【毎日短編台本-2月7日】　ビヲタン (3人劇)

基本情報

タイトル-ビヲタン
作-臼井智希
ジャンル-ギャグ、コメディ、SF
目安時間-5分
登場人物
ビヲタン　ロボット
博士
助手

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本編

地下にある博士の秘密研究所の一室。起動していないビヲタンと、なにか機械をいじっている博士がいる。電気がついていない。
助手が入ってくる。

助手　お疲れ様でーす...って暗！？
博士　おお、助手くん！ちょっと来てくれ！
助手　電気つけて良いですか！！
博士　いいからはやく！！！

助手、電気をつける。

博士　早く来てくれ！
助手　はいはい、どうしたんです？
博士　ついに完成しそうなんじゃ！！！
助手　博士、目的語がないと全くわかりません。
博士　我々待望の、ビヲタンじゃ！！！
助手　...ビヲタン？
博士　これが完成すれば...
助手　博士、論文書かないでそんなもの作ってたんですか？
博士　論文のこと思い出させんな！！！
助手　てか、ビヲタンってなんです？
博士　助手なのにそれ知らないでやってたの！？
助手　説明してないですよね、博士。
博士　しとらん！
助手　じゃあ知らないですよ。てっきり論文のための研究でもしてるのかと。
博士　ネイチャーは査読が通らなかったんじゃ！
助手　だっさ
博士　ネイチャーの査読やってる姉ちゃん、厳しい！なんつって、ワハハハハハハ
助手　え、どこが笑いどころ？
博士　え、ネイチャーの姉ちゃん...
助手　で、なんなんです。ビヲタンって。変な名前。
博士　給料下げるぞい
助手　わー！おもしろー！！！で、ビヲタンって？
博士　やっぱ下げよう。ウォッフォン！ビヲタンはな。美を探求するロボじゃ！！！
助手　...はぁ？
博士　美を！探求する！ロボットじゃ！
助手　んな抽象的な。
博士　だから良いんじゃろ
助手　え？
博士　どんなことをしてても、美を探求してると言い張る事はできる！
助手　美を探求してるフリするロボットじゃねぇか！
博士　動きさえすれば成功じゃ！！！
助手　低いな、程度が。
博士　あとはこの辺のレバーを全部
助手　倒せば良いんですか？
博士　いや、食べれば良いのじゃ
助手　鉄分取りすぎになりません？
博士　ワシは厳しいから、助手くん、食べておくれ
助手　ぶん投げるなぁ

上から、チャイムの音が聞こえる。

博士　おっと、授業の時間じゃ！
助手　え？
博士　ワシの授業を心待ちにしておる生徒たちの期待に応えなければ
助手　あ、博士ってほんとに博士なんだ？
博士　え？そりゃそうじゃろ
助手　いや、この手の怪しい研究してる博士がちゃんと大学教授もやってる研究者な事あんまないですよ。
博士　博士号もちゃーんと持っておるぞ。博士(文学)
助手　文学！？
博士　うむ、大学では文学部哲学専攻であった。
助手　なんでロボ作ってるんですか！？
博士　そりゃ作りたかったからじゃろ
助手　文学は！？
博士　小説も書いとるぞ
助手　哲学は！？
博士　......では授業行ってくる！レバー食べといてくれ！！！

博士、ダッシュでハケ。

助手　逃げた！！！......はぁ。で、このレバーを...あ、ちゃんと火通ってる。

助手、一枚食べる

助手　あ、ちゃんとタレかかってる

助手、一枚食べる

助手　白米欲しいなこれ

助手、一枚食べる

助手　なんでこれで起動するんだ？

助手、一枚食べる。むせる。ビヲタンが起動し動き始める。

ビヲタン　アナタが、ワタシの、美。か？
助手　ちょっと、ゲホっ、待っ、ゲホ
ビヲタン　ウツクシイ...
助手　え、なに、ゲホ
ビヲタン　ウツクシイ..!
助手　落ち着け！！！
ビヲタン　オチツキマシタ
助手　で、お前がビヲタンか
ビヲタン　ハイ、ワタシがビヲタンでロボ
助手　何ができる
ビヲタン　美を求めること、デキルメカ
助手　つまり？
ビヲタン　特にドコモ詰まってないでアンドロイド
助手　語尾がうっとおしいな
ビヲタン　そうでアイフォン？
助手　無理矢理すぎない？
ビヲタン　そうでもないでマシーン
助手　で、美ってなんなの？
ビヲタン　価値観念の一つでサイバネティクス
助手　くっそ抽象的な...
ビヲタン　哲学専攻じゃからな！
助手　これだけあいつちゃんと入力したな？
ビヲタン　個人的には、哲学への風評被害かと
助手　それな。......普通に喋れんのかい！！
ビヲタン　乗ってください、マスター
助手　え？
ビヲタン　美を探す旅へ。乗ってください。
助手　これ、搭乗式なの？
ビヲタン　はい
助手　コックピットどこよ
ビヲタン　肩車です。
助手　......剥き出しじゃん
ビヲタン　戦闘用ではないので。防御性能はありません。
助手　それもそうか。

助手、ビヲタンに肩車される。

ビヲタン　いざ、しゅっぱーつ
助手　普通に喋るようになったね君

2人、ハケ。
しばらくして博士、戻ってくる。

博士　資料を忘れておったわい。あれ、ビヲタンは...あれ、助手くん...わ、ワシを差し置いて発進しおったなぁ！！！......土産に期待しよ。ケーキ食べたいなぁ

終幕。

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