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私たちの学習には2種類ある。一つは学校などで行われる意識的な学習、もう一つは…

人間のしくみについては
理解したいとおもっています。
らるです。

今日は「学習」の話です。

とはいっても、学校でやるような
いわゆる「お勉強」的な学習ではなく
「無意識」に行われている学習についてです。

実は、人間というのは
「生まれてから死ぬ」まで
「寝ている間」でも学習をし続けている

…らしいんです。


無意識的な学習、統計学習

 統計学習は、無意識的な学習(潜在学習)と呼ばれています。起きているあいだだけでなく、寝ているときでも絶えず行っており、生まれてから死ぬまでずっと続けている学習です。これは、学校などで行われる「学習」とは違います。学校などの学習が「意識的」に行われるのに対して、統計学習は、「無意識」のうちに脳が学ぶもので、得られた記憶も基本的には意識的に認識することはありません。たとえば、雨の日に雷が鳴る確率、地震のあとに電車が止まる確率が具体的に何パーセントかはわかりませんが、脳はそういった確率を過去の経験をもとにして「だいたい60パーセント」「半々くらい」などと無意識に割り出しているのです。そのような脳の統計学習によって蓄積された記憶は、私たちがふだん意識的に行っている行動や判断に影響を与えています。

大黒 達也. モチベーション脳 「やる気」が起きるメカニズム (NHK出版新書) (p.17). 株式会社 NHK出版. Kindle 版.

生まれてから死ぬまで、寝ている間も
ずーっと行われている学習のことを
「統計学習」といいます。

この学習では
過去の経験をもとに大体の確率を
割り出すもの
、なのだそうです。

引用部で紹介されているのは
「雨の日に雷が鳴る確率」で

その人の経験上、
「雨の日に必ず雷が鳴っていた」なら

「雨の日に雷が鳴る確率は100%」と
統計学習的には割り出すことになります。

ただ、例えばこの後に

「雨の日なのに、雷が鳴らない日」を
経験したら、統計学習によって
その確率は
「80%くらいかな?」などと
更新されるようになります。

この更新は絶えず行われます

この学習で得られた記憶は
基本的に意識することはありません。
…が、私たちの行動・判断に影響を及ぼします。

「無意識」なのに
「行動・判断」に影響が及ぶ

…なんて言うと、ちょっと怖い気がしてきますね。


マーケティングで使われる「プライミング効果」

統計学習を、マーケティングに利用した例が
「プライミング効果」です。

 プライミング効果とは、直前に受けた刺激が、その後の行動に影響を与えることです。たとえば、喫煙者が「がん」という言葉を聞いたあとではタバコを吸いたいと思わなかったり、非喫煙者ならいっそう副流煙を避けたりするようになります。テレビで交通事故のニュースを見たあとは、いつも以上に慎重な運転になったり、乗るのを控えたりするでしょう。
 プライミング効果は、マーケティング業界で多く利用されています。健康食品では健康に関する情報など、売りたい商品に関連した情報を事前にインターネットやSNSを通して発信しておくことで、閲覧者の購買意欲を高めます。閲覧した本人はプライミング効果に気づいていないため、まるで催眠術にかかったかのようにモチベーションが左右されてしまいます。気づかないうちに、モチベーションをコントロールされているのはなんとも恐ろしいものです。

大黒 達也. モチベーション脳 「やる気」が起きるメカニズム (NHK出版新書) (p.17). 株式会社 NHK出版. Kindle 版.

たとえば、
「がん」という言葉を聞かされる

「なんとなく、がんになりそうなことを
 避けたくなる…」
=煙草を吸いづらくなる
=煙草を避けるようになる

…というのが、プライミング効果です。


本人としては、特段意識しているつもりがないのに
モチベーションが変わってしまう

…というのが、怖いところなわけです。


無意識の「統計学習」から考えられること

今回の話からすると
私たちは、学ぶ気があろうとなかろうと
「外の環境から学び続けてしまう」

ということになります。

普段から自分が居る環境…

どんなときに
どんな場所で
どんな人と
どんなことをしているか…

これらが、いかに自分に影響を与えてしまうか

ということに、一つの根拠を
与える話だったと思います。

よく、自分を変えるなら「環境を変えろ」
言われますが、
今回の「統計学習」の知見からしても
それは正しいんだろうな…
ということが
よくわかりますね。


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