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【観察記録4】すかいらーくの飲茶レストラン、桃菜の器を見てきた【伝統とモダン】

すかいらーくといえばサイゼリヤ、ガストなどのファミリーレストランが有名だが、一番新しいブランド「桃菜」を知っているだろうか。私は先日ガストで知った。注文を入れるタッチパネルで宣伝されていて、「うわ〜行きて〜」と思って最寄りの店舗を調べた。今回はそれとは別の店舗に行った。


桃菜の読み方は「トオサイ」で、本場の飲茶(ヤムチャ)を飲みつつ、点心を中心とした中華メニューを楽しめる場所になっている。すかいらーくの中華と言ったら、間違いなく「バーミヤン」なのだけど、あれよりはファミリー向けではない。バーミヤンに行くファミリーのチルドレンが小学校低学年くらいまでだとしたら、桃菜に行くファミリーのチルドレンは小学校高学年以上なんじゃないかと思った。なぜならドリンクバーが無いから。無いのかよ!長居させてよ、中高生を。

ドリンクバーが無い代わりに、食べ放題がある。三種類もある。カレーは飲み物というが、「小籠包は飲み物」と言える人にとってはドリンクバーがあるのと同義かもしれない。食べ放題と言っても、時間制限があって最大で二時間だから、なんとなく他のすかいらーく系レストランより回転率は高そうだなあと思う。

食べ放題じゃなくても、定食的にセットメニューもできるし、普通に単品で注文してもいい。あとデザートが美味しそうなのばっかりで、次来た時はこれ食べよう……と誓いを立てるほどだ。タピオカドリンクはデザートではなくドリンクの方に載ってるからデザート頼む時は注意せよ。



本題。器の話をしよう。先に言っておくが、全部可愛い。マジで。びっくりするよ。可愛い上に買える。買えるのすごくない?企業デザインそのままのもの好きだから私はテンション上がる。何度も通ってデザインが身に染みたら買うかもしれない。

まずは卓上に用意されていた小皿系から。

名前わからん。多分、税込979円。

深小皿。中央に桃。桃はあれです、長寿とかそういう意味がある。周りにひょうたん。ひょうたんってどういう意味があったんだっけ、桜と一緒に描かれていて「ひょうたんから駒」を意味する的な柄は覚えてるんだけど。あ、子孫繁栄だそうです。

このさあ、色の組み合わせがとってもいいよね。真っ白の素地に金彩がちょっとピンクがかっていて、桃が赤く強調されている。何ものっていなくても可愛いし、何かがのっていても縁のひょうたんがゆらゆらしてるのが見えていい。ひょうたんの周りは水滴とか波の模様なのかな、ひょうたんは今でいう水筒だったから。

あれ、桃ってこの向きであってるのかな。なんか前にも触れた気がするけど、桃紋様っておしりの方が上、とんがってる方が下が正しいって言われてるのよね。私はそれを認めてないんだけども。葉っぱの描き方をみると、おしりが下のがバランス取れてて美しいから。ああ、でも店のロゴを見たら写真の向きで合ってそう。


次!醤油小皿。九センチくらい?豆皿。

売ってるのか謎。

雲だ。雲の模様はちょくちょくみるけれど、雲単体で構成された模様は伝統柄では見ない。建物とか植物とか龍とかの近くにあるイメージ。描き方もこのように漫画的ではなくて、龍であればお寺などの天井画(渦巻きからモクモク伸びる感じ)、風景であれば屏風絵のような描き方(横長で霞に似た感じ)をするのが多い気がする。雲と獅子はあったかな?ありそう。ああ、鳳凰もあるかも。

雲の皿の例:江戸幕末染付雲龍図小皿
雲めっちゃ流れてるな。

見込み(器の中央)にのみ図柄を描いているのは、おそらくこれは取り皿ではなくてタレ用のため。ものがのらないから柄が隠れない。今日使わなかったからちゃんと見てなかったんだけど、玉縁になってるのかな。ぽてっとしていて可愛い。


せいろがのってきた六寸皿。

売ってるのか謎。売っててほしい。欲しい。

これ〜!一番可愛いと思ったやつ〜!桃図はどんなデザインの器でも人気だけど、この感じが一番好きな人多いでしょ。どの角度で置いてもOKで、繊細な線、上品な雰囲気。見込みの「福」が好み分かれそうだが、これがなかったら中華感が減りそう。

この器の弱点なんだけど、金彩が擦れて剥げやすいっていうのがある。家庭で使う分には電子レンジが使えないのとメチャ強い力入れて洗わないようにくらいで済むんだけど、多分ファミレスだとガンガン使っていくうちに取れちゃうんだよなあ。既にちょっと福の周りの金彩が薄くなっちゃってて、逆に綺麗な状態で見れる今がレアかもしれない。内側の桃はちょうどせいろがのるから擦れやすいんだろう。食器洗い機も使ってそうだ。


今日の注文分では見られなかったけど、丸皿の大きいのがあるようだ。さっきのが18cmくらいだから、24cmくらいか?チャーハン頼んだら出てくるかしら。

丸皿(大) 税込979円

桃がひょうたんになったデザイン。このひょうたんのデザイン、貝殻っぽさもある。涼やかだ。


角皿!これもいいです。一番いい(二回目)。

四角皿 税込1,419円

いや、すごい。すごいですよ。なんつう可愛さ。伝統的な構成っぽいのもいい。桃から唐草が伸びていて、でも葉っぱは桃のものなのがいい。え、桃のものだよね(早口言葉ではない)。見込みの二重角福は伊万里焼の高台内(足の内側)に描かれるのを意識してるのかな。福の上下に合わせて両隣の瓢箪が助さん角さんポジションにいるの、好き。

ここまで書いておいて今気がついたけど、タッチが線描きっぽいな。染付(手描きの絵付け)の技法で、細い線で絵付けをすることを線描きというのだけど、いわゆる青い器なのにべっとりしてなくて上品に見えるという特徴がある。

線描きの例:江戸幕末染付山水図小皿
線は荒々しいが、立ち上がり部分の菊と唐草模様がイメージと近いかも
線描きの例:江戸幕末色絵菊と唐草文五寸深皿
見込みがTHE線描き。周りの色絵も見込みに合わせて細やかな模様になっている。

あと全体的に器の値段安いですな。桃菜だけで使ってるとはいえ、チェーン店だし、その分量産してるからか。


茶碗サイズ。豆花食べたら出てきた。

丸皿(深) 税込979円

蝶々と雲と唐草。蝶々、実は江戸期の器でも見る。特に線描きで多い。線描きは牡丹と蝶々と唐草がやたら多い。しかし、蝶々と一緒に描かれるのは大体草花で、雲ではない。

唐草は何とでも一緒に描かれがちだが、雲と唐草出てきたら鳳凰おいとく方が組み合わせ的には伝統的か。そこに蝶々持ってくるの天才だな。かわいい。蝶々の柄増やさない?


レンゲ!売ってるの探すと案外ないレンゲ!

レンゲ小 税込759円
レンゲ大 税込1,969円

レンゲの大きいの、小籠包用の特注なのだろうか。雲の図柄。唐草も生えてる。


急須はバーミヤンと同じ。お湯の入ったポットと別に急須を持ってきてくれる。三百円くらいで、二、三人前がくる。安い。助かる。


まとめよう。モチーフは新しく見えるものの、それ自体は昔から使われてきて馴染み深いものだけど、組み合わせ方や描き方が新しくて、伝統とモダンの組み合わせでできているなと思った。

線描きに似ていると書いたが、もしかしたら本当に線描きを参考にしているのかもしれないし、そうだとしたら「うわ!それを引っ張ってきたか!」と拍手してしまう。線描き自体は江戸幕末期に流行したっぽいのだが、技法のおかげかデザインのおかげか洒落ているのが多くて、「え!これが幕末のセンスですか!?」と思うものばかりだから。


ふう。終わった。これ描くつもりなくて行ったら、器がみんな可愛かったから思わず写真撮って書いてしまった。食べ物の話してないわ。あの、いわゆる素饅なんだけど「花巻」が美味しかった。海鮮湯葉巻きも。出てくるもの大体熱いから、口の中気をつけてください。



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めでたし、めでたし。と書いておけば何でもめでたく完結します。