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複利と強制貯蓄(長期継続つみたて)というパワフルなツールを利用して老後への備えを自分で責任を持って準備していくこと その2

 前回は平成31年に金融庁から発表された「人生100年時代における資産形成」の資料から重要な点を8点あげました。今回はその中身を一つずつ見ていこうと思います。

日本の高齢者世帯の平均所得額は約320万円で欧米主要国と比較し大きく下回っている、という点については比較として資料では米・英・独が挙げられており、それぞれ、約630、450、455万円となっており欧米主要国と比較し大きく下回っていることが分かります。

②所得代替率(年金を受け取り始める時点(65歳)における年金額が、現役世代の手取り収入額(ボーナス込み)と比較してどのくらいの割合か、を示すもの)もOECD平均を下回っている、という点はOECD平均が58.7%に対し日本は57.7%と僅かに下回っています。

③日本の高齢者の就業率は諸外国と比較し高い、という点は資料では比較対象として米・英・独・仏が挙げられていますが日本は男女それぞれ約53、33%と比較国に対し圧倒的に高い水準です。またそれぞれ就業の理由として「生活の糧を得るため」、 「いきがいや社会参加のため」、「 健康にいいから」といった理由が多いです。

④日本の高齢者は諸外国と比べて労働所得の割合が高く、一方で資本所得の割合がとりわけ低い、については資料では比較国として米・英・独・仏が挙げられていますが日本は約39%が労働所得で他国と比べると高い水準です(アメリカが約35%と次いで多い)。一方で資本所得(私的年金や非年金貯蓄のことを指す)は10%と他国と比較し低い水準となっています。

日本の家計貯蓄率は2.6%とOECD平均を(大幅に)下回っている、についてはOECD平均が4.8%で比較対象である独・仏・米の貯蓄率を見てみるとそれぞれ、約10、8、7%と日本は大幅に低いことが分かります。

⑥高齢者夫婦のみ世帯の金融資産額分布を見ると貧富の二極化が進んでいる、については最も割合が大きいのは3000万円以上で全体の25%を占めています。しかし一方で450万円未満の世帯も年々割合が上昇してきておりまさに貧富の二極化が進んでいます

⑦20年間(1998年〜2018年)での家計金融資産は米・英国と比較し伸び悩んでいるそこには資産運用リターンが大きく影響している、については米・英がそれぞれ20年間でそれぞれ2.7、2.3倍に伸びている一方、日本は1.4倍に留まっています。この原因を詳しく見てみると、資産の運用リターンが米・英でそれぞれ2、1.6倍となっているのに対し日本は1.2倍と伸び悩んでおり背景として資産の運用リターンが大きく影響していることがうかがえます。

⑧日本では効果的な資産形成が行われていない、については⑦の続きになりますが比較国として米国を挙げた際に米国ではIRAや401K といった退職口座や投資信託を中心として現役時代からの資産形成を継続した結果、金融資産は20年間で8倍強に増加しています。一方、日本では貯蓄率が低下傾向にあり、かつその貯蓄している資金の大部分が預貯金に振り向けられているため金融資産は20年間で2倍程度にしか増加しておらず効果的な資産形成が行えていない、と言えることができると思います。

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