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努力の天秤


■□■ 小学生向けの物語 ■□■
(何かの壁にぶちあたった時、子供達の心の支えになればと思い、物語ごとにテーマを決めて書いています😊)

ここは、とある森の中の動物の学校。
どうやら学校は休み時間のようです。
運動場では、ウサギのピョン太が一生懸命ジャンプの練習をしています。
ウサギのピョン太は、飛び上がるのが だ〜〜いすき。

ピョンピョン
ピョンピョン

いつも飛び上がる高さを自慢しています。

そこにカエルのケロッピーがやってきました。
「ボクの方が高く飛び上がれるぞ!」

そう言って、ピョーンと1メートルも高く飛び上がりました。
ピョン太の2倍もの高さです。

ピョン太はビックリしました。
「すごいや、どうやってそんなに飛び上がれるようになったの?」

「そりゃぁ、練習したからさ」

「練習したら、ケロッピーとおなじぐらい、ボクも飛び上がれる?」

「努力次第だね」
「努力って、なんだい?」
ピョン太は初めて聞く“努力”という言葉に興味津々です。

「おや、努力を知らないの?」
「うん」
「じゃあ、教えてあげるよ」

そういって、ケロッピーは天秤を持ってきました。

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「これはなに?」
ピョン太が聞きます。
「これは、努力の天秤って言うのさ。必要な努力の量を知ることができるんだよ」
そして、大きな石を渡します。

「この石にピョン太が望むことを書いて、てんびんの右側に置いてごらん」

ピョン太は、「1メートル飛び上がれるようになりたい」と書いて、石を置きました。
すると天秤は右に大きく傾きます。

「じゃあ、1メートル飛び上がることが出来るようになるまで、必要なことって何だともうかい?」

「う〜〜〜ん」と ピョン太は考えました。

「高く飛ぶには、足を鍛えないとダメだよね」
ケロッピーはヒントをだします。

「本当だ!」
「じゃあ、足を鍛えるために何をするのか、この札に書いてごらん。」

ピョン太は、毎日することを書き出しました

100メートルのかけっこ 5回
あしぶみ 200回
スキップ 100回

次々と出てきます。

「それを、一つずつ天秤の左に乗せてごらん」

天秤は、札を一つのせると、少し左に傾きます。
2枚目、3枚目、4枚目、5枚目
これで、左右が一緒の重さになりました

「ピョン太、左に書き出したものを見てごらん。
これが、君が1メートル飛び上がるために、努力する内容だよ」

「これが?」

「そうだよ。もし仮に、1メートル飛び上がるために、『スキップ100回』の札しか置かなかったらどうだろう」
「天秤が釣り合わないから、1メートルも飛び上がれないね」
「だろ? 天秤の右に望む物を置いた時、その重さと同じぐらいの努力が左側の天秤に必要なんだ」

「こうやって天秤で計ると、努力の量が分かりやすいね」
ピョン太は嬉しそうにいいます。

「そうだろ? だけどね、みんな自分の望みに対して、間違った物を天秤に置いちゃうんだ」
ケロッピーはちょっと残念そうに笑いました。

「間違った物?それって何だい?」

「神頼みのお札さ」

「神頼みのお札??」
「そう。ああなりたい、これが出来るようになりたい、そんな望みを神頼みのたった一枚のお札で叶えようとするのさ。
その紙切れのお札を天秤の左側に乗せてみな。右側の自分の望みには、絶対釣り合いっこない」

「確かにそうだね。釣り合わない!」

みょうに納得しているピョン太を見て、ケロッピーは笑って続けます。
「でもね、神頼みのお札は、置いていいタイミングがあるんだ」

「そうなの? それはいつ??」
「それは、左側に置いた札を全て終えた時に、教えてあげるさ」

ピョン太は早速、札に書いたメニューを練習し始めました。

1ヶ月後ピョン太は、98センチまで飛べるようになりました。
1メートルまで、あと2センチ。
がむしゃらに頑張るのですが、あと2センチが難しい。
自分で、努力できる所までやってきました。
どこをどうしたら、この2センチの壁を超えられるのか、もう分かりません。

そんな時、ケロッピーが声をかけてきました。
「いや〜〜、随分飛べるようになったね。すごいよ」

「でも、あと1メートルまで2センチ足りないんだ。
飛ぶ時に、どうしても、できるかな、どうかなって、心配になって・・・・・・」
ションボリしてピョン太が言います。

ケロッピーは、側に置いてある努力の天秤を見て尋ねます。
「努力の天秤に置いた札のメニューは、全部やったんだろ?」

「うん」
「じゃあ、あとは気持ちの問題だ。
神頼みの札を持ってきてやったから、これを天秤の左側に置いてごらん。
そして、1メートル飛んでいる自分を思い浮かべてるんだ。
あとは飛ぶ時に、『自分はできる!』と言いながら、飛ぶだけさ」

ピョン太は助走をつけて、エイッ! と思いっきり飛びます。
「自分はできる!」

ピョン太はとうとう1メートル飛び上がれるようになりました。

「やった〜〜!! やったぞ!! ボクはとうとうやった!!」

それを見ていた他のウサギ達はびっくり。
「すごいや、どうやったの?」
他のウサギがピョン太に次々と尋ねます。

「天秤に望むものを書いて、努力の量を計ったのさ」
ニッコリ笑って、ピョン太は天秤を見せました。

努力の天秤は、他の人にどんどん伝わりそうです。

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