見出し画像

引きこもりママとかっぱちゃん 6

もえかとかっぱが楽しそうに話していた。

「おみやげだかっぱ!」

かっぱが短い指で机の上のチョコレートを指差した、
かっぱか勝ち誇った顔でこちらを見ていた。

「味わって食べるだかっぱね!」

なんで?
本当にフランスに行ったの?
でもママは外に出れないし、
かっぱがスーパーに行くわけないし、
どうやって買って来たの?

私は部屋に行こうとしたけど、
大好きなチョコレートが目の前にある!
どうしよう、食べたら負けな気がする、
でも食べたい。

「ねーね、はい、チョコレート好きでしょ?」

もえかがチョコレートを1つ持って来た。

「いらないよ!!
でももらってあげてもいいよ・・・」

私はそう言ってチョコレートを食べた、
いつも食べてるチョコレートと違う味がして、
とってもおいしかった。

「おいしい!」

思わず本音が口から出てしまった。

「みさきが好きそうなチョコレートを選んだだかっぱ。
気に入ってくれて良かっただかっぱ。」

「べつに気に入ってないし!
チョコレートなんてどれも一緒でしょ!」

私はそう言って部屋に戻った。

「みさきは素直じゃないだかっぱね。」

「ねーねは昔から素直じゃないよ、
ママにいつも怒られてたし!」

私はドアを開けて、
「聞こえてるよ!悪口言わないで!」

と言ってドアをバタンと閉めた。

自分でも素直じゃないってわかってる、
でもどうすることも出来ない。

私は口に残ったチョコレートの甘さを感じながら、
自分を責めていた。

つづく

もっと飛躍する為の活動資金宜しくお願い致します。