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アルフォンソ・リンギスにおける「感覚」(sensation)論の1980年代までの生成史整理、およびその解釈上の留意点の提示
要約本発表では、アルフォンソ・リンギスの「旅行記」としての哲学の根底にあるとされる「感覚」論について、1967年から1988年までの間の彼の議論の推移を整理し(第1節)、彼に固有な「感覚」解釈を理解する上で留意すべき事項を明らかにする(第2節)。 リンギスは、「知覚」ではなく「情動性」としての「感覚」を重視し、レヴィナスの「エレメント」の思想に接近し、後に『存在するとは別の仕方で』における可傷性における他なるものから受ける「命法」のあり方を支持した。 しかし1988年に