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ワークショップ

北九州の劇団では、脚本と演出を兼務している方が多い印象があります。大体2mmでは、脚本を藤原、演出を藤本瑞樹くんで分業しています。最初の頃は僕が兼務していたのですが、現場の空気を読む力の欠如や、役者の気持ちを慮る力の欠如、意図を説明する話術の欠如、主に欠如により、「これ、無理だ」と早々に諦めました。
なので、僕が書いた脚本をみずきくんが読み、どういう本なのかを解釈し、どう見せようかを考え、稽古場に持ってきてくれます。

最近のみずきくんはワークショップにハマっているようで、稽古初めに必ずワークショップをします。
「今日は、まず二人一組になってください」
言われた通り、二人一組になります。
「片方の人が目をつむってください。そして、両手を真横に広げてください」
言われた通り、目をつむり、両手を真横に広げます。
「微妙にずれていると思うので、ペアの人が、真横になるよう修正してください」
言われた通り、修正します。
「目を閉じていた人は、目を開け、真横を確認してください」
言われた通り、目を開け、確認します。
「それが、真横です」
みんな、うなずきます。
「『水曜日の男』の稽古っていうのは、そういうことなんじゃないかな」
みずきくん以外の者の頭の中に、「?」マークが浮かびます。

「じゃあ、役割を交代して、同じことをやってください」
言われた通り、役割を交代し、片方の者が目をつむり、両手を真横に広げ、ペアの者が修正し、目を開け、確認します。
「今回の稽古でするのは、そういうことです」
みんなの頭の中に、「?」マークが浮かびます。

これはずっと前、「笑っていいとも!」で武井壮がやっていたことらしく、人間は自分の体をコントロールできると思っているが、実際には、手を真横に広げることすらままならない。スポーツ選手のやっている練習っていうのは、この手を真横に広げる動作を、素早く、正確に、何度でもできるようにするためのものである。
演劇の稽古では、セリフを言う時の心情や、行動に対する動機が重視される傾向にあるが、『水曜日の男』では、重視されるべきは行動やセリフのタイミング、強弱、ニュアンスといった表象の部分なのではないか。
というのが、今回のワークショップの意図でした。

武井壮の説明を聞いて、みんな、納得しました。
武井壮の説明はとてもわかりやすかったです。
武井壮、ありがとうございました。


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