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君主論 攻略⑮ 『君主論』 君主の頭脳のよしあしを見るには○○を見よ

一人でできる大きな仕事は無い、と
思っています。らるです。

今日は第22章
「君主が側近にえらぶ秘書官」についてです。


君主の頭脳のよしあしを見るには…

ある君主の頭脳のよしあしを推測するには、まず最初に君主の側近をみればいい。側近が有能で誠実であれば、その君主は聡明だと評価してまちがいない。それは、君主が彼らの実力を見抜ける人であり、彼らに忠誠を守らせているからである。

マキアヴェリ. 君主論 新版 (中公文庫) (Kindle の位置No.2529). Chuokoron-shinsha,Inc.. Kindle 版.

タイトルの答えは「側近」でした。

側近が有能で誠実なら
君主は聡明だ

というのが君主論の主張です。

側近が有能だということ
=君主が側近の有能さを見抜いている
=有能な側近が忠誠を誓っている

ということなので、
君主の頭脳はよい
となるわけです。


そう言われてみればそうかな
という感じですが

そもそもこの文章は
マキャベリが自分を側近として雇ってもらう
ためのものなので
「有能な自分を雇えば、君主の聡明さを
 証明できますよ!」

という売込みなようにも聞こえますね。


頭脳の3種類

 およそ人間の頭には三つの種類がある。第一は、自分が独力で考えをめぐらせるもの、第二は他人に考えさせて、よしあしを判断するもの、第三に、自分の考えも働かず、他人にも考えさせないもの。すなわち、第一の頭脳がもっともすぐれ、第二の頭脳がややすぐれ、第三の頭脳は役立たない。

マキアヴェリ. 君主論 新版 (中公文庫) (Kindle の位置No.2535). Chuokoron-shinsha,Inc.. Kindle 版.

第一:独力で考えられる
第二:他人に考えさせ、自分で判断
第三:自分で考えられず、他人にも考えさせない

第一が一番いいのは間違いないんですが
君主にとっては、第二で十分
というわけです。

なんでも独力で考えられる天才でなくとも
君主にはなれる…ということなので
少し希望を感じる人もいるのかな?


秘書官の見分け方

君主はどういうふうに、秘書官の人物を知ることができるか。これには、ぜったいに間違わない見分け方がある。すなわち秘書官が、あなたのことより、自分のことをまず考え、どんな行動にも私益を求める人物と映れば、このような人物を、けっしてよい秘書官とはいえないし、気を許すわけにはいかない。なぜなら、国を手中に託された人物は、自分のことなど、けっして考えるべきでなく、つねに君主の身を思うのでなければならない。君主に関係ないことなど、みじんも念頭に浮かべてはならない。

マキアヴェリ. 君主論 新版 (中公文庫) (Kindle の位置No.2543). Chuokoron-shinsha,Inc.. Kindle 版.

・私益を求める人物は秘書官にするな
・君主に関係あることしか思いうかべない人を選べ

まあ、こういう人を選べば
それは自分にとっては都合がいいのでしょうが
めちゃくちゃレアな人ですよね。

メチャクチャ優秀な人に
メチャクチャ好かれる

…みたいな状況が発生しないと
いい秘書官は得られない、ということに
なってしまいそうです。


最後に、
秘書官に忠誠心をもたせる方法についてです。
(どうしても、マキャベリが
「自分をこんな風に雇ってくれ」と
言っているような気がして
素直に受け取りづらいところはありますが…)

立場を変えていえば、君主は、秘書官に忠誠心をもたせるために、名誉を与え、暮らしを豊かにし、恩義をかけ、栄誉と責務とを分かちあって、彼の身の上のことを考えてやらなければいけない。このようにして君主は、秘書官に、自分がいなくてはどうにもやっていけないことを分からせるのである。身にあまる栄誉を委ねて、もうそれ以上の名誉を望まないようにすること、望外の財産を与えて、それ以上の富を望まないように、過ぎた職責を委ねて、変革をこわがるようにしむけることである。

マキアヴェリ. 君主論 新版 (中公文庫) (Kindle の位置No.2547). Chuokoron-shinsha,Inc.. Kindle 版.

忠誠心をもたせるために

・名誉を与える
・暮らしを豊かにする=望外の財産を与える
・栄誉と責務を分かち合う
→これ以上ない状態にして変革を怖がらせる

それはまぁ、ここまでしてもらえたら
忠誠心は出てくるでしょうね!

ただ…
この待遇を求めて秘書官になる」のだとしたら
それは「私益」を求めている
のでは?
いい秘書官の条件に合致しないのでは?

という気もしてしまいます。


個人的には、この第22章は
自分の待遇を良くしてほしい」という
マキャベリのメッセージ

…そんな章だと、感じてしまいました。


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