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元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜㊵

そんなある日……俺が家に帰ると家の中に入り込み待ち構えている者がいた。
そしていきなり剣を抜いて襲いかかって来る。
俺はそれに対応するべく武器を手に取ろうとするが……間に合わないと判断して
その場に身をひそめた……その時……。
突如として大きな音が鳴り響き始めた。
それと同時に俺の前にエルミアが立ち塞がり攻撃を防ぐと俺を守る盾となってくれていた。
エルミアが俺に駆け寄り抱きつく形となるとエルミアに覆いかぶされて
地面に押し倒される形でそのまま床ドン状態になる俺。
そして……俺はエルミアを押し倒してしまっているのに気がつくと離れると
共に謝ると彼女は恥ずかしさを堪えつつ俺に対して微笑んでくれるのが見えたんだ。
(私を守ってくれた時にユウトの顔を見てしまった。凄く優しい表情だった……。
今まで見たことのない……。あんな素敵な顔が出来るの……。もっと私に見せてくれるなら私は……いいよ?)
そんな風に心の声のようなものを感じたのだ。
そんなこんなで2人で楽しく過ごしていきながら俺が彼女に惚れてしまい、
エルミアの方からも俺を好きになってもらえるように努める俺。
ただある日を境に彼女は何故か俺の側にあまり居たがらないようになり始めて……。
そんな日が続き俺自身もそんな彼女に対し不安を覚えるようになるのだがそんな折、
遂に彼女が行動を起こしたのだ。
俺の元にやってきた彼女の様子は、まるで俺を恐れるかのようにビクビクしているように見えるのだった。
「おい。一体何があったんだ。どうして最近、いつもと違う行動をしてるような気がしてるんだけど……」
と尋ねると彼女は震えた声で
「ユウトは怒るかわからない……。嫌われるんじゃないかと思って怖くて言えない……。
実は、ユウトは記憶を失くす前は国王だったと聞かされていたの……。
そして、それをずっと隠して私と接していたという事も。私だけしかそのことを知らなかった……。
そして私以外の全ての人にも秘密にして付き合っていたの……」
と言われ、俺がそんな彼女の発言を冗談であると思い込もうとしたが彼女の表情を見るだけで、
「それは嘘だ」
ということがはっきりと理解出来てしまうので俺は彼女を信じてあげる為に抱きしめてしまう。
そして彼女を強く求めるのだったが……。
俺は彼女を抱くことで愛おしさが増せば良いと思っていた。
でもそうはならなかった。
逆に……彼女を失うのではないか……そんな悪い予感を抱かせられてしまえば
俺は恐怖から怯えるように彼女を何度も……狂うようにして……俺は壊してしまった……。
彼女を抱き続けて俺は壊れていった。
136.
そしていつの間にか気絶していたのであろう。
目が覚めれば朝になっていた……彼女の様子を確認すると、彼女は俺の隣で
眠っていたのであった……良かったと安堵しつつ、
彼女が俺を愛し続けてくれていたことに気がつき幸せを感じると俺は彼女に
キスをしていく……すると彼女はゆっくりと目を開き起き上がった彼女は
俺を見つめたまま、こちらに顔を近づけてきたので受け入れつつ彼女の身体に手を回したのであった……。
それから暫く経った頃……彼女は俺に告白するかのような口調で話しかけてきた。
そして彼女の方を見てみると真剣な眼差しをしていることがわかる……俺は、
その彼女の瞳を見ると吸い込まれるような感覚に陥りながらも何とか耐えながら彼女を見続け続けた。
そんな時……彼女が口を開く。
「お願い……。貴方の子供を産みたいの……。その願いを聞いてくれない?
……嫌だって言われちゃうと辛いから……その言葉を口に出せないから……
今のは……聞いて欲しいという……私の気持ち……」
そんな言葉を言われると同時に俺は無言のまま彼女の頭を優しく撫ぜた後再び口づけを行う。
今度は舌を絡め合う濃厚なものとなり……。
互いに唾液の交換をする……それからというもの毎日のように彼女は妊娠しようと
必死になっているようで行為を求めてきては……。
それから数カ月後……無事に産まれてきてくれた女の子。
ただ名前は決めていなかったのと彼女は名前を付けるのが得意じゃないことから
彼女が付けたい名前を付けてあげて欲しいと告げてくる。
そして俺がその子に名前をつけることになると……。
「ねぇ……私の好きな花の名前は知っていますよね?
……それをその子の名前の由来にしてはどうでしょうか?」
と俺の服を掴み上目遣いで見上げてくる彼女の視線を受けると俺の顔は
次第に赤くなっていき心臓の鼓動が速くなり始める。
俺はそんな自分の心を悟られまいとする。
そして、その彼女の問いかけを受けて俺の頭に浮かんだのは……。
「百合の花だろ……。白い綺麗な花弁を持つあの花の……。確か清純という意味もあったはず……」
と言い終えた後に俺は自分が口に出してそのセリフがとんでもない事だと自覚してしまうと……
急に恥ずかしくなり始め赤面したまま黙ってしまった。
そんな俺の態度を見て、俺がどんなことを想像しているのか察しがついていたのだろう。
そして、その考えに納得してくれたのか……彼女は嬉しそうな笑みを浮かべており
俺もそんな笑顔を見て安心感を覚えていく。
ただその後に少し間を置き何かを考えるような素振りを見せたと思うと、
その後、真剣なまなざしをして口を開いたのである。
「えぇ。正解ですよ。私が……いえ……。
私達二人が望んでいるものはきっと同じだと思うから……」
と言って来た瞬間、突然唇を塞がれ、激しく求められて、抵抗できないようにされ、
そしてそのまま、寝室へと連れて行かれ、素肌の状態で一緒に布団の中に入ると
直ぐに行為を求められることとなる……。
ただ途中で、子供が起き出してきたことにも気がつけば、お互い笑いあい、楽しい時間を過ごしていたが、
結局はその子が眠りにつく頃には、体力が尽きてしまっていたようだ……しかし翌朝目覚めてからも、
二人はお互いに体を絡ませ続けていたため、起きることができなくなるほど、
激しい時間を過ごして行った……しかし、
そんな中であっても、子供の世話をしてくれる姿が見えたため、彼女は母親なんだなと思うことが
出来て嬉しいと思った俺だったんだが、それでも尚体を動かし続ける二人にはもう理性など無くなっており、
欲望の限りに互いを求めているに過ぎなかった。
(あれからどれくらい時間が経過しただろうか…… ふと考える。だが考える必要も無い。
それほどの時は経っていないのだから……。そう思う程に二人だけの甘い時間は流れて行きやがて
終わりを迎える時が来るまで続いていた……。だが今は……。もう限界だと言うほどの疲れを
感じつつも互いの事を忘れないようにしっかりと抱き合っている……。またそれが更なる幸福を
感じさせるものであり永遠にこの時を過ごしたいと言う欲求も高まっていったんだ……。
だからなのか余計に長く感じられたんだろうな……)
ただそれだけでは終わらない事を知っていたから……。
まだまだこれぐらいじゃ満足など出来る訳がないだと言うことも……。
137.
「もう、これ以上無理ですよ……」
そう訴えてもなお……。
まだ、足りない。全然満たされないというかのように……。
しかし、もう限界を超えている俺の体がそれを受け付けられるわけもなく、
意識を失いかけたところで行為は終わる事となる。
しかし俺は気を失ってしまった。
だが目を開けてみると目の前に居るエルミアは、
「ごめんね……。我慢できなかったの……。大丈夫かな……?」
と心配しながら声をかけてきていたのだ。
そんな心配をよそに俺が、
「気にする必要は無いよ。俺も同じだし……。だからこれからもずっと……」
と告げると……。
「もちろんよ! いつまでも……」
と微笑んでいた。
こうして今日も幸せな日々を送る事が出来ている……ただ最近になって気がついた事があり、
そのせいで俺は、彼女に変な態度を取ってしまうようになっているのだった……。
それは……彼女と俺の子供がどんどん大きくなっていくことに喜びを感じていたが、
最近ではその事ばかりが気に掛かり、それ以外の事には、頭が回っていかなくなっているのが
問題であり……そして今もその事で悩んでいた。
「やっぱりこれは……。俺が悪いんだ……。そうだよ。
全てにおいての責任を取るべきなのだと、だからもう迷ったりなんてしない。
この子達を守るために。だから俺は覚悟を決めたんだ。例えそれが間違った道だろうと構わない。
その代償を支払うことになったとしても俺は後悔なんかしたりするものか。絶対に!」
そう決心をした。ただその前に……。
そう思いつつエルミアの顔を見た。
(ただその表情に不安を覚えた俺。その表情は俺が見たこともない表情をしており、どこか怯えた様なものだった。
そしてその事に気がついてからは、俺の心に少しずつ迷いが生じ始めていたんだ……。
その事は分かっていたのだが……だからと行って俺は止まることは出来ない。
何故なら……。
俺は……俺には守るべきものが、この世界にあるのだから。
だからこそ……彼女に対してこんな風に話かけてしまう……。
だが、こんなことは許されないのは分かっている……だけど。
今はまだこの程度の発言だけなら許してほしいと、心の中で思う俺。
そしてそんな彼女の様子を見るに、
「エルミア。何を怖がっているんだ……。君はいつも通りに振る舞っていれば良いんだよ」
と言ったんだが……彼女は……。
それを聞いてエルミアは何やら不安そうな顔をしつつも俺の言葉に答える。
すると、 エルミアがいきなり、泣き出すので俺は慌てて慰めようと手を伸ばし、頭を優しく撫でてやった。
するとエルミアが。涙を流しながらも
「私怖いの……。最近……ユウトに抱かれる度にお腹の中に新しい命が育って来ている気がして……。
このまま行けばユウトは……一体……どこまで……」
と。そこまで聞くと流石に理解できてしまい俺は思わず、
「そう言う意味だったんだな……。それは俺の問題であって君のせいではないんだ……。
それに俺自身がこうしなければ……そう思って決めたんだ……。
でもそれは間違いだったんだ。でも気付いたよ……。
本当に大切なものを見失ってはいけないということを……俺の本当の気持ちを……。
確かに今の君の状況は辛いかもしれない。俺だって本当はこんな状態になりたくはなかった。
こんな状況が続いてしまえば俺は……」
(ダメだ……。やはり言えない……。今の状況を何とかする方法はある……。
あるけど……それはあまりにも残酷すぎる方法でもある。
だってそれは……。彼女に対しての……。俺に対する愛を求めることになるのだから……。
そんなの許される筈もない……。俺は彼女を愛していて。
彼女の幸せの為に行動を起こしていてだ……)
「うぅ……。私は……」
彼女は……俺の事を愛していてくれる。
愛しているという言葉こそ言ってはいないものの、行動と雰囲気がそれを物語っていた。
ならば……それを利用すれば……あるいは。
ただ、それで幸せになれるかどうかはわからない……俺は……。
一体……俺の答えがどちらになるかわからない……。俺は一体……。どうしたらいいんだ……俺は一体……!
俺と彼女の間で何が起きているかを知る術はなく俺と彼女は互いに悩み苦しんでいくことになる。
ただ、彼女はそんな中でも、変わらず俺を愛し続けてくれていることだけは分かったんだ。
それから暫くして、俺は一つの結論を出したんだ……。
そしてその行動へと移すために、俺は、行動に移すことにしたんだ。

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