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「深読み」読心術 白取春彦
読書とは、過去でもっとも教養のあった人々との会話である。デカルト
●読書が生み出す「脳の興奮」
”脳を動かす面白さ”という意味では、ゲームも同じだ。
ルールを知っていても、考えずにチェスの駒を動かすならば少しも面白みを感じないだろう。
本を読んでも字を追うだけの”浅い”やり方ならばインクの染みを見るのと同じで、面白さは生まれてこない。
”深く”読みながら頭を働かせてはじめて、面白いと感じれるようになる。
●自分を高める「本の読み方」
①言葉や表現を知り、主張や主旨を正しくとらえる
→通読することを通して、忍耐、根気、貫徹性が育まれる
②知識を吸収する
→展開を捉えて図式化できるようになり、結果的に偏見から解放される
③行間を読む
→洞察力が高まり、様々なものに新しい意味を見出すことができる
④再読により、新しく捉え直す
→今の自分を的確に把握し、人生をより発展的にとらえることができる
●嘘の論理を見抜く目の養い方
論の前提となっている各部分の正確さを調べるという方法がある。
誤った前提からは、妥当な論が運べるわけない。
最初に出てくる前提だけを調べればいいというのではない。
「これは本当に事実に合っているだろうか」という疑念が少しでも生じることがあったら調べてみる。
そして調べた結果が書物に書かれている通りであっても、時間を損したことにはならない。
疑問をもって自ら学んだからだ。
●「問題意識」とは何か?
誰もが一度は聞いたことがあるだろう。「問題意識をもて」という言い方。
問題意識とは何か特別なものではないいし、高尚なものでもない。
自分で気になったり疑問に思っていれば、それが問題意識をもっているということ。
本を読んで仕事や教養や人格の形成に役立てている人はみな、いつもたくさんの疑問をもっている人でもある。
すなわち、疑問を抱えているからこそ、本を読むのだ。
●読むべき本を自力で見つけ出すヒント
まず、大切なことはタイトル(著名)だけで中身を勝手に断定してしまわないことだ。
論を張っている書物のタイトルや小見出しは出版社がつけていることが多いのだ。
すなわち、「売れそうだ」という理由でタイトルが付けられている。
立ち読みで一冊でも適した本が見つかったら、巻末を開いてみて参考文献があるかどうか調べてみた方がいい。
そこにある参考文献こそ、関連本だからだ。
そこに並んでいる本が全く見当違いなら、いま手に取っている本もそっと棚に戻したほうがいいだろう。
●「情報」をいくら集めても「知識」は超えられない
情報は自動販売機から出てくるオレンジ色の清涼飲料水だ。
オレンジと書いてあっても、本当のオレンジ果汁が実際にどの程度入っているかが目には見えない飲み物だ。
知識は自分の手で絞ったオレンジ果汁である。自動販売機では売られていない。
要するに情報はインフォメーションだ。
デパートの案内コーナーの若い女性は紳士服売り場は4階にあることを教えてくれるが、
その階に私に似合う洋服があるかどうかまでは教えてくれない。これが情報の特徴だ。
それを如実に表しているのが、株価の判断だ。
どの企業の株が上がっているのかという情報は手に入れることができる。
しかし、どうしてその企業の株が上がっているのかという理由は教えてくれない。
株の実際の動きがどうなるかという肝心なところは、すでに情報の次元ではない。
それは情報ではなく、知恵、経験、推論、洞察などを含んだ知識なのだ。
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