二つ結びが似合わない私へ
私は活発な子どもだった。
性別に意味を持てなかった子ども時分
お兄ちゃんが3人いて、弟が1人いた、遠く離れたどこかに姉がいて、私は男の子達と育った。
活発な子どもで山を駆け巡ったり川を泳いだり、木を登ったり、してはいけないと言われた小さないたずらは全てした。
大人になった今は、町のちょっとした伝説になっているらしい。
そんなんだから、女の子らしい髪型の代表作である二つ結びは、自分自身が許さなかった。ポニーテールでさえ、親が結んだのを通学中にこっそり外していたぐらい、徹底していた。
私は男女の分け隔てが変わる何かをする事が本当に嫌だったのである。
高校時代にいた、ツインテールの幽霊
高校時代、受験の時にツインテールの子がいたと、あまりの場違いに笑ってしまったという話が出た。私がその該当者だと思われていたらしい(そんな当時、私はボブ(これは男性名ではない)だったにも関わらずだ。)
私はあっけらかんと「私ではない人のようだよ」と否定をしたが、私は私とそのツインテールの幽霊まで2人分まとめて否定されたように感じ。ツインテール及び二つ結びはしないと心に誓ったのだった。
付き合った人はオタク趣味
私は大人になりいろんな人と出会い恋をし、最期に流れ着いた先の人がオタク趣味の人だった。
彼は私にツインテールが似合いそうだね。とそう常々しみじみ言い、ただ過去のことがあった私はなんだか初めは乗り気ではなかった。
でも何度も言われるうちに悪い気はしなくなって、冗談半分お笑い半分、つまり笑われ全部でツインテールをしてみた。
あなたもきっとツインテールの幽霊を見た人になるのよ、さあお笑いなさい。不貞腐れにも似た感情で彼の前に少し顔を出すと「可愛い、なんて可愛いの」と、そう彼が言うものだから、
嬉しくて、それと同時に照れてしまって、それと同時にびっくりしてそれと同時に同時に、全ての過去が消えてしまって。
ツインテールの幽霊との交友
私ときっと、その時のツインテールの幽霊を苦しめた心無い言葉にもう左右されなくなった今は外に二つ結びで出る日も増えた。
彼が喜ぶからじゃない。私は二つ結びが似合うから。それだけの理由、そしてほんの少し、彼を喜ばせるために。
ツインテールの幽霊よ、見ているかい、ツインテールって可愛いね、二つ結びって最高だね。私初めて知ったよ、君はもっと昔から知っていたんだね。
今日も暑い。私は二つ結びで暑さ対策もバッチリ、ツインテールの幽霊と、夏を楽しむのである。
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