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心と身体が噛み合わないのは、つまり… スピノザ『エチカ』第二部

主に「精神」および「認識」に
ついて語られる『エチカ』第二部

今日は
人の心と身体が噛み合わない理由について、
ヒントを見つけたと感じたので
それを紹介する。

人間の精神は、
人間の身体への刺激を通してしか
外部のものを認識することができない

このことから分かるように
精神と身体は切っても切り離せない

しかしながら、実は…
定理24より

人間精神は人間身体を組織する部分の
妥当な認識を含んでいない

精神そのものは
身体に対して
必ずしも正しい認識をするようには
できていない
ということだ。

身体にとっての善を
精神は知らない
ということだ。

そして、
身体を正しく認識することは
とても難しい、なぜなら

第二部 要請 1

人間身体は、
本性を異にするきわめて多くの個体
――そのおのおのが
またきわめて複雑な組織の――
から構成されている。

身体は一つではなく
本性が違う多くの個体で
構成されていて

なおかつ、その関係性が
とても複雑であるから
である。

これは、
臓器移植をイメージすると
わかりやすい

脳が死んでしまっても
心臓は機能を続けていて
それを他の身体の中で機能させることが
できるのである。

すなわち、
仮に自分の体から離れても
臓器=身体の一部分はその本性を失わない

ということである。

そうした、
バラバラの本性をもつものが
複雑に関係して
成り立っているのが身体
である

神=自然の法則から
一つの物として身体と精神がセットで
作られていたら良かったのであろう…が
実際はそうなっておらず

身体は多くの部分から成っているし
精神は身体の部分を
必ずしも正しく認識するようにできていない

精神そのもの
身体の部分の一つ一つが
異なった本性を持つのであれば

ある部分への善が
他の部分への悪になることもある

ということになる。

精神への善が
身体のある部分への悪になる

その逆もあるということだ。

これが、心と身体が噛み合わない理由
だと私は思う。





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