雨音②

こどもはとてもかわいくて、こんなにかわいい子を、毎日ひとりで
独占しているなんて…と思うとこわくなった。外出するときも、
「わたしは宝物をつれだすのだ」というような気分になり、うれしさと同時に「この子に何かあったらわたしはどれだけ周りに責められるんだろう……」という不安に押しつぶされそうでもあった。

 こどもの夜泣き、ひとときも離れず側にいることのストレス、
離乳食を食べないことのイライラ、
わたしはひとりになりたくて気が狂いそうだった。
ーーやっぱりそうなるじゃん。だから心配で、いつも見に来てやってんのにさ。--
どうすんの?なんだか、しあわせだけど、しあわせじゃないみたいな、変なカンジ~。--
「うるさいわね。もう来ないでって言ってるでしょ。なんなのよ、あんた」
ーーだから、あんたに殺されたって言ってんじゃん。--
「わたしは人殺しなんてしてません。行くとこ間違ってんじゃないの?」
ーー育児ノイローゼかな……?とは、思ってるくせに。--
「だからそれがあんたのせいなんでしょ!」
ーー誰かのせいにしてればラクだけどさ。じゃあ、まったね~。--

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