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【毎日短編台本-2月14日】 窓の前にココアを (1人劇)


基本情報

タイトル-窓の前にココアを
作-臼井智希
ジャンル-1人劇、会話劇、恋愛(?)
目安時間-5分
登場人物
人 男女問わず年齢問わず(ただ極端に幼いのは難しいかもしれない。高校生以上が望ましい)


本編

窓のある部屋。窓の外は晴れやかな朝焼け。
2月14日の早朝である。
窓の手前には一つのテーブルがある。
1人の人が入ってくる。テーブルの片側に座り、向かいに人がいるかのように語りかける。

「あぁ、今年も来てたんですね。随分朝早くから。あ、いや。いいんですよ。わかってますから。いつから来てもらっても全然。......どうですか?最近。......それは良かった。...もう、来なくてもいいんですよ?あ、いや、来てほしく無いって訳じゃ無いんですけど。そっか。うん。何年でしょうね...5年?5年くらいですか。まだ使ってくれてるんですね、そのカップ。いつでしたっけ?一年目?誕生日かクリスマスかに私が贈ったやつですよね。...嬉しいですよ。ありがとうございます。......あ、そうですね。私のも取ってきます。」

人、立ち上がり去っていく。しばらく、カチャカチャと食器の触れ合う音がして、人がココアの入ったマグカップを持ってさっきまでいたところに戻ってくる。

「お待たせしました。......ええ、ずっと。それは、なんか大人振りたくて。でも、意味ないから。だからもう、先輩と離れてからはずっとココアです。先輩は、コーヒーですか?...そうですか。なら、同じですね。......はい。明日からも同じように。......こちらこそ。なんで、まだ私を捨てないでくれるのか、わかりませんけど。...そうですよね。あの人のとこにはもう行きました?...そうですか。この後?...どうして?......別に、良いですけど。......はい。」

人、ココアを飲む。

「やっぱり甘いですね。...そういえば結局、先輩とバレンタインは過ごせませんでしたね。...はは、確かに。今過ごしてますけど。...確かに。せっかくのバレンタインなんだからココアじゃなくてホットチョコレートも、良いかもしれませんね。来年はそっちも用意しましょうか。...はい!お任せくださいな。......いいんですか?...わかりました。ありがとうございます。...いや、特には無いですよ。...はい、ありがとうございます。......え......ありますよ、未練。未練たらたらです。でもまぁ、私が悪いんですよね。いっつもこうですから。勇気が出ないのはいつものこと。良いかなって、思っちゃうんですよね。だから、お気になさらず。...はい。わかりました。じゃあまた、来年。
......はい。明日からも変わらず用意しておきます。窓の前にココアを。」

終幕


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