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声の塊の周りに隙間を作るとラップが上手くなる事について
僕は普段、「自分よりも優れたラップをしているな」と感じる方が居た際に無意識に「どうやってそれをやっているのか?」を分析する癖が付いています。
先週、渋谷でライブした際にもその様なタイミングがありました。共演者のMONOさんはある意味「僕よりもラップが上手いラッパー」の一人だと感じました。
僕以上にリズムキープに小回りが聴いたり、かなり楽そうに高速ラップをこなしている様に見えます。また、ライブでもボーカルの出方に立体感があるのが印象的です。
口の動きをよく見ながら、「何故この様な事が出来るのか?」を考えました。すると、ある事に気付いたのです。
僕は普段、ラップをする際に「口の中の声のボール」「声のエネルギーの塊」を口の中いっぱいに大きくしています。周りに一切隙間を作らず、出せる声のエネルギーの最大値を出したいという考え方が、僕にその様なフローをさせていました。
ですがそれに対して、MONOさんは常に声のボール、ボーカルの塊の周りに「空気の隙間」「余白」を入れているのです。これは目から鱗でした。そうする事で、結果的に滑舌の滑らかさやリズムキープの精度が上がるのは言うまでも無い事ですが、実際「隙間を作っても、思っている程声のエネルギーは落ちない」のです。
それはまるで田んぼの畦道の様なものです。畦道を作らず、田んぼの面積全部を使って稲を育てようとすると一見収穫が多くなりそうですが、実際には畦道が無いのでとても農作業がしにくくなります。そして効率が落ち、結局は収穫も減ってしまうのです。
声のエネルギーにおいてもそうで、声のボールの周りに隙間を作ると一見エネルギーが減る様に見えますが実際には大したダメージは無く、それ以上に滑舌とリズムキープの精度が上がるメリットが大きいのです。
これは、仏教の欲張らない考え方とも通じます。ラップの達人に学ばされたItaqでした。
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