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功利主義とは? J.Sミル『功利主義』第二章

こんにちは、らるです。

J.S.ミル『功利主義』
第二章 功利主義とは何か を
紹介していきます。

ここからが、本番です。

功利主義とは

一言で言うと
効用を最大化する考え方です。

効用、と言う言葉が
ちょっと分かりにくいですよね。

ネットで意味を調べてみますと…

こう‐よう〔カウ‐〕【効用】
1 使いみち。用途。「うその効用」
2 ききめ。効能。「薬の効用」
3 経済学で、消費者が財やサービスを消費することによって得る主観的な満足の度合い。
出典 小学館 デジタル大辞泉

色々と意味があるのですが
これらの意味から受ける印象とは
ちょっと違います。

功利主義での『効用』は

快楽そのもの(苦痛を免れることを含む)

だと考えてください。

そして、ここで言う「快楽」とは
「有益なもの」と同じです。

つまり…

効用=快楽=有益なもの です。


功利主義とは

快楽(苦痛を免れることを含む)
=有益なものを最大化する考え方
である


ということです。

一つ一つの言葉の定義に
細かいツッコミをいれるのではなく
功利主義のイメージをつかんで
ください。

功利…と言う言葉から受ける
金の亡者的な印象や

快楽…と言う言葉から受ける
動物的な快の印象に

引きずられないようにしましょう。

めざすべき最大幸福とは

快楽(苦痛を免れることを含む)
=有益なものを最大化する考え方

これが功利主義なわけですが

「誰の」快楽=有益なものを
最大化するのか、と言うと…

行為者本人だけでなく
すべてを合算したうえでの
最大幸福を目指すことになります。

「すべて」というのが難しい所ですね。

この「すべて」を全人類と捉えるとすれば

功利主義における理想的な人
「全人類の幸福のトータルを基準にして
 行動を決める人」
ということになります。

当然ながら、その時選ぶ行動によって
「本人の幸福が犠牲に」なることもあります。

英雄扱いされるような人の行動ですね。

対極にあるのは
「本人の幸福」を軸に考える人ということに
なりますが、通常、大半の人は
「本人の幸福」を中心にする
と思います。

私も、それでいいと思います。

ただ…

本人の幸福"だけ"を追う弊害

社会に対する情感も身近な誰かに対する情感も持たない人の場合、人生のもたらす気分の高揚は大幅に失われていき、あらゆる利己的な利害が死によって終止符を打たざるをえないときが近づくにつれて、どんな場合であれ、物事の価値が徐々に低減していく。

P39

人は「個人」の単位で見れば
必ず死にます。

本人だけの幸福を追い求めても
死が近づくにつれて、
その価値は減少していき
死とともに0
になります。

ただ、一方で、
人を個人の単位ではなく
集団…としてとらえた場合

どうでしょうか?

人類全般の利益に対する同胞意識の感情も合わせて育んできた人は、死の直前まで、若く健康で溌剌としていたときに匹敵するような、生き生きとした関心を人生に対して持ち続ける。

P40

自分のことを、単なる個人として
捉えるのではなく
「人類という大きな集団の一部」として
捉えている人


個人の幸福の感覚が薄れて
集団の幸福のために、死ぬ間際まで
生き生きと力を尽くせます。

本当かな? と思われるかもしれませんが
本書の「解説」で紹介した通り

この本自体が、
ミルとその妻が、肺結核に罹患し
『人生の締め切り』を意識しながら書いた
著作である
…というのが、一つの証拠に
なると思います。

自分だけでなく
集団全体の幸福に生きるとき
人は死の間際までイキイキと
生きられるのです。

「個人」は必ず死にますが
「人間という集団」はずっと生き続けるのですから。

まとめ

功利主義は
「すべての人」の効用=快楽=有益なものを
最大化するという考え方である

自分だけの幸福を追うと
死が近づくにつれ、すべての
ものごとの価値は落ちていく

一方、集団全体の幸福を追うなら
個人の死の意味は小さくなる
死の直前までイキイキと生きられる。



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