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食歴的な、諸々思い出

「Dis-moi ce que tu manges : je te dirai ce que tu es.」(「あなたが普段から食べているものを教えて欲しい。あなたがどんな人であるか、当ててみせよう」)
 ジャン・アンテルム・ブリア=サヴァラン
            「美味礼讃」より

子供の頃から食い意地が張っている。

倉敷の田舎の兼業農家で育ち、米も野菜も自宅で採れたか近所からもらったもの、魚は瀬戸内の地場のもの(ままかり、さごし、牛窓の牡蠣)を食べ、肉はこれまた下戸のくせに食いしん坊の父が県北津山の屠殺場直行のものを同僚に買って来てもらったりしていた。叔父は、夏にはうなぎ罠を仕掛け、秋には投網で鮎を捕った。冬には家の目の前の高梁川で鮒を捕りミンチにし、鮒飯を食べた。箭田の親戚からは時季になると、筍、松茸を、矢掛からは原木の椎茸をいただいた。また、古い百姓家であった我が家にはかまどがあり、そこでもち米を蒸し、杵と臼で餅をついたり、赤飯を作ったりした。冬には練炭をおこし、いつもその上には何かしらの鍋が乗っていた。

中学生高校生になると、母の調理する姿を見よう見まねでなぞり、自分の気にいったものを自炊するようになった。

上京し、一人暮らしが始まり、酒を覚えた。夜遅くまで仕事をし、平日はコンビニ弁当、もしくはビールを飲むだけで済ませることも多かったが、お気に入りの外食先も何軒か出来た。18~20歳まで休日に通い詰めたのは高島平・美鈴(チーズとんかつ!)。20歳で妻と付き合うようになってすぐ教えてもらったのが西台・インディラ。ここには今でも年に2~3回行く。あと、とむ・ぶらうん(チキンのトマト煮、ペスカトーレ、ハイジの白パン)
足立区に越して来てからは近所の再光軒、金升。

また20代から、都内の有名ラーメン店通いも始まった。近所のラーショ、とんとん丸、金太郎、千石自慢ラーメン、土佐っ子、東池袋大勝軒、田中商店、滝野川大勝軒、ごぞう、いっき、大塚ぼたん、中本、ファイヤーマウンテン、ホープ軒、青葉、丸長、富士丸、千住大橋二郎、ラーメン王子、かねかつ...
つい最近では、ラーメンみなみ。

30歳になって2年ほど、会社の社長について磯釣りに通い詰めた。メジナ、鯵、鯖、いさき、ブダイ、釣れた魚で食べれるものは全て持ち帰った。乙浜の沖提、太海、伊豆、石廊崎、利島、一番遠いところでは神津島まで行った。釣りを通して、50㎝位までの魚なら楽におろせるようになった。
その会社が倒産してからは角上魚類に通った。魚はほとんど丸で買い、自分でおろした。一番の大物は80㎝位のあんこうで、これは風呂場のタオル掛けにS字フックで吊っておろした。風呂場が殺人現場のようになった。アメ横センタービル地下ですっぽんを買って来て、2~3日風呂場で泥抜きをしてからおろしたこともある。猫が何度も覗きに行っていたのが可愛らしかった。

40前後は休日ごとに赤羽に昼飲みに通った。一番行ったのはいこいの支店(斎藤さん、西野さん)。まるます家。あと、大宮いずみや。丸千葉で潰れたこともある。竹ノ塚加賀廣、北千住天七、徳多和良、しらかわ。

30後半から訪問介護の仕事を始めて以来、家の炊事は全て私がするようになった。何を呑んで何を食べるかばかり考えている者にとって、巷でよく言われる献立を立てる大変さは微塵もなく、逆に食べたいものに体がついていかないもどかしさを感じることの方が多かった。仕事柄、作りたいものから食材を選ぶのではなく、食材を見てから作るものを決めるという逆算の方法が身についていたので、舎人商店街の豆腐屋、魚屋、肉屋で対面で主人と話しながら食材を選ぶ日々は大変貴重で代えがたいものであった。世間にあふれている料理のレシピ本も何冊か読んだが、どちらかというと、料理エッセイや家庭料理の歴史などの方に心惹かれた。北大路魯山人、池波正太郎、檀流クッキング、土井善晴、玉川豊男、漫画ではおせん。最近では、イナダシュンスケ。

本厄を過ぎた頃、急激に自作熱が高まってきた。ベランダでのプランター菜園、燻製料理、七輪での焼き物煮炊き、味噌、梅干し、らっきょう。珈琲豆の自家焙煎。
合羽橋に通い詰め、調理道具もどんどん増えていった。

そして、2017年に、ヤフオクで小野式製麺機を買った。自家製麵のバイブル玉置標本「趣味の製麵」も全巻揃えた。ラーメン、うどん、そば、生パスタ。長沢商店で豚ガラを買ってスープもとった。

ヤフオクで¥20,000

粉は楽天市場のKT Food Labで中華麵用のものをほぼ全種類試した。今のお気に入りは麵遊記、うどん用は薫風。2022年にはニーダーも揃えた。

大活躍もう元はとった! 楽天市場で¥37,590

打った麺は会社の同僚に配って喜ばれた。
気温の上がる7.8月以外は月に2〜3 回、一回につき1kg10玉のペースで打った。
自家製麺は我ながらいい趣味が出来たなとよく思う。

50を過ぎて、どんどん食が細くなってきた。この先どれだけ新しい味覚に会えるか楽しみではあるが、体力的に不安である(笑)。

補足

蕎麦は一東菴、神田やぶ、神田まつや。
町中華は大味、栄龍、栄楽、浅草太陽。
洋食はABC、上野ベア、キッチンタロー、キッチングラン。
とんかつは丸山桔平、ポンチ軒。
パンはポピー、ポポー、ペリカン、下田流、アメリカン、ファリーヌキムラヤ、赤丸ベーカリー、プレジール、札幌どんぐり、岡山キムラヤ。
鰹節は高橋商店、昆布は吹田商店。
キムチは丸萬商店、焼肉用の肉は毎日屋。
納豆は舟納豆。
洋菓子はイデミ・スギノ、エーグルドゥース、アヴランシュ・ゲネー、アトリエエデュー、近江屋洋菓子店、田村町木村屋、トレカルム。
和菓子は一幸庵、ささま、一炉庵、石田屋、草月、御徒町うさぎや、すずめや、長門。
煎餅は澤田商店、あられはさかぐち。

地方では、香川、がもううどん、おか泉。
博多、ひらた、資さんうどん、牧のうどん。
山形、ケンちゃんラーメン、庄司屋。
西からの帰りに必ず寄るのは名古屋大甚。


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