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『闇祓』ゆる感想

⚠️ネタバレを多大に含む記事です

本記事は、辻村深月先生の『闇祓』についての感想をだらだらと述べています。
自分用の備忘録と、考えたことを文章にする練習を兼ねてます。というのも、本やゲームのストーリーを読み終わった後の私の感想は大体、「な、なるほどね~~~~~!」です。さすがに語彙が終わりすぎてるので、どうにかしたいと思ってとりあえずやってみました。

感想記事としては、かなりゆるいものになってると思います。
考察とかは全くしていなくて、とりあえず思ったことを備忘録にしてまた見返したいなという精神です!
紹介記事みたいな文章になっているところもありますが、ネタバレを多大に含んでいるので本作を未読の方には推奨しません。

⚠️自分の思ったことを素直に書いているので、不快になる方がいるかもしれません。ご了承ください。

感想に入る前に、『闇祓』コミカライズ化ありがとうございます!おめでとうございます。
ちょうど読んでいる最中に知ったので、タイムリーでびっくりしました。楽しみです。



物語の構成がすごい!

辻村深月先生の作品は、物語の構成で展開をひっくり返してくることが多いというか、物語の見方が変わることが多い気がします。
(『傲慢と善良』『盲目的な恋と友情』とか)

本作も同様です。短編集かな?と思いきや全て繋がる感じの。

まず、神原一太が今回の事件の元凶だとわかる1章。
2章では舞台や主人公が変わり全く新しい話が始まったのかな?と思えば、"かおりさん"の苗字が終盤で明かされます。

ここでこの本は神原家に関する物語だと気づき、あ~なるほどね!こういう感じねと。

3章は誰が神原家なのか、予想しながら読んでました。苗字が明らかに出ていないのはジンさんだけど、こんな人が!?何もハラスメントしてないけどなぁと終盤まで思ってました。
予想外かつ新しい闇祓の形で、3章最後までハラハラしながら読めました

残るは4章5章だけど、苗字が出てこない人が絶対に神原家だ!!と思いながら、4章を読み始めたのですが!

4章では最初から神原家が誰なのか明かされてるんです。"神原二子"の文字を見た時はびっくりしたし、これは構成ウマ!!とすごく感動しました。

誰が神原家なのかなというワクワク感を3章までに抑えて、4章で新しい流れに変化させるのが、もう、すごいです。なるほどな…!とめちゃくちゃ学ばせていただきました。

神原家の人間が誰なのか明かされてることで、これからどのように崩れるのかということにドキドキしましたし、それに集中して読めました。

読者を飽きさせない構成になっていると感じました。本当にすごい。


印象的な章の感想

本作は1〜5章まであって、1〜4章は短編、5章でまとめみたいな感じになってます。

好きなのは1,2,3章ですかね!!!
好き…?というかなんだろう、色々思うことが多かったって感じです。

もともと短編集が好きというのもあって、章ごとに新しいキャラクターが出て各章1つの話として起承転結になっているのも、好きポイントです。


・1章

やっぱり1番インパクトがあったのは、神原一太がLINEで澪を責め立てるシーンです。
見開き半ページにも及ぶチクチクした言葉は、結構キツかったです。

ところどころ敬語も混じってるのがリアル。
彼氏と言えど、何目線だよ…みたいな文章の羅列が続いたのにはまじでげんなりしました。

ここについては別の感情もあるので、それは登場人物の項目で。

あとは「竹藪、焼いた?」も、読んでてゾワッとした一言です。なんとも言えない不気味さがありますね。
"焼く"って言葉、料理以外で使うことあんまりなくないですか?"切り倒した"とかでもなく、火を放って完全に消そうとしてるのが想像できます。この言葉から、煤けた竹とか黒く炭みたいになった竹やぶがあった場所を想像してしまい、不気味さ増しました。
完全にここの神原一太が纏ってる空気感は異質でした。怖かった。


・2章

2章はシンプルに怖い話でした。終わり方も衝撃で印象に残ってます。
そもそも題材がママ友のマウントで、ここら辺の話題はあんまり好きじゃなかったので読み進めるのがちょっとだけキツかった。でも面白い!!続き気になる!!っていう感情で読んでたかも。

題材がキツかったのもあったけど、2章主人公の梨律の心の中マウントもちょっと気になったっていうのがありました。誰しもあるであろう感情なので、リアルと言えばリアルなんですがキャラクターを好きにはなれないなといった感じです。
まあ梨律はアナウンサーということで私にはわからないマウントに関する苦労があるんだと思います。(アホみたいな感想)

沢渡家で、梨律が話の中心になった時、この人今めちゃくちゃ気持ち良いんだろうな〜と思いました。まあそりゃ、誰だって自分の話になれば楽しいか…。

2章はシンプルにおかしな人が多すぎて、頭抱えました。

辻村深月先生は人間の奥の感情とか、キャラクターの嫌な部分を読者が読み取れる描写をするので、キャラクターを好きになれないことが結構あるかもと気づきました。もちろん辻村深月先生の魅力でもあると思います。
(ここも登場人物の項目でもうちょっと詳しく)


・3章

3章が1番心に残るというか、複雑~~な気持ちになりました。

神原ジン、周りにいてほしいと感じたの私だけじゃないですよね?
(ここも登場人物の項目で後述します)

この章は、なんか不穏だな…状態のまま物語が進んでいったように感じます。明らかなハラスメントをしているのは佐藤課長だけだったのですが、おかしいな苗字が…と思ってました。
苗字が明かされていないのはジンさんだけなので、神原家はジンさんで確定なんですけど、ほんとにこの人!?ってずっと疑ってました。
明らかにハラスメント受ける側みたいなしゃべり方と態度なので…。

相手の欲しい言葉をあげてただひたすら肯定し、周りを見えなくさせる人も闇祓なのかぁと。
同じ闇祓といってもやり口がひねりがあって、面白いです。

あとこの章は、主人公がだんだんおかしくなってるなって感じられるのも好きでした!書き手がおかしくなっているやつ、好きです。
その面でも不穏さが増してたように思いました。

めっちゃ余談ですけど、ジンさんや鈴井の勤める「ヨツミヤフーズ」、反対から読んだら「ヤミツヨ」なのはわざとなんですかね?遊び心かな。


登場人物について

思ったところがある人を挙げて、つらつら書いてます。

・神原一太

現実にいたら最悪ですよねこういう人~~!
でもいるんだろうな、というリアリティはありました。

本題です。
澪をビビらせた激詰めLINEの件なのですが、あれ一定の需要があるんじゃないか?と思ったわけです。彼氏(愛なし)に激詰めされるボイスみたいな。
シチュエーションボイスにはあんまり詳しくないのですが、こういうのがあってもおかしくないかなあとか、1章のときずっと思ってました。

もちろん神原一太の行為は最低です。自分はこういった詰めはされたことがないから、のんきに言えるんだと思います。
仮にされたことがあったとしたら、そのことを思い出すくらいには緻密でリアルな描写でしたし、トラウマある方は読むのきついんじゃないかなと感じました。


・原野澪

⚠️モヤるとこ羅列してます 注意

あの、なんか、あんまり好きになれなかった!というか多分苦手です。
主に3点。①急な要君呼び、②白石要の容姿描写があからさまに変化、③白石要を「高校時代の彼氏です」と偽って紹介

最初の澪は優等生やってるけど気は弱いし、人の目気にしすぎだし、かわいそうだなって。人の目気にしすぎなところと、嫌われるのを怖がっているところはめちゃくちゃ共感です。どっちかというと助けてもらった後からが、ちょっと、なんだ…?って感じてたかも。

①最初にええ…と感じたのは「要くん」呼びをしたあたりだと思います。
澪本人もなんでこう呼んだかはわからなかったって言ってますが、こっちもわかりません。え?なぜ?
秘密を知って心の距離が縮まったと解釈すればいいんでしょうか。

最初は白石要の言動もあり、恐怖すら抱いていたのに、助けてもらったという点のみで距離って縮まるんでしょうか。秘密の共有が大きいのかも。
正直自分だったら、普通に好きになってしまう気もします。
ですが、それを澪(主人公)にされるとこの人軽いなあ、都合良いなあと思ってしまうのは何なんでしょうか。
もうちょっと主人公には堅くいてほしいという自分の願望かもしれないです。

②澪視点での白石要の容姿の描写も、澪視点であって、助けてもらった後は明らかに良く描写されてます。

以前は全く意識しなかったけれど、現金なもので、助け出されてからよく見ると、要は手足が長く、スタイルがいいことに気が付いた。華奢で細すぎる、そのアンバランスさまで含めて、目が離せなくなるような独特な危うさのような、妙な魅力がある。

辻村深月『闇祓』P.319

原野澪、人間すぎませんか?最初は何とも思っていなかった容姿さえ、助けてもらったという良い点を見つけると、なんだか魅力があるように見える。
わりとあるあるだと思うんですけど、どうだろう。こういうところの描写リアルだと全然好きになれないなと気づきました。

③澪の通う大学の学園祭に、白石要が来た時、面倒な男の先輩に対して白石要を「高校時代の彼氏です」と紹介したこと。もちろん面倒な先輩をかわしたかったとう理由はわかるんですが、勝手に"彼氏"を押し付けたことになんか、ええ…って思って…。

原野澪に関しては以上です。ほんとに全部、個人の感想です。
3点を見ると、全部白石要絡みなのですが、私自身は別に白石要に対して何か思っているわけではないです!


・神原ジン

いて欲しくないですか…!!!?!?!?!
肯定されたくてたまらない時ってないですか⁉️
まさにそれを埋めてくれる存在だと思いました。

鈴井がジンさんに取り込まれてなんかおかしくなっていく様子を見ても、まだ羨ましいと思っていました。

鈴井は傍から見たらおかしくなってしまったけど、本人は全然そう感じてないし、むしろ自分が正しい‼️って自信に満ち溢れてるんですよね。ある意味幸せです。周りからしたらクソ迷惑ですが。

ジンさんに肯定されたいって人、少なくないと思うんですけど実際どうなんですかね。

でも、さすがに鈴井の最後にはビビりました
ジンさんに元カノの話までしてんのか…って引いてたんですけど、まさか元カノ絡みでオフィスビルに立てこもり・爆発とは、なかなか予想できないです。

鈴井のようにはなりたくない、だれど肯定されたい〜〜〜という思いが残ってます。難しい。
鈴井はまじでとんでもない奴になってしまいましたね。鈴井のニュースを見た時は、2章と同じくらいインパクトがありました。

実際精神科医ってそんなに人心掌握みたいなことが出来てしまうんでしょうか?そこらへんはちょっとファンタジーなのかなと思ってますけど。

ジンさんを頼るのはほんとに精神的に不健全なので、自分で自分を客観視できるようになるしかないかなぁと思ったりしました。
鈴井は最初から自分を肯定出来てそうでしたけど、ちょっと弱ったところに(プレゼンのとこ)付け込まれたのと、神原ジンが強すぎましたね!


おわりに

感想、書きたいところはかけたと思います!

謎解きみたいでミステリー要素を楽しめた作品でした。嫌な人のレパートリーも色々あるなあと。

原野澪の項目を書いていて、苦手な理由を説明するのもなかなか難しいなと感じました。
なんで自分がそう感じるのかとか、自己分析みたいになっていって結果落ち込みました笑

登場人物の項目があるのは、自分がキャラ萌え(死語)しやすい体質だからです。そもそもキャラゲーをやってるので、つい個人に注目してしまいます。

結構楽しかったので、また本読んで感想あげたいなと思います。

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