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希少疾患について

2022年8月15日初稿

最初のテーマは、希少疾患の特徴について

  1. 患者数が少ない

  2. 7,000種類くらいある

  3. 80%は遺伝的原因、75%は小児、慢性・致死的

  4. 有効な治療法・医薬品が多くない

1. 患者数が少ない

疾患の希少性は、疾患患者数や有病率を基準として定義されています。

例えば、米国では20万人に1人、日本では5万人に1人と疾患患者数で定義されています。一方、欧州では1万人に5人の割合という形で定義されています(人口比で計算すると米国1万人に6.4人、日本1万人に3.9人)。
ざっくり2,000人に1人の割合と言い換えることができそうです。

患者数が少ないことから、さまざまな問題があります。

患者さんは調子が悪いと思って、お医者さんに受診したときに、疾患そのものがマレであることから、お医者さんが一度で確実に診断してくれる可能性が低くなります。その場合、疾患に適した治療を、すぐには受けられない可能性が出てきます。

また、企業にとっては、患者数が少ないことから、商業ベースに乗らない可能性もあり、開発投資に躊躇する可能性があります。

2. 7,000種類くらいある

希少疾患の数は多く、6,000〜8,000種類の希少疾患が発見されています。
また、日々、研究結果が出されることで、新しい病気が報告されています。

希少疾患の数は、病態や疾患の分類の基準をどう考えるかにより変わって来ます。一般的に、疾患は、健康状態の変化のうち、症状に固有のパターンが見られ、特定の方法で治療されるものと定義されています。

固有のパターンがあるとみなされるかどうかについては、対象をどの程度細かく分析するかに左右されるため、疾患の数がバラつくことになります。

3. 80%は遺伝的原因、75%は小児、慢性・致死的

ほぼ全ての遺伝性疾患が希少疾患です。が、全ての希少疾患が遺伝生であるわけではありません。非常に稀な、感染性疾患、自己免疫疾患、稀な癌など多様で、多くの原因は解明されていません。

遺伝的であることから小児期から発症・発見されるケースも多く、また致死的であることから、小児の患者の割合が高くなっています。

希少疾患は、重篤であり、慢性活進行性であることも多い疾患です。多くの希少疾患において、疾患の徴候が出生児や小児期に見られることがあります。一方で、疾患の兆候が成人期に現れる例も多くあります。

4.有効な治療法・医薬品が多くない

希少疾患分野は、ここ40年程度で研究や政策的なサポートが進んできた分野であり、他の疾患分野と比べると、医学的・科学的な知見は限定的です。

ほとんどの希少疾患には、根本的な治療法は存在しないものの、適切な治療により、患者のQoLが改善し、長生きにつながります。


次回以降、希少疾患を取り巻く、政策、医薬品の開発状況、企業について触れていきたいと思います。

参考資料:
オーファネット、希少疾患の研究開発指標の網羅的解析

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