机上の空論では想像できなかったことが実践では発生するというのが、この世界のセオリーだ

酒を酒で割った飲み物を脇に置いた。縦長のゼリー型らしきカップを酒器にしている。何で出来ているカップなのか分からないんだけど、金属で、なんとなく味がまろやかになるのでこれで飲むのが好きだ。金属のカップって中の液体の味がまろやかになるんだよな。

日本酒の飲み比べを酒器の違いでやってみたらどうだろうか。その場合、錫の盃はかなり欲しいのだが。磁器とガラスは尖った感じ、磁器は中に施釉されているかどうかで変わりそう。なんとなく結果は見えているけど、机上の空論では想像できなかったことが実践では発生するというのが、この世界のセオリーだよ。ワトソンくん。はっはっは面白い推理だ探偵さん。

これではワトソンくんが犯人かのように読まれてしまう。


そうかそうか、つまり君はそんなやつなんだな。常識とは十八歳までに身につけた偏見のコレクションことを言う。精神的に向上心のないものは馬鹿だ。ブルータス、お前もか。えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧えつけていた。

有名フレーズだけを寄せ集めたら、全然違うストーリーを紡げるんじゃないかとやってみたけど、そもそもインプットが少なくて無理だった。この視点を持って文学作品を読み直さないとできないやつだ。時間がかかりすぎる。


漫画『BEASTARS』読了。草食動物と肉食動物が共存したり脅威になったりしている話。ハイイロオオカミの男の子「レゴシ」とドワーフウサギの女の子「ハル」の話とも言えるし、「レゴシ」とアカシカの男の子「ルイ」の話とも言える。

まず絵がかわいい。絵に違和感を覚えると読み続けるのが難しいんだよな。しっかり描き込んでいる時と太めの線でゆるく描いてる時の緩急が好みだった。イヌ科の尻尾が揺れる表現が最終話に近づくにつれて愛らしさが増すのよ。ゆるキャラみたいな感じじゃなくて、動物としてしっかり描いてるのに、二足歩行だとか服を着てるだとか現実の動物と違う点を違和感なくするデフォルメの具合がちょうどいい。

肉食動物が草食動物を襲って食べてしまう本能、その脅威を隠しきれていない草食側となるべく怖がらせたくない肉食側がいる。あんまり感想としてふさわしくないんだけど、人間界におけるレイプする側とされる側みたいな重ね方をしてしまう。肉食動物にとって食肉は本能であり、理性のブレーキがあんまり利かない状態だから重なってしまうんだと思う。この感想は脳からここに移動しておきたい。

主人公のレゴシとハルが、彼らなりの正解を誠実に歩んでいこうとする、明るい未来を予感させる締めくくりが、小さくて現実的で良かった。レゴシは世界にとってでかいことをやってるんだけど、彼自身は(結果と比較すると)小さい目的を果たすために起こした行動でしかなくて、金とか富とか権力とかに走らず自分の信じた愛情を選んでいくのが、こいつのことすげー好き!ってなる。不器用っぽいくせに柔軟なんだよなー。

めでたし、めでたし。と書いておけば何でもめでたく完結します。