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学生島耕作を、実務に活かす/004

「ビジネス話が好き」
という私の性格から、島耕作シリーズはほぼほぼ読んでいるのだが、
同作者の、
・「加治隆介の議」
・「黄昏流星群」
も読んでいると、当たり前の、あることに気づく・・・

「ビジネス話だからどう、とかではなく、
この作者、漫画が上手いんだ・・・」

そんな、弘兼憲史氏の作品の中で、
今回は『学生 島耕作』に関して、私が感じたこと、気づいたこと、学び
を乱筆失礼します。



1、「面白さ」だけが作品(漫画)の価値ではない


『学生 島耕作』を読んでいて感じるのは、

懐かしさ・・・


背景画や、
物語のバックグラウンドにある時代感が、
これまた懐かしい。

主人公、島耕作が
昭和22年(1947年)生まれで、
そのキャラが大学生の頃を描いているので、
昭和40年代の話。

私が生まれる前の物語ではあるが、
風景が懐かしい。
昭和の、高度成長期の、
まだ日本が貧乏ではあるが、
これから伸びていく匂いがプンプンする時代感。
それを感じられて、どこか懐かしい。

描写も細かい。

✅駅弁の、あの、懐かしいお茶の入れ物
✅TBSの古いロゴ
✅プロセスチーズ

等が描かれていて、読んでいて、小さな笑みがこぼれる。「

「駅弁」:ネットより拝借
「TBSロゴ」:ネットより拝借
「プロセスチーズ」:ネットより拝借


登場人物が使っている言葉も懐かしく、
アラフォー・アラフィフの人には、子ども時代を回想できる時間にもなる。

・あたりきしゃりき
・婦人警官
・朝鮮漬け(キムチ)
・BG(ビジネスガール。OLのこと)

※念のため、私は「BG」という言葉は知らなかった(笑)
※「朝鮮漬け」は、そういえば母が口にしていたな・・・


この作品を読んでいると、
ストーリーの面白さ以外にも、
昭和の頃の懐かしさも同時に味わえる。

また、
「私が生まれる前は、学生運動とか活発だったのだな」
と歴史を知ることもできる。

漫画とは、
何も、絵の上手さやストーリーだけが、その作品の‟価値”ではない。
他の要素でも感情を揺さぶり、引き込むことができるのだ。

これはビジネスもいっしょで、
✔ 収益を上げる
✔ チームを束ねる
とかだけが価値ではなく、

● ガス抜きの役割になる
● ただ、話を聴く
● 皆の怒りの矛先を自分に向ける(元々の対象の負担が軽くなる)

こんなことでも、時と場合により、大きな価値となるのだ


2、表情が秀逸


弘兼憲史氏の作品は、キャラクターの表情がどれも秀逸で、
『学生 島耕作』で登場する
三沢淳子というキャラが、島耕作と久しぶりの再会を果たし、
自宅でシャンパン飲んでケーキを食べているシーン。

そのシーンの笑顔は・・・


満面の笑みではあるが、
どこか、本当の笑顔ではない・・・
「カラ元気の笑顔だな」
と直感で気づくような、微妙な表情を上手く描いている。

私はセミナーやコンサルの時に、よく口にする言葉があって

「人は、口では嘘をつけるが、表情では嘘をつけない」

弘兼憲史氏の作品では、
漫画を楽しんで読みながら、
同時に、人間の機微な表情の勉強もできる。

これは仕事の時にも活きてくる。

口では賛成している人も、
どこか、わずかに不自然な、納得していなさそうな表情をしている時は、
100%は賛成していない。

そういう、人間の表情の機微を知ることも、
この漫画を読むことで鍛えられる。



3、絶望の淵からも逆転できる


代表的な登場人物で、
・東大生の「小鹿」
・早稲田で学生運動をしている通称「クラムチャウダー」
がいる。

高校時代、学年No.1の成績だった小鹿も、
東大に入ると、他の東大生の優秀さに絶望し、
本当は勉強嫌いな本音もあって、ドロップアウトする。
そして、ベーシストとして、プロのミュージシャンを目指す。

クラムチャウダーは、学生運動をしたことにより、前科ができ、
大企業への就職が絶望的になったので、プロの小説家を目指す。

✔ 東大を中退する
✔ 学生運動で、警察の世話になり、就職を断念する

どちらも、現実世界で考えたら、悲惨なものだ。
親は泣く。

が、
ミュージシャンや小説家で、プロとして成功すれば、
周りの評価も、また変わる。
どん底時代とは手のひら返しで、
むしろ以前よりも高評価を受けることもある。


アーティストや小説家というのは、
学歴社会の枠の外の、どこか「治外法権」的な立ち位置、強みがある。


これは現実世界でも大いにあり得るし、励みにもなる。

一度、挫折を味わっても、

a、人生、長期視点で考えて
b、本当の自分を見つめ直し
c、唯一無二のスキルに特化して、それを磨く

これによって、逆転できることもある。
諦めるにはまだ早い。




4、本当の貢献とは?


島耕作シリーズではお馴染みの「グレちゃん」

主人公島耕作と盟友で、探偵業をやっている人物。
そんな彼と島耕作との出会いの場面が描かれている。
彼らがまだ大学生の頃。

後に、
島耕作は、大手電機メーカーで出世をしていくわけだが、
その中で、盟友のグレちゃんに、仕事を振っている。


これはどういうことかというと、
『自分が強くならないと、高い次元の貢献はできない』
ということ。

だと私は、感じた。

学生時代であれば、
✔ ご飯を奢る
✔ ノートを貸してあげる

これくらいでしか、相手への貢献はできないことが多い。

社会人となり、ビジネスパーソンとして力をつければ、
好きな人に対して、大きな仕事を振って、活躍の場を与えたりもできる。

自分の価値を高めるから、
相手へ貢献できる度合い、幅、選択肢も増える。
ということだろう。

「とにかく貢献」って考えは大事ではあるのだが、
私の持論だと、
その前に『順番』が大事で、
まずは自分の腕を磨いて、実力をつけて、
そこから他者への貢献だと思う。

力もないのに、
「誰でもできること」で貢献ばかりするよりかは、
上記の順番の方が本質だと思うのだが・・・



5、他人は変えられない。が・・・


学生運動と対峙する警察官。
・その警察官
・島耕作
・クラムチャウダー
の三者は、きっかけあって知り合いとなる。

そして、
高卒で公務員となったその警察官は、いろいろあって、
警視庁を辞めて、司法試験を受けることを目指す。
自分はやりたかったが、家庭の事情でできなかった『勉強』への道へ
方向転換する決意をしたのだ。

それを聞いたクラムチャウダーは、
自らを省みて、学生運動を辞めることを決める。

ここから気づけることは、

『他人を変えることはできない。
が、良い影響を与えることはできる』

ということ。


変えることのできない他人を、必死に変えようとしても
疲弊感だけが残る。
他人は変わらないし、
変えようとしても変わらない現実に、自分のストレスも溜まる。

そこに労力を割くよりも、
自分が、人生のステージを上げたり、
勇気ある決断をすること等に労力を割いたほうがいい。

それによって、
自然と、
たくさんいる知り合いの中から、ごく僅かな人が、
(勝手に、自分に)影響を受けて変わることがある。
それでいいのではないだろうか。


6、まとめ


A、漫画は「面白さ」だけが価値ではない。「懐かしさ」等も価値となる
→今ある、自分の価値に、何かを付加できないか?

B、どん底を味わっても、他の生き方、他の強みがある
→自分に合い、ニーズもある。そんな別の専門特化はできないか?

C、自分の能力やブランドが高まると、貢献度合いも上がる
→自分が強くならないと、高次の貢献はできない



7、追伸


各物語のタイトルに
昭和の名曲・ヒット曲が使われている。

・今日までそして明日から
・あの人の手紙
・我が良き友よ
・眠れぬ夜
・友よ
・ラストダンスは私に
・さよならをするために
・春のからっ風
・おきざりにした悲しみは

拓郎、岡林、泉谷、正やん・・・

70年代フォークが好きな私にとっては、
これもまた、自然と口角が上がる・・・



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