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王子さま 7

この世に王子さまなんていない。

善人の仮面をかぶった悪魔がいるだけ。

やまない雨は無いと人は言うけど、
私の心の雨はもう1年も降ったままだった。

心にカビが生えてしまい、
他人も自分も信用出来なくなり、
貝のように心を閉ざした。

彼を忘れようとしても、
彼は私の夢に何度も出て来て、
彼の思い出は色濃く残ったままだった。

私は職場と家の往復だけの生活を1年した。

人に裏切られたのは初めてで、
なかなか立ち直ることが出来なかった。

彼に簡単に心を許した自分を責め、
浮かれていた自分を恥じていいた。

季節がいくつか変わり、
新しい社員が入って来た。
名前は佐藤駿。

私より3歳下の男の子で、
子犬のような可愛さがあった。

私は動物が苦手なので、
彼のことも苦手だった。

私はいつものように人を寄せ付けないオーラを出して、
もくもくと仕事をした。

彼と別れた後に仕事を辞めようと思い、
次の仕事を探した。
だけど転職するのも面倒で結局そのまま働いている。

「あの。持田さんなにか怒ってますか?」

「えっ?」

新入社員の佐藤くんが話しかけて来た。

「なんか僕、嫌われている気がして・・・」

普通そんなこと聞く?
確かにあんまり好きじゃないけど・・・

つづく


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