜しければサポート宜しくお願い致します。