The Great Battle of students

埼玉県富士見城。
昨日付で堀北はこの城に入った。
無論、南下のためである。
自軍は総勢6万からなり、後から来る冨樫軍6万と合わせて12万の大軍で上律に攻め入ることとなる。
その上律も明日、前線の城に尾上軍が入るらしい。
さすがに6万もの軍がこぞって南下を始めたとなれば、上律も黙って見ているわけにはいかなかったのだろう。
それは当然であるし、こちら側も上律がそのような手を打ってきたことに驚きはしなかった。

冨樫さんは結局、西大にも足を運び、不可侵の盟を結んだようだ。
ただこれは冨樫さんの考えではなく、玲穣の菊池という女の提案らしい。冨樫さんとは古くからの知り合いのようだ。冨樫さんも昔馴染みの女には弱いのだろうか。
まぁ、なにはともあれ、これで後方の憂いはなくなった。
結果として、玲穣と西大が灌頂と智鶴に睨みを効かせる形となり、こちらに攻めてくる心配もなくなった。これで全力で上律とやりあえる。
もちろん、玲穣と西大には事が済んだ後、しっかりと礼を尽くさないといけない訳だが。

冨樫さんが富士見城に入城するのは1週間後の予定だ。
入城後は即刻会議をし、すぐさま上律へ向けて南下を始めるという。
迅速に叩く、という冨樫さんの考え通りの動きだ。
それまでに準備をしておけ、というのが今日の朝、冨樫さんからあった連絡だった。
昨日来たばかりなのに…。
そう思っていたが、上律が前線に兵を配置しているという動きを知った以上、こちらも動かないわけにもいかない。
すぐさま練兵に取り掛かり、軍長らと戦術の練り合わせも行った。

明日も本日同様、練兵をする。
その後は多少の自由時間があってもいいだろう。
晴れの日こそ、ゆっくりすることも大切だ。
皆もそれを望んでいると思う。



急転直下に決まったこの侵略作戦。
つい数ヶ月前に自分達を助けてもらった大学に刃を向けることが、どれだけ不義理なことかは自身でもわかっている。
ただ、やらねばならない。猛華の地理的状況を見るに、一刻も早く他大学から囲まれている状況を脱せねばならない。例え非難されようとも。
そして、冨樫さんはそれらを加味して今回の作戦を打ち立てている。もし負けようもんなら世間からのバッシングは凄まじいものだ。冨樫さんは全て受け入れるつもりなのだろう。

とは言え、必ずしも負けるわけではない。
勝ってば領土も増えるし、世間から白い目で見られることもない。むしろ、上律を打ち負かした武将として俺らは名を馳せることになる。
負けなければいいのだ。


勝てば官軍、負ければ賊軍。
まさに天国と地獄の戦いだが、不思議と堀北は体は高揚感に染め上げられていた。

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