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【連載】日本文化のはなし

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日本文化の色々を語る連載。とりあえず隔週月曜更新にします。現状、毎週月曜日は割とこういう系の話をしています。月曜日に知的になる人。
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2022年9月の記事一覧

【歌舞伎のはなし】時代のお客さんを楽しませる演劇が歌舞伎だと思っている。

前回かなり硬めの内容になってしまったんで、今回は実際の戯曲を取り上げることにする。前回話題にした花巻の登場シーンをば。 三幕目、「武兵衛」という男が「花巻」も新造(遊女見習い)として勤めている遊郭にやってきて、本命の「一重」を待っているもなかなか会ってくれないので怒っている。 「おれは帰るぞ!」とドタドタとしているところに、一重と遣手(管理職)の「おつめ」が武兵衛を宥めに入る。武兵衛は「一重が来ない上に、こんなブサイク(花巻のこと)を代わりにつけるとは、どういうことだ!」と

【歌舞伎のはなし】殺陣や見得よりも笑いに興味がある。

前回から『三人吉三廓初買』の話をし始めている。前のを読まなくても分かるようには書くつもりだが、どう頑張っても限界があるので読んできてほしいなあ〜〜とは思ってます。 ということで、「三人吉三」の全然有名じゃない部分の話を。「通客文里恩愛話」の方である。『三人吉三廓初買』が「三人」「吉三」「廓初買」に分かれるように、「通客文里恩愛話」も切れ目がある。「通客」「文里」「恩愛話」となり、遊郭のとあるお店の「通客」である「文里」という人に関する「恩愛話」(人情話)のことである。 内