私がここにたどり着いた経緯・・・第二のカギ その1

以前の職場は、正に男っていうような仕事だった。
重い木材を運び、それを加工して注文された家具を作る。

つまりは注文家具専門の仕事、社長は怒り始めるとなにかにつけ罵声を飛ばしてくる。

その言葉はよく言えるもんだなと言えるほどの酷いもの、私はその職場にうまくなじめなかった。

だが、アパートに引っ越し子供も生まれた。
文句なんて言えない、イヤイヤだがガマンして1年働いていた。

でも、ある日事件が起きた。
私の至らない行動にぶち切れた社長は、一日中私に罵声を浴びせ続け今まで我慢していた気持が折れてしまった。

次の日の朝、会社に行こうとしたが体がそれを拒否ってきた。

吐き気が出た。

「行けない・・・行きたくない」

嫁にそう告げた。

「行きたくないなら、行かなくていいんじゃない?」

嫁はそう言ってくれた。
だから私は会社に電話し体調不良で休むと告げた。

その日だけだと思ってた。
だけど、気持ちは仕事には行かないでくれと毎日私の体にストップをかける。

だんだん不安になっていった。

胸が苦しくなってきてどうしようも無い憂鬱感にさいなまれる。
思い切って心療内科に連絡をした。

病院に行き、診断を受けた。
うつ病だと言われた。
ショックだった。

だけど、内心は少しホッとしていた。

そうだろうなと思っていたから、確信が持てたから!

私はその日、仕事を辞める決意をして辞表を書いた。
次の日の朝、会社に連絡し他の社員が来る前に会社に行って辞表を渡した。

そして、仕事を辞めた。

それからは私の出来る範囲で家事をして過ごしていた。
家族には迷惑を掛けられない、だからやれるだけの事はしよう、早く仕事を見つけよう!!

その一心で!

だけど、更なる事件が我が家に降りかかった。

嫁が会社でイジメを受けているらしく、泣いて帰ってきた。

「そんな思いするなら、辞めた方がいいよ!君まで壊れたら・・・」

それでも嫁は諦めたくなかった。
資格を使った仕事だから、稼ぎは私よりも良い、これを逃したらこんなに良い給料なんて貰えないから、そう思っていた。

嫁はなんとかそのイジメを耐え続けてた。
その間なんとか私も仕事を見つけた。

稼ぎは前よりはマシ、共働きなら暮らしていけるレベル・・・

だけど、人の心は嫌な物を耐え続けるほど心の柱は折れやすくなる。

ある日嫁は限界が着たのか、私が仕事に行っているときに近くの心療内科に行っていた。

うつ病だと診断されたらしい、それでも嫁は仕事に行った。
自分をイジメる人をなんとかしてやりたい、その一心で抵抗していた。
私も協力した。

だけど、敵わなかった。

「もう止めよう!」

そう思っていた。

そんな時に嫁からある言葉が漏れる。

「リストカットを何度もした。」

背筋が凍った。
私は本当にそうなのかと思い嫁の服の袖をまくった。
そこには無数の傷があった。

涙が出て来た。
そんなになる位まで耐えなければいけないならもう、あんな仕事止めてくれ!!

私は嫁にすがりそう言った。

私も・・・鬱が酷くなった時どうしようもなくなり自殺しようとした。
だけど、出来なかった。

首を吊ろうとしたが、私の脳裏には子供の顔が浮かぶ、このままじゃいけないそう思い踏みとどまれた。

だから・・・本当に嫌になったとき、自分を傷つけてしまうのはわかる。
誰かに構って貰いたい、辛くて苦しいこの気持を包んで欲しい、そう思うのだ。

もう四の五の言っていられない、もっと酷くなれば嫁が・・・

私は嫁と一緒に別な心療内科へと行き、そこでもう一度検査をしてもらった。
診断書を貰うために。

そして、嫁はその診断書をもらって会社に提出した。

それから何回か一緒に通院した。
嫁の会社の上司にもしっかりと嫁の状況をわかってもらうために来てもらったりした。

その後、嫁は会社から一ヶ月程の休みをもらい休養することになった。

それから平和な生活が戻ったが、それはつかの間だった。

しばらくして、友人の結婚式に招かれ出席した。
私の提案でDVDを作ってあげようと友人達に持ちかけ、結婚式流れの動画と、サプライズのお祝いメッセージを添えたDVDを作ってあげた。

だが、私には動画の編集技術なんて無いのでそれを業者の方に頼み良い出来の物をしあげた。

思った以上にお金はかかったが、友達には喜んでもらえた。

それで良かったと思っていた。

だけど、嫁の気持ちは違った。
鬱の状況からなんとか就職にこぎ着けたが、まだ収入がいいとはいえない、それなのに結婚式に出席するためにお金を掛け、更にはDVD作成の為に出費がかさんだ

嫁も鬱の状況、会社を休んでる身、これから子供にかかるお金だってある。
収入は少ない、それなのに・・・

嫁の不安はつのってくる。
だから私に訴えてくる。
これからのこと、将来の事を考えてお金を使って欲しい、お金を貯めよう、節約していこう・・・

子供を考えての事、だからそう言ってしまうのはわかるし、私も一家の大黒柱としてその声に答えようと必死だった。

だが、それはうまく嫁には伝わらず彼女の心の中には不安が貯まっていく、そして、私への信頼が崩れ落ち、ある日の事だった。

仕事が終わりアパートに帰って絶句した。

嫁と子供の物が部屋から全て無くなっていた。
私は頭の中が真っ白になった。

嫁は荷物をまとめてアパートから出て行っていた。

・・・私、何か悪いことした?


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