お酒(世界と私47)
仕事が終わり帰宅した。
明日は仕事がお休み。
本当の休日。
私はクローゼットから普段はあまり着ない、
お出掛け用の洋服を出した。
鏡の前に立って、
「まだ大丈夫!若い若い!」と自分に呪文を掛けて、
お化粧をして家を出た。
久し振りに電車に乗って夜の町に出かけた、
カフェと言ってもお酒もあるおしゃれなお店だった。
店内は薄暗くジャズが流れていた。
私はカウンターに座り、
夜のお店の雰囲気を懐かしんでいた。
お酒とつまみを頼んでスマホを見ていると、
「お一人ですか?」
と声を掛けられた。
「えっ?あっはい・・・」
「良かったら一緒に飲みませんか?」
「私と?」
声を掛けて来たのは、
30代後半の男性だった、
イケメンではないけど普通の顔で普通の人のように見えた。
私が迷っていると、
彼は隣に座って来た。
「僕も同じお酒下さい。」
彼はバーテンダーにお酒を頼んで私の方を見た。
「仕事の帰り?」
「はい・・・」
私は主婦だとは言わなかった。
「オレも会社帰りなんだ、
いつもは1人で飲んで帰るんだけど、
今日は誰かと一緒に飲みたい気分だったんだ、
そんな時にキミがいたから。」
少し気持ち悪い人だと思ったけど、
私も1人で暇なので、
彼と一緒に飲む事にした。
つづく
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