『功利主義』では犠牲は弱者…ではなく金持ちが払う⁉ 0から学ぶ『功利主義』② 漫画『最大多数の最大幸福 道徳および立法の諸原理序説より』
こんにちは、らるです。
前回紹介した本から
もう2点だけ、
勘違いしがちなポイントを
紹介しておきたいと思います。
今日は以下の内容を話していきます。
・功利主義で犠牲を払うべきは「金持ち」の方
・極端なケースに惑わされるな
…
・功利主義で犠牲を払うべきは「金持ち」の方
功利主義を象徴する言葉として
「最大多数の最大幸福」があります。
この言葉の意味を考えると
多数の幸福のために、少数の幸福が犠牲になる
というケースがあるのはわかりますよね。
少数が犠牲 …というと
「弱いものが犠牲になる」と
直感的に思いがちですが、
功利主義においては、そうではないのです。
P39
功利主義において、犠牲になる少数とは
弱者ではなく、貴族や金持ちなのです。
持たざる者に苦痛を与えるのは
総和としての幸福が減少する
=功利主義に反する
と言うことを言っている訳です。
例えば、こんなケースを考えてみます。
ある集団に4人の人が居ます。
1人は富豪で月に1000万円使っています
あとの3人は貧しく、月に5万円で
なんとか生き延びています。
富豪は良い生活を送っているので
幸福度は10として
あとの貧民の3人は、非常に辛い状況なので
幸福度-1としています。
すると、この集団全体での幸福度は
10-1-1-1=7ということになります。
ここで、富豪に犠牲になってもらいます。
貧民の3人に、お金を分けてもらうのです。
すると、どうなるでしょうか?
富豪の方は、少し使えるお金が減りましたが、
全体の割合からすれば微々たるものです。
幸福度への影響は殆どないものとして
10→9への1ダウンということにします。
一方で貧民だった3人は
月の生活費が20万円になり
少しは贅沢する余裕がでました。
よって、幸福度は
-1→+1にアップしたと考えます。
すると、集団全体の幸福度は
元の7から12に大幅にアップしました
これが功利主義に則ったやり方
ということになります。
この効果がなぜ出るかというと
月1000万円使ってる人にとって、
10万円は大して幸福につながりませんが
月5万円しか使ってない人にとって
10万円は大きな幸福に繋がるから
という差があるからです。
同じお金でも効果に違いが
出てくるんですね。
年収と幸福度の相関を取ると
700万円前後で頭打ちする…と言う話を
聞いたことがある人も多いと思いますが
お金持ちになればなるほど、
お金で得られる幸福は
ドンドン小さくなっていくのです。
だから、沢山持っている人が
全くもっていない人に分ける
というのは、
最大多数の最大幸福の達成には
有効なんですね。
…
極端なケースに惑わされるな
功利主義の説明をするとき
よく引き合いに出される問題が
トロッコ問題です。
放っておくと5人が死ぬが
自分が行動して1人を殺せば5人は助かる
そういう時にどちらを取るか
という問題です。
この問題は、功利主義に関わるもの
ではあるのですが、極端すぎるのです。
作中でベンサムはこう叫んでいます。
P185~P187
トロッコ問題のような
一生に一度あるかないかの話に
焦点を当てるのではなく
もっと、現実的で身近なことに対して
広く功利主義で考えてみて欲しい
ということを言っているわけです。
そして、最終的に言いたいことは…
P188 より
全体の幸福を
世界の皆が考えることで
もっともっと大きな幸福が得られる
これを目指したいというわけです。
決して、功利主義は冷たいものではない
というメッセージなんだと思います。
…
まとめ
・功利主義で犠牲を払うべきは「金持ち」の方
お金持ちが少し犠牲を払うだけで
沢山の貧しい人の大きな幸福につながる
・極端なケースに惑わされるな
トロッコ問題は極端なケース。
もっと、現実的によくあるケースを中心に
日常的に功利主義で考えていくことが必要
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