Vol.2 マーケティング戦略を学ぶ 〜市場の選択編〜
『マーケティング戦略』(有斐閣アルマ)を教科書に用いて、以下の講座を受け始めまてます。3週にわたって市場の選択編を学びました。
自分の復習も兼ねて、まとめていきたいと思います。
前回はマーケティング戦略の概要ということで、全体像を学びました。
その中で最後に出てきた問いが次の内容でした。
「4P(製品政策、価格、広告・販促、チャネル)が相互作用するために、どのように市場を選択するのか?」
3つに分けて整理してみます。
事業機会の選択
事業機会の選択は、企業が新しいビジネスチャンスや市場の機会を見つけて、それを追求することを指します。
市場重要の創造
時代の求めている消費行動や問題になっているペインを見つなければなりません。
例えば、自動車メーカーのテレビCMが時代によって打ち出す視点が変遷しているのが、当時の動画を見るだけでも違うのが良くわかります。
1985年
車のビジュアルやスペックをガンガン紹介している
1997年代の車のCM
車のビジュアルやスペックはほとんど紹介していない。少しずつライフスタイルの提案へ
モノ消費以降〜
モノの消費だけでなく、コト消費〜トキ消費・イミ消費へと変遷しています。
代表例で挙げられるのは、スターバックスでしょうか。
アンゾフの製品・市場マトリクス
市場重要の創造ができたら、製品やサービスに落とし込みます。
参考になるマトリクス図が、「アンゾフの製品・市場マトリクス」です。
需要の創造ができたものが、既存製品やサービスであれば、左側にある市場浸透戦略または新市場開拓戦略になります。新規の製品やサービスの開発が必要であれば
右側にある新製品開発戦略または多角化戦略になります。
製品やサービスが複数生まれだすとマネジメントが必要になります。
1つの指標になるのがプロダクト・ポートフォリオ・マネジメントです。
「花形製品」「金のなる木製品」「戦略的製品」「低迷製品」に分けて、どの製品・サービス領域にリソースを最適に分配すれば良いのかを判断するためのフレームワークです。
なぜ、このフレームワークが必要になるかというと、製品やサービスには「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つのステージからなるS字型のカーブの製品・市場の成長パターンがあるからです。
この2つを組み合わせることで、常に事業機会の選択 市場需要を探ることが不可欠となります。
では、事業機会を選択することができたあと、領域はどのように選択すればいいでしょうか?
事業領域の選択
ドメインの設定と選択
企業の事業の範囲や領界。企業の生存領域。今日および将来にわたって企業が生存していくための事業領域(事業展開の領域の境界線)のことをドメインと言います。
ドメイン設定をするためには、次の3つの要素から検討します。
顧客集団(Who)
顧客ニーズ(What)
独自能力・技術(How)
これら3つの要素から検討することは、同時に自社の独自性・アイデンティティを形成することにも繋がります。独自性・アイデンティティを形成する上で欠かせないのが、シナジーのある事業領域を選んでいるかどうかです。
例えば、Aという製品を開発する際に、自社の独自能力や技術を活かさずに、Bという製品を開発したり、発掘した顧客ニーズを他の顧客集団で生かさずに、ニーズのない顧客集団に事業設定をすることはシナジーがありません。
シナジーを重視した事業領域の選択
ビジネスをどのように広げていくか(多角化)を考えることが重要です。多角化の方法には、以下の3つがあります。
垂直統合多角化:
説明: 本業を中心に、製品の生産過程の上流(川上)や下流(川下)に広げていくこと。
例: もしあなたが農業をしているなら、川上に広げるとは肥料の生産に取り組むこと。川下に広げるとは、スーパーで自分の作物を販売すること。
集約型多角化:
説明: 本業で使っている経営資源(人材、技術、設備など)をフルに活用して、新しいビジネスに広げること。
例: もしあなたがパン屋さんを経営しているなら、パンを作るためのオーブンや技術を使ってケーキ作りを始めること。
連鎖型多角化:
説明: 多角化の過程で新しい経営資源(新しい技術や知識など)を蓄積しながら、ビジネスを広げること。
例: もしあなたが電気製品を作っているなら、新しい技術を学びながらスマート家電の製造に進出すること。
自社の独自性やアイデンティティの形成
事業機会の選択と事業領域の選択を行うことで、企業は自社の独自性やアイデンティティを形成することができます。これらは、企業が他の企業と異なる部分を強調し、顧客に強くアピールするために重要です。
企業アイデンティティを表現した企業CM
このように、シナジーを重視した事業領域の選択を行うことで、企業は効果的に成長し、自社の強みを活かすことができます。そして独自性・アイデンティティを出すことで事業領域を明確にし、社外そして社内にもメッセージを発信することができるようになります。
では、具体的に顧客集団をセグメントするためにどのような手法があるのでしょうか?
標的市場の選択
セグメントが有効である条件
測定可能性
到達可能
維持可能性
実行可能性
市場細分化の基本軸
①人口動態的特性軸 (demographic traits) と②社会心理的特性軸 (psychographic traits) です。 さらに①の人口動態的特性軸を細分化すると帰属特性 (ascribed traits) と達成特性 (achieved traits)に分けられます。
特性軸を使って市場を細分化することで、マーケティング戦略をより効果的にすることができます。①人口動態的特性軸は基本的なデータで市場を大まかに把握するのに役立ち、②社会心理的特性軸は消費者の深いニーズや欲求を理解するために役立ちます。
つまり、マーケティング戦略を立てる際には、単に年齢や収入などのデータだけでなく、消費者のライフスタイルにも注目する必要があるということです。これにより、より効果的な市場細分化が可能になります。
市場細分化の軸
デモグラフィック変数とサイコグラフィック変数に分けることができます。
デモグラフィックは「人々がどんな属性を持っているか」を表し、サイコグラフィックは「人々がどんな考え方や行動をしているか」を表します。デモグラフィックのデータは手に入りやすいですが、サイコグラフィックのデータは調査を行わないと得られない点が異なります。
市場細分化採用の手続き
「どんなお客さんがいるのかを知り、そのお客さんが何を求めているのかを詳しく調べて、その情報を元に市場を分けていく」という流れが大事になります。
ここまでが市場の選択というテーマで学んだマーケティング戦略の内容になります。
次回からは市場の分析に関してを学びます。
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