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薬局に対する補助金について(2021年3月まで)

はじめに

医療系の第一回目の記事は何がいいかなと考えたのですが、辛いこと言うまでに、皆さんの薬局で申請すべき補助金などを書いておいた方が参考になるかなと思い、この記事にしました。
少しでも業務に役立つ、もしくはいろんなことを考えるきっかけになればと思いますが、あくまで個人の意見のため、誹謗中傷は放置させていただきます。

補助金の種類

日々の業務に忙殺されてできない方々もいると思うので、ピックアップしてみました。コロナ下で受診抑制からくる売り上げ減少があると思います。該当する補助金があればぜひチャレンジしていただけたらと思います。
・医療機関 ・ 薬局等における感染拡大防止等の支援(最大 70 万円の支援金)
・オンライン資格確認の導入について(21.4 or 32.1万円を上限に1/2 or 3/4補助)
(・居宅療養管理指導を行っている保険薬局)
(・IT導入補助金(30~450万円 4分の3以内(C塁型)))
になります。
それでは、一つずつ行っていきましょう。

・医療機関 ・ 薬局等における感染拡大防止等の支援

これは、ご存じの方も多いと思いますが、新型コロナウイルスの感染拡大防止として、院内での感染拡大を防ぐための取組を行う医療機関・薬局等における費用の補助が実施されることとなりました。薬局としていただける上限は70万円になります。ここで注意していただきたいのは、申請は1回切りということです。なので申請する前に終わりかどうかも見ておく必要があります。

 申請対象

① 感染対策に要する費用(令和2年4月以降1年分として、定期的な買替えも想定する)
具体的には薬局内で利用する消毒関連、衛生資材、飛沫感染防止等に関わる費用になります。
例としては 除菌ハンドソープ、ペーパータオル、マスク(薬局従事者等用)、消毒剤、フェイスシールド、手袋、受付、投薬台等のアクリルパーティション・ビニールカーテン、白衣クリーニング、薬局清掃(業者への委託費用)、薬局掲示(デジタルサイネージ(初期導入費、ランニングコスト)、ホワイトボード等)、非接触体温計 等

②0410事務連絡対応関係
具体的には電子機器やオンライン服薬指導ツール等に関わる費用になります。
例としては、ノートパソコン、 カメラ、 オンライン服薬指導機器(初期導入費、ランニングコスト)、 オンライン服薬指導用ブース設置、 携帯電話契約、地域医療連携システム(初期導入費、ランニングコスト)、代金決済(初期導入費、ランニングコスト、手数料) 等

③その他、薬局の状況に応じたもの
具体的には空調機器や患者の動線管理や待合状況の改善等に関わる費用になります。
例としては、空調設備(換気扇、サーキュレーター)、受付(投薬台 ガラス付き受付カウンター、投薬台間仕切りパーティション改築)、待合室内(患者動線区別用パーティション、床シール、待合い 待合い椅子、アクリルパーティション)、机や椅子(長机・パイプ椅子(受付用)、パイプ椅子(患者用))、薬局外対応(薬局外電源設置、日よけ、スポットクーラー)  等

 申請方法

請先は支出状況によって2種類に分かれます。
①令和2年4月1日から令和3年3月31日に見込まれる費用について概算額での申請の場合
→各都道府県の国保連の「オンライン請求システム」(医療機関等が毎月の診療報酬請求事務で使用しているシステム)

②申請時に支出済みの費用について、領収書等を添付して、補助金の申請を行う場合
→各都道府県で対応を判断
 ※上記に関して、都道府県毎に申請方法・申請先が異なる場合がありますので、ご注意ください。
概算額で申請した場合は、事後に実績報告を行います。 その際にも領収書は必要となります。

個人的には、事後の申請をお勧めします。理由として、事前申請しても別に報告する必要があること、申請して不適とみなされた場合、調整が大変になること、申請は1回きりのため、ためて申請したほうが補助金ぎりぎりまで使えることが挙げられます。もちろん、すでに上限まで達している場合は、申請しても問題ないと思います。
申請は必ずしも受理されるわけではないので、事後の清算をまとめてする方
がいいと思います。

(参考)
厚生労働省HP 「医療機関・薬局等における感染拡大防止等の支援」について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kansenkakudaiboushi_shien.html
東京都HP 東京都医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/shienkin.html

・オンライン資格確認の導入について

2021年3月よりオンライン資格確認確認システムがスタートします。それに伴い医療療機関や薬局の受付窓口に「顔認証付きカードリーダー」を設置することになります。カードリーダーは社会保険診療報酬支払基金に申し込むことで配布される(「医療情報化支援基金」から費用補助がなされ、医療機関の負担は生じない)機器を使用します。
ちなみに、補助なので、やらないという選択肢もありますが、期間を逃すと実費になるのでやっておいた方がいいです。別な理由でも、しておいた方がいいのですが、それは後述します。

 概要・流れ

マイナンバーカードを医療機関・薬局で保険証と紐づけをします。受診ごとにマイナンバーカードを提出し、確認をします。確認方法は顔認証・目視・暗証番号があります。入力をすると、レセコンと連動をし、レセコンの保険画面の自動更新が行われます。
また、レセプトデータを見ることができるので、他の医療機関でかかっている薬の履歴なども見ることができます。ただし、レセプトデータのためタイムラグが発生するためリアルタイムではありません。
端末は、国保などのサーバーにアクセスする関係上、レセプトを請求している端末になると思います。
資料は下記にあるのでご覧ください。
メリットや薬局での変わることは下記のサイトから資料がダウンロードできるのでご覧ください。適宜更新しています。

 対応について

対応を行うには、まずオンライン資格確認のためのポータルサイトで登録を行う必要があります(すでにスタート)。そのポータルサイトで、顔認証付きカードリーダーの申込、オンライン資格確認等システムの利用申請及び医療情報化支援基金の補助申請の受付を行います。

 補助金について

補助金は、枚数によって額が変わります。なお、消費税分(10%)も補助対象であり、上記の上限額は、消費税分を含む費用額です。
・大型チェーン薬局(グループで処方箋の受付が月4万回以上の薬局)
21.4万円を上限に補助
※事業額の42.9万円を上限に、その1/2を補助
・薬局(大型チェーン薬局以外)
32.1万円を上限に補助
※事業額の 42.9 万円を上限に、その3/4を補助

なお、顔認証付きカードリーダー提供台数は、大手チェーン薬局及び薬局(チェーン以外)とも1台無償提供になります。
そのため、サイトに登録をして端末を決める必要があります。

 その他

端末は3種類用意されていますが、レセコンメーカーごとで推奨端末があるようです。基本的にはどの端末でも同じ内容になるよう行政は始動されていますが、レセコンメーカーで推奨をされてしまうとトラブルが起きた時の対応に差が出る可能性があるため悩ましい部分があると思います。

 今後の展望

これは是非、申請をしておいた方がいいです。
制度がスタートしてもしばらくは保険証を使われる方が多いと思います。ほかにも、マイナンバーの普及率が悪いこと、公費との紐づけがしばらくできないこと、保険証とマイナンバーカードを医療機関で紐づけをしない限り使えないこと、オンライン服薬指導する場合には端末での確認ができないこと、毎回マイナンバーカードを医療機関に持参し・提示することなどディメリットを上げてもきりがありません。

それでも勧める理由として、いくつかあります。
1.オンラインで他医療機関の処方歴の確認できること
2.カルテや検査データ(検査値やCT等の画像データ等)の確認できること
3.災害時における服用薬の確認できること
4.将来的にリフィル処方箋の対応(処方箋を使いまわせる)できること
5.機器を接続するための調整費用を補助金で負担を軽減できること


カナダなどの海外では、処方内容などはオンラインで各薬局から閲覧することができ、ボトル調剤であったり、薬がないと来局された際には、エマージェンシーという制度を使えば、薬剤師の判断で数日分処方することができます(後日、医療機関にフィードバックする必要あり)。日本は、国民皆保険制度としては他国より厚い保険制度になっていますが、仕組みとしては、実は遅れているとも一方で言われています。
処方箋も「紙」である必要もありませんし、マイナンバーカードとクレジットカードとの紐づけや医療費控除の調整も並行して行われることとなると思います。もちろん、毎年リフィル処方箋についても討議されていますが、受診抑制を考えるといつかは解禁になると強く思います。
国がマイナンバーカードを作成した段階で、様々な用途で使用することが想定されます。そのためにも今のうちに制度に慣れていち早く対応された方が、生き残れる薬局になると思います。

(参考)
オンライン資格確認の導入について(医療機関・薬局、システムベンダ向け)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08280.html

(・居宅療養管理指導を行っている保険薬局)

ここからは参考程度になりますが、記載させていただきます。

「新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付事業」から薬局が外されたことは皆様はご承知かと思います。最前線で勤務されている薬局の方々には厳しい処置かと思いますが、一部の薬局だと別の補助金があります。その薬局は掲題の薬局になります。
注意していただくことは薬剤師の訪問日数であることがあります。
他にも各都道府県で、独自のサポートもあるようですので、興味のある方は調べていただければいかがでしょうか?

(参考)
「新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付事業」について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000098580_00001.html

薬局薬剤師が受け取れる慰労金(薬剤師のわ)
新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付事業
https://www.youtube.com/watch?v=jnNHhEZ4HAY

薬局薬剤師が受け取れる補助金“3”つめ(薬剤師のわ) 
新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)
https://www.youtube.com/watch?v=RoBl6KiR1jg

薬局薬剤師が受け取れる補助金4つめ!(薬剤師のわ)
在宅サービス事業者における環境整備への助成事業
https://www.youtube.com/watch?v=QwHr3CW-ClE

(・IT導入補助金(30~450万円 4分の3以内(C塁型)))

こちらの補助金は、記載通りの補助金になります。
ではこれはなぜ記入させていただいたかというと、薬局で「服用期間中のフォロー」が義務化されたことにあります。
2019年12月に改正・公布された薬剤師法並びに医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、薬機法)では、薬剤師は、調剤した薬剤の適正な使用のため必要があると認める場合には、患者の当該薬剤の使用の状況を継続的かつ的確に把握するとともに、患者又は現にその看護に当たっている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない旨が新たに規定されました。ハイリスクだからフォローを必ずするわけではありません。

現在の診療報酬では、正直なところ何も影響はしません。しかしながら、今後、服薬指導と次の服薬指導のフォローアップということが行われます。もちろん、現行の服薬情報等提供料・麻薬管理指導加算等にも紐づきますし、今後、薬局薬剤師としてやらなければならない業務の一つになると思います。フォローアップをすることにより、状態を把握して受診勧告・医師へのフィードバック等ができることとなります。

ここで考えていただきたいのは、フォローアップのみのためだけに機器導入するでいいのでしょうか?
自分の考えとしては、NOと言わせていただきたいです。
理由として、コロナ下で売り上げも厳しくなっていると思います。もちろん、かかりつけ薬局として目指されているのであれば、門前以外からも処方箋が来ることにより、地域医療・患者さんに貢献をより実感されると思います。是非、この機会に「かかりつけ薬局」としての機能強化になるようなフォローアップを含めたシステム導入を進めてはいかがでしょうか?

ここからは個人的な意見になりますが、自分としては、「あなたの調剤薬局」をお勧めしています。
理由として、
・LINEを使用したシステム開発であること
 (LINEは日本で一番使われているコミュニケーションアプリのため、使用しやすいこと そのため、かかりつけ薬局として患者さんの相談・薬局からのイベント配信など双方向で使用できること)
・基本、チャットロボットの対応で問題のある患者さんのみスクリーニングできること
・問題があった際に、チャットの履歴がトレーシングレポートを印刷できるため、現場サイドの負担が軽いこと
(トレーシングレポートとは、患者さんからの聞き取り情報(アドヒアランス、残薬調整、複数病院受診、OTCや健康食品の服用)などの情報を医師へフィードバックするレポート。)
になります。

他社も少しだけ検討しましたが、上記以上のシステムは自分が知っている限りではありませんでした。
ただ、どこの会社もディメリットはあります。例としては、フォローアップの記録を調剤録に残すこととなっていますが、対応できているシステムは知りません。実際のところ、服薬指導と服薬指導の間にフォローアップがあるので、薬歴にも記入しなければ指導に生きてきません。
それを考えると、フォローアップの記録を自動転送もしくはコピー&ペーストできるのが一番いいのですが、各レセコンメーカーとの連動ができないため、かなえられない状況のようです。
今後、開発はあると思いますがまだ時間はかかると思います。

この補助金で3年間分支払いできることはメリットです。
ただ、どのシステムを導入するにしても、フォローアップやかかりつけ薬剤師をどのぐらい算定するかによって維持費のペイができるかが決まるので方向性は決めておいた方がいいと思います。

どちらにしても、算定できない薬局は、収益が落ちますので、経営がきびしくなりますし、サービスを提供できない薬局は、淘汰されると思います。

(参考)
IT導入補助金2020
https://www.it-hojo.jp/

「薬剤使用期間中の患者フォローアップの手引き」について
https://www.nichiyaku.or.jp/pharmacy-info/other/follow-up.html

厚生労働省 令和2年度診療報酬改定について
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000603771.pdf

あなたの調剤薬局
https://lp.yppp.jp/

最後に

現状、自分が知っていることを記入させていただきました。少しでも日常業務で忙殺されている現場の皆様の参考になれば幸いです。

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