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キャリア支援における最適解、満足解、納得解

オペレーションズリサーチという科目を学生のときに履修しましたが、、、キャリア支援をするようになってから、もう少し真面目に勉強しとけば良かったと、勉強あるあるを感じている今日この頃。
で、今回はキャリアコンサルティングにおける支援の「解」の意識について書いてみます。

最初に、意思決定で使われる3つの解について定義を示します。
(簡略ですがご容赦下さい)
最適解:目的にもっともかなう解
満足解:一定の基準を満たす解
納得解:未検証だが納得できる解

キャリア支援での最適解とは
相談者がスッキリ!これが一番!と最適解を見いだせれば良いのかもしれませんが、現実の支援ではなかなか無いですよね。理想はあっても制約や条件は様々でとても複雑ですし、VUCAと言われるように未来は予測不可能で変化しますから、今の最適解も明日には変わるものです。元気に帰ったように見える相談者も一歩外に出るとまたモヤモヤしているのかなぁ、頑張ってほしいなぁと、あれでよかったのかなぁ、、と考えたりします。
キャリア支援をする立場では「希望の仕事に就くために」「不安や悩みを解消するために」条件や制約を聞いて、相談者のために最適解を示そうと心が動くことがあると思います。一方で相談者は様々な問題を抱えて、短い時間では話し尽くせるものではありませんので、支援する側が最適解を出そう前のめりだと、相談者にはむしろ防衛も生じることもあるでしょう。相談者にその場では「YES」と言ってもらえても、内心は違ったり、実は変化は起きていないということが多いのではないでしょうか。
答えは相談者の中にしかありませんし、そもそも正解はないかもしれない。キャリア支援で出来る限界は自覚しないといけないと常々思います。

キャリア支援で出来ること
じゃぁキャリアコンサルティングは役に立たないのか?何をやれば価値があるのか?ということですが、キャリアコンサルタントが意識すべきことは納得解→満足解→最適解の順で、それこそが価値だと思うのです。
繰り返しですが、相談者の思いや環境、抱える問題は複雑です。一つ選べば一つ失う、行動するには犠牲がある、やりたいけど出来ない、そんな相談者に他人のキャリアコンサルタントが最適解を示そうとすること自体ちょっと傲慢です。まずは相談者の「今ここ」を共感することから始めないと何も起こりません!そして相談者の納得を重ねることには共感のある他者の存在が不可欠ですので、キャリアコンサルタントの一番の価値はここにあると思います。相談者自身が自分と周囲を納得して、問題や課題に納得して、ようやく選択ができ、その選択に納得できる。そんな納得解の支援が出来るキャリアコンサルタントでありたいものです。

納得解という支援
皆さんもいろいろ迷うときに、しばらく様子を見るとか、現状も悪くないと開き直るとか、見方を変えて耐えるというのも大事な選択肢だったことはないでしょうか。そう思える切っ掛けって私の場合他の人に愚痴を言えたとか、共感してもらえたとか、そんなちょっとしたことでした。そんな場面に専門性と意図を持って関われるのがキャリアコンサルタントでありたいですね。
特に他者との納得や今を受け入れることが必要な組織内の支援、離職防止、両立、モチベーション向上などにはこの視点は欠かせません。
さらに職業選択においては、未来は予測できないという前提に立てば、まだそこで働いていないわけですから、納得解の支援がとても大事です。内定がもらえた!より、選択したこと&選択した自分を認める支援をしたいものです。

キャリアコンサルティング技能検定での失敗
私自身、2級技能士挑戦開始から3回目まで不合格だった時は相談に何か解を示さないと!何が相談者に最適解か、せめて満足解はないか、という意識でしたがこれが失敗の元でした。
「今、本屋の仕事が好きでやりがいがあるが、主人が蕎麦屋をやりたいから手伝って欲しいと言われ、どっちも大切、どうしたら?」という女性の相談に、どっちがいいか、両方満足できる選択肢はないかに意識が向いてしまい不合格でしたが、条件を並べて何かの数式を解こうとしてました。今なら、どちらかを棄てなければ満足できないと考えている相談者にとことん共感し、相談者自身がそんな自分を認める支援を意識します。それだけでも相談者自身に何かに気づきがあることもありますし、そこから問題に対して違う見方も提供できればより良い支援が出来たとだろう思います。納得解の支援です。

最適解を考えてはいけないのか?そうあるべきでは?キャリアコンサルタントとしての成長過程で、技能士で不合格の理由が分からず壁に当たる人もおられると思います。私も失敗が財産になっているのですが、私たちの意識の成長が無くてはより良い支援と面談価値向上には繋がりません。次回2級技能士に挑戦される方は、試しに納得解からを意識した支援を目指して下さい。この意識があれば合格にグッと近づくはずです。
1級技能士を目指す方ならなおさらです。何を指導するのが最適かより、事例相談者が良くも悪くも自身の支援傾向に納得することに意識を向けてみて下さい。

ということで、オペレーションズリサ―チをあらためて勉強しようかなと思ってます。いい書籍があったら教えてください。
1級キャリアコンサルティング技能士 河口忠夫
https://rapport-yamaguchi.jimdosite.com/


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