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NEXT GIGAにおける県の共同調達の役割を考える

自治体ピッチも終わり、各自治体がNEXT GIGAの端末更新に向けた整備計画が動き出しています。NEXT GIGAでは、端末更新において以下の特徴があります。

  1. 都道府県単位での共同調達を前提としていること

  2. 都道府県教育委員会が共同調達のための基金を創設すること

  3. 「共同調達会議」の設置により自治体間の情報交換を定期的に実施すること

  4. 市町村は都道府県が設置する共同調達会議に参加すること

  5. 市町村は一定の要件を満たせば共同調達から離脱(オプトアウト)できるが、会議からの離脱はできないこと

GIGAスクール構想第1期では、基本的に学校設置者単位で端末の調達を行っていました。しかし、いくつかの自治体では県が共同調達を実施したこともあり、今回の調達手法に切り替わったと思われます。

例えば、奈良県では2020年に「1人1台」に加え「1人1アカウント」の配布を始めました。県内の国公立学校の児童生徒に、課題提出や学校と家庭の連絡などに利用するアプリにログインできるアカウントを準備し、転校や進学後も同一アカウントで学習を続けられるメリットを提供しています。

しかし一方で、調達時のスケールメリットだけに囚われることで起きる問題もあります。共同調達によるスケールメリットを過大評価し、低価格で整備できるという考えです。このような極端な考えは現場の先生や児童生徒が被害被る結果となります。

徳島県では、県立学校に配備されたタブレット端末の6割が故障し、代替機の調達が間に合わない異例の事態が発生しました。この事例は、第1期のコロナ禍での整備において、安く速く整備することが絶対条件となった結果であり、現場の声や意見を無視して進められた可能性があります。

第2期の整備においては、第1期で蓄積された知見やノウハウ、そして現場の先生の声を反映することが重要です。例えば、全国学力・学習状況調査の結果で出たICTの利用率は一つの指標になります。各自治体にもICT利用率のデータが届いており、それを参考にすることで共同調達で希望するOSを県が取りまとめることができます。

高いICT活用率がエビデンスとして出ている。それを無視して県の独断で別のOSや端末に変更するというのは、かなり乱暴な方針です。
サポート体制を県教委が一緒に考えるのであれば別ですが、トップダウン的な手法で進める場合、丸投げになる可能性が高いです。

上記の進め方は、最終的に現場の教員や児童生徒、そして問題が発生したときに着任する各自治体の教育委員会の担当者に影響が及びます。
届いた端末を運用する、端末をつかって授業する先生や子供たちを方考慮し進めることが県の共同調達の役割ではないでしょうか?

第1期は着実に結果が出ています。一部の教員からは、これまで蓄積してきた教材データの利活用が働き方改革につながった、子供たちがこれまでの学習データを使い、振り返ることで自己調整学習につながったとの声があります。文科省が進めている理想の姿が少しずつ実現されつつあります。それをゼロに戻すような調達は避けるべきです。

事件は会議室で起きてるんじゃない 教室で起きてるんだ。

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