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【連載】日本文化のはなし

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日本文化の色々を語る連載。とりあえず隔週月曜更新にします。現状、毎週月曜日は割とこういう系の話をしています。月曜日に知的になる人。
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2024年1月の記事一覧

【古文のはなし】『土佐日記』を読む。「二月になってしまった」と嘆き苦しみ

前回のあらすじ(正月二十六日) 海賊がたくさんいるというあたりまでやってきた。怖い怖い。神託に従って進もう。 原文↓ 前回↓ ○ 二十七日、風が吹いて波が荒いので船を出さなかった。みな畏れ嘆く。男たちが気を紛らわすために、漢詩で「日を望めば都遠し」などと引用して、太陽はすぐに見えるけれども都は見えないから太陽の方が近いと思われると言い合っているのを、ある女が聞いて「太陽でさえ天雲の近くに見えるのに、都へ早く帰りたいと思う道はとてもとても遠いことだよ」と詠んだ。 また

【古文のはなし】『土佐日記』を読む。船が葉っぱに見えるので、海に散ると秋の落葉みたいだ。

前回のあらすじ(正月二十日、一週間室津から進まず) 月夜に海原へ出ると、水面に反射した月が浮かぶのでまるで空を漕いでいるようだ。阿倍仲麻呂も言っていたが、月というのはどこにいても同じものだね。 原文↓ 前回↓ ○ 二十一日、五時〜七時の朝に船を出す。みんなそれぞれの船が出た。その様子が、春の海に秋の葉が散ったように見える。船の形が葉っぱのようなので。格別の願掛けのおかげであろうか、風も吹かず良い天気で進んでいく。船の出なかった間にお仕えにと付いてきた童がいる。その童が