スペックホルダーと認知症

自分たちの親世代といえば、認知症の予備軍であったり、あるいは既に初期段階に差し掛かっていたりと、そろそろ他人事では済まない状況が現実味を帯びてきた人も少なくはないのでは?

幸い(といっていいのか判らぬが)自身はそのフェーズを通り過ぎてしまったのだが、できる限り早期の発見が重要とされている認知症において、周囲の者が最初の兆候を見過ごす可能性の一つを減らせるように書いておきたい。

世の中には、純粋に人助けとしてだったり、情報商材としてだったり、あるいはオカルト商法ツールとして、真っ白から真っ黒まで、様々なタイプの“ワタシ見えます”的スペックホルダーが(これだけ情報や科学が発達した現在においても)多数存在しているように思われる。(信じる信じないは別ベクトルの話。

もし身近にそれ風の言動を行うようになった(もしくは、以前からそのような兆候にはあった)人がいたとして、その人を自分が将来何らかの形で面倒を見ないとダメな場合は特に、“あぁ、この人は見える人なのか...”などと、そのスペックに感心したりなどせず、躊躇せずに、認知症外来などで然るべき診察を受けることをお勧めしておきたい。

詳しいメカニズムが科学的に、医学的に少しずつ解明されて、様々な症例や診断結果、知見が集まった結果として、認知症は現在のような形で認識されたわけであるが、そこに至る前のずっと昔から、間違いなく認知症そのものは存在していたはずなので、でも人々はそれと認識することが出来なかった。(当然だ。知らんかったもんね。)

で、昔から、田舎育ちの人は特に、割と身近に、その“ワタシ見えます”的な人?おがみ屋さん?霊能者?霊媒師?家内制教祖様?みたいな存在がいたのではないだろうか?

そんなの、もし、わいの観測範囲内だけだったら申し訳ないす。笑
(でも、実際何人かそんなのがいた記憶があるので仕方がない。ただし、それらはすべて当人の自己申告か、それを信じた人からの伝聞。わいはまったく信じてない人です。)

前置きが長かったけど本題。
この、“ワタシ見えます”的な言動(実際に見えているような素振りもするし、怖がったりもする)は、認知症初期の症例として、ごくありふれたものの一つなのですね。専門医じゃなくても、医療従事者なら知っているレベルというか、それくらい当たり前。

でも、認知症ビギナー以前の我々にしてみれば、そうとは判断が付かず、周囲にそのような存在がいた経験がある者からすれば尚のこと、重要な早期発見ポイントを見過ごしてしまうことになりかねないのです。

“あぁ、この人、昔からこの手のことを口にする人だったけど、遂に見えるスペックまで到達してしまったか...”
断言します。絶対そんな異能者(スペックホルダー)ではないです。笑

完全に治すことは無理だとしても、それまでの生活を出来るだけ維持継続しながらのソフトランディングは可能だし、治療による改善も期待できるし、そうこうしている間に新薬が開発されて、治療が劇的に進化するかもしれないのが、認知症に対する認識なのだが、それとて発見が遅れて進行してしまえば、せっかくの望みが薄くなってしまう。

そのようなシーンに直面したら、ぜひ思い出して欲しい。

P.S.
高校生くらいの女の子が、毎晩見えてうなされる、って話をその親から聞いたことがあるのだが、それとて信じてはダメだと思っている。
若年性アルツハイマーの可能性がゼロとは言えないだろうし、CT撮ったら脳に影が、みたいなことが無いとも言えない。
特に周囲の人間は、不安要素をオカルトでは済ませず、しかるべき診察を受けたのち、健康上の心配がなければ、それから霊媒師にでも頼んでみても遅くないよね。笑

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