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元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜㊷

それは俺の中にあるはずのない力が眠っているのが原因であるということが分かったらしい。
そしてそれを封印するのが目的でこの女性が俺の前に現れたということだった。
ただその時俺は……いや今はもう、そう呼ぶべきか?
「あなた……。ううん、なんでもないわ。私、貴方の事が好きになってしまったようだから……」
(あはは……。何を言ってくれちゃっているんだかな……。全く困った娘だな……俺は……。
それに、彼女の正体が何であれ俺は俺だ。例え、中身は別の存在であろうとな。
だからこそ彼女の事を愛し、支えてやらないといけないと思う……)
彼女は優しい表情をしながら言うと、俺にゆっくりと近寄ってきて俺にキスしてきた。
勿論それは拒むべきものではない。
そう、それが自然な行為であることに俺は戸惑うことはなかった。
むしろ……心地よく感じるものだったと言えるかもしれない……。
(彼女の唇に舌が侵入してくると俺は、
「ん! ……ン……ハァ! ……フ……アゥ!」
と息苦しいのと、変な気分になっているためか喘ぐような吐息が
漏れてしまう……だが、それだけじゃなかった……。
もっとしてほしい……俺が……求める様に……。
だからなのだろうか、俺はいつの間にか……自分からも求めていくようになっていた!
だからなのだろう。
暫くすると、お互いの顔が離れてしまっていった。
俺も残念な気持になっていれば、彼女は微笑んでくる。
俺は照れてしまい視線をそらせば、
「ふふ、可愛いですね……旦那様……私は今とっても幸せです……。
ずっとこうしていたいくらいなんですが……あまり長くはできないんですよね。
ただもう少しだけお待ちください……そうすれば私が貴方にしてあげられることが色々と
出来ると思いますから……そうした後には必ず迎えに来て下さいますよね? 約束ですよ……」
と言ってきたんだ。
ただ、そんな彼女の様子がどこか寂しげに見えるのが気がかりでもあった。
なので俺は彼女の頬に両手を当てるとその柔らかい肌に触れた。
(ああ。当然だ。こんなにも綺麗で愛しい人の事を待たせて置いてほったらかしにする訳がないだろう)
そう思って俺は答えると再び彼女をぎゅっーとしたのだった。
そうしてしばらくした後のことだった。
143.
俺が落ち着きを取り戻すと、そこで俺は、先ほど彼女の口にしたことが
どうしても気にかかっていた為確認をとることにした。
その事が本当なのだということを知ると俺は驚いてしまった。
というのも俺は、俺が死んだあとこの男性の体に俺は入っていたのだと言う。
そしてその事でこの男性は、自分が俺だったときの俺の名前も知っていたと言うんだから凄いと思わないか?
そしてこの人が一体誰なのかと言う疑問に俺はようやく答えが出たことになる。
まぁ……まさかあの時出会った男だとは流石に俺には分からなったからさ……。
ただそんな風に驚いた俺は、ついその男の顔をマジマジと見ていると彼は苦笑いを浮かべていた。
どうやらとんだ迷惑を掛けちまったなと改めて俺は彼に謝罪することになったんだ。
そんな時、俺が目覚めた時にいた研究員がこの場に現れ俺に詰め寄る。
「この野郎が! どうしてお前みたいな屑が生きてここにいる!
本来ここは、我々魔導研究所の管轄なんだぞ! なのにこの男は……」
とかなんとか言って怒りだし始めたんだが俺は、そんな彼を落ち着かせるためにある物を手渡す。
するとその人は目を丸くしながら
「な、なんだこれは」
と俺に問いかけてきたが、俺はにこやかな笑みを作り、
「俺の故郷でよく飲まれている栄養剤なのがこれの一番の特徴なんだ。
疲れが取れやすく効果が高いのが特徴で俺もよく飲ませてももらっていましたよ。
それでどうかな?」
と話しかけることにする。
しかし相手の態度は変わらないので仕方がなくさらに追加して渡す。
その薬は、少し刺激的な飲み物なんだ。
飲むだけで元気になれる優れものなのもあって結構みんなに飲んで貰うように頼んでいたくらいなんだよな。
しかもこれが、ただの水に溶かすだけでも効果は上がるんだよ。
味はそこまで良くないけど……。
俺のオススメなんだが、これさえあれば俺が昔作った特製の回復ドリンクの出来損ないといえども、
回復してくれるんだ。
それになにより飲みやすいんだよな!
だからさすがの俺もこれだけは自信がある。
そんなものを俺が渡してもその男が俺のことを信用しないので
あればしょうがないな……と思っていたんだが……意外にもあっさりと受け取ったんだ。
俺はちょっとビックリしながらも俺はその場から離れるのであった。
しかし、そろそろってか……俺は本当にどうしたらいいんだ?
このままでいい筈がないだろう?
俺はどうにかならないか考えると、何かヒントになるものがあるのじゃないかと
思い部屋の中を探し回ることにしたんだ。
その結果見つけた物は沢山あるんだ。
例えば、日記のようなメモ書きなんかもあった。
それを読む限り、その女性は元々は研究者として働いていたようだったが……。
研究内容についての記述がほとんど無かった。
その事から推測できたことは……その女性はかなり偉かったのではないかと俺は予想したんだ。
でもそんな女性の研究者がなぜあんな所で働いていたんだろうって思うんだけどな。
俺はそこで一つ思いついた事があるのである。
もしかしたら彼女は記憶喪失だったのではないのではないかと思ったんだ。
つまり誰かが故意的に彼女に呪いをかけてその事を忘れさせてしまったんじゃないかって思ったんだ。
144.
そんなことが可能なのか分からないが……一応俺はその女性の部屋を出て研究所の廊下まで戻ってみると
そこには例の女性の部下達がいた。
「おい貴方がた……」
俺は声をかける事にするのだが彼らはこちらを見ることもなく無反応。
まるで人形が歩いているかのごとく足取りを揃えて何処かへ歩いて行ったんだ。
そんな彼らを見送ると俺は思ったことがある。
あれが普通の反応ってことか……、って俺は思わずそう呟くのだった……。
そう、どうやらもとの世界にいた時の常識なんてものはここでは通用しないらしいってことだよな。
そうでなければこの人達が俺がいきなり話しかけたくらいでは動じないことが説明できないし……。
俺はそう考えていると溜息をつきながらも歩き出そうとしたところであった!
突然俺は後ろから抱きしめられたのだ。
そしてそれと同時に、
「ごめんなさい……。あなたは……悪くありません……。
悪いのは全部私……なの……私が悪いの……許さないで……あなたの……せい……じゃない……わ……。
お願い……忘れ……ないで……。私は……待っ……。いたい……。うぅ……」
「な、何を言っているんだ君は……。君が俺に謝る必要など……。
それより離してくれないか。頼むから……」
そう言い俺は離れるように言おうとしたんだが彼女は俺の言葉を
聞いていないようで俺に何度も囁きかけてきたのだ。
だけど俺の体に入った彼女の精神はその度に壊れていき、
俺が意識を失いそうになった頃彼女は俺から離れてくれたんだ。
俺はその場で膝をつく事になる。
そして俺の体は震えだす……何が……起こってしまったのかが、分かったんだ。
彼女は、
「大丈夫。全て思い出しているはず……もうこれで貴方は自分の事を思い出せるでしょう。
後は……任せた……。頑張って……。私の分まで……だから、絶対に負けちゃダメ。
必ず取り戻してきて……待っている……ね……。……そういえば……最後に
もう一つだけ言わなきゃいけないことがあった。
実は……あそこに眠らせられていた人の中には……。この国の……国王が……。……じゃあね……。
また……会おう……。約束……」
そういってくると、 俺から離れてそのままどこかへ消え去って行くのが見えた……。
俺は、それを確認するとその場に崩れ落ちたのである。
そして、今言われた言葉を頭の中で復唱していたのである。
俺の体がこの国の王である……。
そんなことを言われてしまったら俺には選択権は無いに等しくなってしまうだろう。
だから俺は、この国に残らざるを得ないと言うわけなのだ……。
それにこの国を出るとしても俺には、この世界の情勢やら地理といったものには全くといって
知識が無いので出ることはできない。
そんな状態で出たところでどうなるも言うのだ。
だから俺が取る選択肢というのはこの国から出られないのと同じことだ。
それに俺は……まだ死ぬ訳にもいかないのだ。
だってそうだろ……この世界で知り合った奴が俺の事を待ってくれているかもしれないのに、
それをほったらかしにしたままこの世界を去れると思うだろうか。
だから俺は彼女に会うまでは、いや、この体の主の記憶を取りもどすか。
俺自身の元の世界に帰れるまでは死ねる訳もないんだから……。
俺はそう心に強く刻みながら自分の意思で立ち上がろうとしたその時だ。
145.
ふいに、背中が熱くなる……。
いやそれだけじゃなく全身だ……。
そう感じ取った俺は痛みに耐えられず俺は倒れた。
そう俺の中に残っていたものが俺から外に出ようとした結果なんだよな……。
俺の中から現れた化け物が俺から逃げようと必死になっていたみたいだ。
俺から逃げ出した後……。
どうなろうと知ったことじゃねぇよ。
俺は、そんな考えを捨て去り、俺に語り掛けて来たあの女の人が俺を助けてくれようと
していたということを思い出すことが出来た。
ただ俺は、あの人のことが好きになってしまったようだ。
だから彼女が望む通り俺自身が俺としてこの世界に居続けるのならば彼女と
ずっと一緒ということになるんじゃ無いだろうか?
だから彼女の気持ちを受け入れるべきだとそう考えた。
そうして彼女の顔を思い浮かべていると胸の高まりを抑えられなくなった。
だからなのか俺の方からもキスをしたのだ!
「ああ、やっと受け入れてもらえました……。嬉しくて……死んでしまいそうです。
貴方となら、ずっと共に生き続けていけます……。これからよろしくお頼み申し上げております旦那様」
と彼女はそう言う。
俺はその言葉の意味を理解し、
「ああ……。一緒に行こう……。ずっと俺と一緒に……。
そして俺の体を元に戻して欲しい……。
そうすればこの先どんなことが俺達の前に待ち受けていようと俺は戦えると思う……」
「はい、何時までも一緒ですよ!」
そう言われると俺は彼女を抱きしめたまま、キスをしており、お互いに肌と肌を重ねているのだった。
ただいつまでもこのままでいていい筈がないのはよく分かっていた。
その為俺は起き上がり周りを見てみることにして、まず気になった事があり、隣にいる女性の格好を見たんだ。
すると何故か裸なもんで俺が戸惑っていると
「う~ん。あっおはようございます……旦那様」
そんな事をその人は寝ぼけ眼で言ってきたので俺は驚きつい
「だ、だ、誰なんです!? 一体誰なんですか?」
と叫ぶように質問してしまうと、急にその女性が悲しげな顔をするので俺は動揺してしまったのだ。
その表情の変化があまりにも可愛らしく思えてしまい俺は彼女を見とれてしまっていた。
だがそんな時俺の口からは勝手にその台詞が出てきてしまう。
俺は驚いていたがそれ以上に彼女の方の方が驚いているので俺は更に驚いてしまったんだ。

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