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資本主義って何が問題なの?【高校生からわかる「資本論」】

こんにちは、らるです。

私達の社会は、資本主義社会です。

では「資本主義」ってなんなのか
何の問題があるのか

…というと、意外に知らないものですよね。

ということで、少し学んでみようと
思い立ち、こちらの本を読んでみました。

あの池上彰さんが
高校生向けに授業形式で資本論を説明した内容
まとめた本になります。

これなら、すんなりわかりそうですよね。

というわけで、中身を少し紹介していきます。

資本主義って何が問題なの?

資本主義が発展すればするほど労働者の労働条件はどんどん悪くなっていって、労働者が人間として扱われない。まるでモノみたいに扱われることに耐えられなくなってくる。そうなると、労働者の不満が高まって、労働者がこの社会を変えようという動きが高まり、やがて革命が起きる。これがマルクス主義の理論でした。

池上彰.池上彰の講義の時間高校生からわかる「資本論」(ホーム社)(Kindleの位置No.118-121).株式会社集英社.Kindle版.

一言で言えば
人がモノ扱いされることが問題だというわけです。

最近、よく問題として取り上げられる
派遣切り…というのは、この典型例ですね。

今までの日本の会社というのは
終身雇用が基本になっていて
一度雇えば、カンタンには辞めさせられない…
という形になっていたわけですが

派遣労働者に関しては
「仕事が無いので、切ります」
ということがいとも簡単に
行われるようになっているわけです。

本書の中には、ショッキングな図
掲載されています。

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kindle位置No.91

会社が自社で雇っている人に
払うお金は人件費ですが

派遣社員に対して払うお金は
「物件費」…すなわち文房具代と
同じ扱いになっている
わけです。

まさしくモノ扱いだ、というわけです。

今まで大きな問題が起きなかった理由は?

再度、先ほど引用した文章の一部を
引用します。

労働者の不満が高まって、労働者がこの社会を変えようという動きが高まり、やがて革命が起きる。

モノ扱いされた労働者たちは
やがて革命を起こす…というのが
マルクスの理論だった
わけです。

ですので、マルクス経済学を勉強していた
人達というのは、「革命がおこらない」ように
対策を考える
わけです。

実は、日本には独特の特徴があって
資本主義の国なのにマルクス経済学の学者が
非常に多かった
そうです。

その結果、どうなったのか。

そこで、「労働者をあまりにこき使ってはいけないよ」とか、「労働者の権利はなるべく守ってあげよう」とか、あるいは「企業に勝手放題させちゃいけないから、国がコントロールしよう」とか、そういう考え方の人たちが非常に多かったんです。
 よく日本のことを、世界で唯一成功した社会主義、なんていう言い方をすることがあります。日本はみんな一生懸命働く。終身雇用制という言い方があったでしょう?一度就職すると生涯、定年退職するまでずっとその会社にいられる。辞めることはできるけれど、クビにされることはないから安心してその会社で働くことができる。そうなると、その会社に対する愛社精神というのも出てくるよね。「その会社のために頑張ろう」という気になる。
 企業活動は国によってコントロールされ、規制がたくさんあった。企業同士の競争はもちろんあったけれど、弱肉強食のようなどぎつい競争は少なく、「みんな仲良く」という、談合的な体質の経済になっていた。
 こんな形の社会になったのは、日本のいわゆる指導層たちが学生時代にマルクス経済学を学んでいたからだったと、こういう風にもいわれているんですね。

Kindleの位置No.228-238

・労働者の権利を守る
・企業の動きを国がコントロールする
・きつい競争が無く「みんな仲良く」

こういった資本主義らしからぬ特徴から
世界で唯一成功した社会主義 なんて
呼ばれ方もしていたようです。


しかしながら、それでうまくいっていたのも
もはや昔の話…

失われた30年…などと言われるように
日本の成長は明らかに停滞しています。

世界的な競争が激化しているわけです

そんな中で、現在、日本は
アメリカ流の新自由主義に近づいて…
つまり、規制を減らす方向になっています。

その結果、
マルクスの言っていた資本主義の
状態に近づいている
…というのが
現状なわけです。

規制をかけて、労働者を守ることを
重視し過ぎれば、
世界での競争に負けてしまうかもしれない

規制を緩めていけば
労働者はモノ扱いされ、不満がつのり
貧富の差が増していく…

こうすればいい、という答えが
簡単に出る問題ではありません。

私たちにできるのは
構造を知って、
その中でどう生きるべきかを
一人ひとり考えていくこと

なのだと思います。

まとめ

資本主義では人がモノ扱いされることが問題である

日本は資本主義でありながら
かつて「唯一成功した社会主義」と言われた。
革命を避けるため、労働者の権利を守る規制が
なされていたためである

現在は、世界との競争にさらされ
規制は緩和される方向になり、
マルクスの述べた資本主義の状態に
近づきつつある





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