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spinel3
夢想 - 審問官はかく語りき -
「ごめんなさい」と、ある者が言った。
…
「何を謝っているの?」
…
「はい、分かりました、とは言えません」
「あなたの犯したことは、とても大きなこと」
「けれども、あなたはこうして、不自由なく」
「五体満足で、今も平穏に生き永らえていて」
「あなたが怖れるようなことは、何ひとつないはずです」
「そこに、何の不満があるというのでしょう?」
…
「別の言い方をしましょう」
「あなたには、私に許しを乞う必要なんて、一切ない」
「そのまま、ただ暮らしていく選択も、あなたはできる」
「もう一度ききましょう」
「あなたは、いったい、私に、何を謝って、何を許してほしいの?」
…
「偽りの楽園を離れ」
「扉の向こうに封じられた罪を見やり」
「なお生きる意志があなたにあるとでも?」
…
「そう、でしたら、こちらへどうぞ」
消える罪も、許される罪も、ありはしない。
夥しい悲しみの山が、そこには、ただ、ただあるだけだ。
…
「あなたが、人々に希望をもたらす、また一人の人であらんことを」
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